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ロストカラーズ  作者: あすか
第五章 黄国内乱
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第79話 旅に出よう

「シオン様、お忘れものはないですか? ハンカチは持ちましたか? お財布を落としたりしないで下さいね。あと、毎日連絡すること。数日に一度は帰ってくるんですよ。それから……」


「お前は俺のオカンか!? ったく、俺を何だと思ってるんだ? ガキ扱いしてもらっても困るんだが」


「似たようなものでしょう? 何せ初めて訪れた町で問題を起こすのですから」


「いや、あれは……」


「はいはい、言い訳はよろしいです。ですが、次は気をつけてくださいね」


「……はい」


 すでに前科がある俺は、頷くことしか出来なかった。


「リンも、今度こそちゃんとシオン様を見張るのですよ。次失敗したらサクヤと交代ですからね」


「別に交代は構わないっスけど、失敗のレッテルは欲しくないので頑張るっス!」


 リンは前回の俺の暴走を止められなかったせいで、ルーナからたくさんの小言を頂戴したらしい。

 だから正直今回は別の遊撃隊かな? と思ったけど、リンの冒険者の実績は役に立つという理由で、もう一度リンが同行者になった。


 他の同行者はアイラとミサキとレンの三人だ。

 アイラは元々見聞を広げるために村を出たから、俺が旅に出るならと一緒に行くことになった。

 ミサキとレンは、今回の目的である黄の国出身で、里帰りを兼ねている。それに二人にはバルデス商会の誘致をしてもらわないと。

 二人は元々行商をしていたから旅もなれてる。俺達の旅にもきっと役に立ってくれるはずだ。

 それにここ数ヶ月はアイラと三人でルーナから修行をつけてもらってたので、身を守るくらいのことは出来る。もちろん俺特製の魔力増強ドリンク付きだ。


 そういう事で今回は五人で出発だ。ラミリアとエイミーはいない。最近会ってはいないが、二人とも忙しいみたいだ。

 まぁその気になれば、転移でいつでも帰って来れるから、あまり関係はないけどね。


 今回はキャンピングカーで移動する。キャンピングカーは魔力で走るように改造されてるし、中に転移扉を設置した。この転移扉は、城の地下の倉庫に繋がっている。この世界はアイテムボックスの様な便利な物はないが、キャンピングカーと倉庫を繋げることにより擬似的なアイテムボックスとなる。行商でも、買い物の時に非常に役立つだろう。


 それに据え置き扉のため、転移登録せずとも、自由に移動できる。それこそヒカリや姉さんが、日帰りで参加することも可能だ。


 俺としては、男がいないので、話が出来る男がいてくれたら嬉しいんだけど……。

 今まではトオルがすぐ近くにいたからあまり考えてなかったが、よくよく考えたら、俺と話してくれる男は、セラ達かヴォイス達しかいない。あっ、ゼロがいるけど、城の住人じゃないからノーカンだ。

 彼らは彼らで忙しいから、一緒に旅できないし……だから俺の中では今回の旅で男友達を探すのも目的にしている。


「じゃあちょっくら行ってくるわ。留守番よろしくな」


 俺はキャンピングカーに乗り込んだ。

 助手席にはリンだ。俺には土地勘がないので、しっかりとナビをしてもらわなくてはならない。


 あと、キャンピングカーの上にはホリンがいる。

 ホリンも前回のエルフの時は留守番だったので、今回こそはと張り切っていた。

 キャンピングカーにはホリンが自由に発着しても中に衝撃がないように改造を施してあるので、好きに飛んで回って問題ない。

 また、ホリンには首輪を付けてある。一応テイムされている魔物と認識されるため、あとその首輪にトオルの魔法結晶と小型のカメラが埋め込まれている。

 この魔法結晶は俺のケータイとキャンピングカーのカーナビと繋がっている。

 ホリンには空を飛んでもらい、カメラの映像は、キャンピングカーのカーナビや、俺のケータイへと転送される。遠くからの念話も可能だ。

 空からの情報で、いち早く察知出来るのは、大きな助けになるに違いない。


 俺は早速キャンピングカーを動かす。うん、ガソリンの頃と全く変わらない。

 日本の頃以来……ほぼ三年ぶりの運転だが、問題もないみたいだ。まぁ道交法もないし、他に走ってる車もないから、事故の心配もないだろう。魔物や他の馬車にだけ気をつければいいだけだ。

 それもホリンがいち早く教えてくれる。


 道路が地球とは違い、アスファルトではないから少し不安だったが、タイヤも改良して、揺れも抑えるようにしているので、車酔いも殆ど気にすることはないだろう。


「初めて乗ったっスけど、馬車や竜車に比べて早いっスね。もう城が見えなくなったスよ」


「これでも安全運転を心掛けてるから、スピードは抑えてるんだぞ。広い平原になったらもっとスピード出してもいいかもな」


 ここは舗装された道路だと言っても、まだ領地内の森の中だ。森を抜けたら色々と試してもいいだろう。


「後で私にも運転させて欲しいっス。ルミナが運転は面白いと言ってたっス」


「あっウチも運転してみたい! 日本にいた頃から興味はあったんや」


 後ろからミサキが声を掛ける。


「ミサキ達は日本では運転しなかったのか?」


「運転も何も、ウチら高校生や。免許すら取れんわ」


「そっか、そういえば免許が取れる年じゃなかったな。なら広いところで練習するか?」


 俺もずっと一人で運転するよりは、途中で交代してくれた方がありがたい。


「よっしゃ! 絶対やで」


 ミサキはそれだけ言うと奥へと引っ込んだ。うん、楽しそうで何よりだ。

 出発したばかりだが、早く広い場所まで出ればいいのに……と思わずにはいられなかった。

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