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ロストカラーズ  作者: あすか
第四章 再会
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第76話 友好関係

 目が覚めるとと朝だった。……いつの間にか眠っていたようだ。体には毛布が掛けられていた。


「おはよう。よく寝てたわね」


 そこにはスミレがすでに行動を開始していた。


「おはよう。どうやら待っている間に寝ちゃってたみたいだな」


「ええ、皆でお風呂から帰ってきたら、寝ててビックリしたわ。スーラさんが寂しそうに部屋をウロウロしてたわよ」


 多分それは寂しそうじゃなくて、食事をしてたんだと思う。そのスーラは……俺の横にいる。まだ寝てるのかな?


「皆は?」


「まだ寝てるわ。聞いたわよ。五日間も迷いの森で彷徨った挙げ句、無理矢理抜け出して、そのあと三日間かけて、祭壇まで行ったって。そりゃあ疲れもするわよ」


「あの迷いの森が凶悪過ぎるんだよ」


「あれ位しないと、防犯にならないのよ。エルフを狙う人って多いから」


「そっか。そうだよな。でもこれから毎回あの森を通るのはしんどいぞ。転移の魔法って、ここじゃ使えないのか?」


「それね。リンさんに聞いたけど、トオル君が転移の魔法を使えるんだってね。一応結界に例外登録すれば大丈夫だけど、流石に相談もなく勝手には決めれないわ」


 やっぱりスミレがこの村のトップでも、村人の了承も得ずに、勝手に色々と決める訳にはいかないか。


「じゃあ皆が起きてから仕事の話をしようか。村長と城主。お互いに有益な関係を結びたい」


「ええ、具体的な話をしたあとに村人に相談します。で、結果を報告する。でいいかしら」


「ああ、それで構わない」


「じゃあ詳しい話は後でね。先に顔でも洗ってきたら。その後ご飯にしましょう」



 ――――


 朝食はシリアル食品だった。フレークとミルク。シンプルだが、しっかりと味があり、朝食として十分だろう。


「シオン様。私これ気に入ったっス。シクトリーナ城でも採用しましょう」


 シクトリーナにはシリアル食品はない。料理隊がいるから、あまり必要なかったもんな。でも……確かにあってもいいかもしれない。


「そうだな。シクトリーナなら小麦のフレークだけじゃなく、コーンフレークも作れるし、チョコと合わせると、一味変わって美味しいぞ」


「シオンの所には、トウモロコシやチョコがあるの?」


「日本にあった食材や調味料は大体あるぞ。料理も日本で食べれた料理はある程度再現が可能だ」


「……お米も?」


 やはりスミレも真っ先に思い浮かぶのは米か。


「もちろんご飯もあるし、今年の頭には皆で餅を作って、雑煮も食べたぞ」


「シオン。相談があるんだけど」


 相談の内容は聞かなくても分かる。というか、さっき以上にスミレの目が真剣だ。


「それはさっきも言ったように、この後の話し合いでな。食材の取引ならある程度は融通が聞くと思うぞ」


「分かったわ。こっちも前向きな話をさせてもらうわ」


 さっきまでは前向きじゃなかったのか? まぁ日本人は米の魅力に敵わないよな。



 ――――


 俺達とスミレの話し合いは滞りなく終了した。

 こちらの要望は互いの友好関係。特産品の交易と魔法研究の協力。

 それから転移の許可だ。


 スミレはそれをエルフと話し合いをした。


 エルフ側の回答は以下の通りだ。


 友好関係は問題ない。

 交易はしたいが、エルフ側に提供できる物が少ない。

 魔法研究はエルフの秘伝の魔法等は教えれないが、可能な範囲で協力はする。

 転移に関しては条件付きで許可する。


 無事に友好関係が築けそうなのは良かった。最初は色々とあるだろうが、少しずつ打ち解けれたらいいと思う。


 交易に関しては、こちらからは食糧と調味料を中心に。後々、他の物も交換できたらと思う。エルフ側からは魔力のこもった木の枝や薬草など、森の恵みを分けてもらうことになった。


 魔法の研究は、こちらから魔法や魔道具の質問をして、答えられる範囲を教えてもらうことになった。


 転移に関しては厳しい条件が付けられた。

 まず、転移の魔法使いは転移禁止。要はトオルはエルフの村へ立ち入り禁止だ。別にトオルを信用してないわけではないが、トオルの意思に反して、転移を使用されるのを防止するためだ。

 その為、魔法結晶のみでしか転移が出来ない。


 また、転移を許可する人数は、最大で十人と決められた。

 この十人はスミレと知り合いの俺と姉さん、ヒカリの三人は含まれない、なので計十三人がこの村へ来ることが出来る最大人数だ。


 その十三人に結界の対象外の許可を施す。その許可がある人物だけが、魔法結晶を使うと村の入口に転移する。正し転移する場合は、必ず事前に連絡する。


 連絡方法は今回は今日中に次回の来訪日時を決定する。その後は専用のケータイと充電器を準備して、前日までに連絡することになった。


 そして、村に来る場合、俺か姉さん、ヒカリの三人のうち、最低誰か一人は必ず同行する必要がある。

 さらに、その十人だが、今回いるリン、ラミリア、エイミーの三人は強制的に決定している。


 トオルは転移の魔法使いなので駄目。また、シクトリーナの住民しか許可しないので、エキドナ側は今いるラミリア以外は駄目。


 後七人を城から選ぶのだが、まず、植物と話せるレンと、商人見習いのミサキは決定だ。特にレンは迷いの森で貴重な物を手に入れる可能性を秘めている。

 次に必要なのは、魔法の研究に携わる人員だ。本当ならハーマインを連れてきたいが、彼女はエキドナの部下だから不可だ。その為メイド研究隊から隊長のキーナとサポートのリズに決定した。ちょっと気の弱いところが不安だが、まぁ大丈夫だろう。

 後はミサキのサポートとして、補給隊のリーネに決定した。


 現状でリン、ラミリア、エイミー、レン、ミサキ、キーナ、リズ、リーネの八名が決定してる。残りの二名はここでは決めずに、必要なときにそれに会う人材にすることにした。


 まぁ一名は、来るか分からない引きこもりの為に取っておきたい。

 それに俺達が信用に足る人物と分かれば、将来的には条件も緩和し、人数も増やしてもらえるだろう。


 最後に一点だけエルフ側から要望があった。それは交易の事実を公表しないでほしいとのことだ。

 もし交易の事実が広がったら、商人達が迷いの森に押し寄せる可能性があったり、他のエルフの村に迷惑がかかる可能性がある。


 もちろん、その条件も問題ない。ただ、こちらが言わなくても、何処かでバレる可能性があることだけは納得してもらった。


 また、エルフ側の交渉役の人物も紹介してもらった。俺達を村まで案内してくれた人物だ。どうやらこの村の警備隊長のようだ。彼がメインで俺達に対応してくれるらしい。


 近日中にこちらも十分な体制を整えて、今後のために友好な関係を結んでいきたい。

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