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その20 運動.1

 



「オレツ!!!」



 ばーーん!!

 そんな効果音付きで、不自然なのに自然に突っ立っている扉からツマさんが現れた。

 ここはツマさんが俺の家族を避難させる為に特別に作って貰った隠し部屋。

 部屋といっても外の風景と大差無いが、ツマさんが許可を出した者だけが扉を開けて中に入ることができる部屋だ。


 そこで久し振りに皆と剣術の稽古と称して遊んでいたのだが、突然扉が現れてツマさんが飛び出して来たのだ。俺の名前を呼びながら。



「体が鈍りそうだから!運動をするわよ!!」



 藪から棒である。



「…セッ」

「違う」



 横から余計なことを言おうとした兄弟を止め否定しておいた。

 そういうのはもっと親密になってからである。というより、今回の運動とは、普通のだろう。



「なるほど。いいよ。ちょうど俺も思い切り体動かしたかったし」



 道理で今日の服はいつものとは違うのか。

 普段はフリフリのフリルだらけの可愛らしいものだが、今回はえらいさっぱりしたパンツタイプである。

 長い髪の毛は編み込みのあとポニーテールで纏めてあるし、ブーツを履いている。



「まぁ、やっぱり可愛いと何でも似合うのね…。普段から花のように可愛らしいけど、今はネコのように可愛らしいわ」



 と、すぐ後ろでガンマねーちゃんが可愛らしさで震えている。他の兄や姉も同様。

 そうだろうそうだろう。もっと褒めよ。



「~~~っ!あ、あったり前よ!私は魔王様だから何でも似合うのよ!」



 顔から湯気が出るほど赤くなったツマンティーヌがえっへんと誇らしげに胸を張った。

 普段からあちらこちらに麗しい愛らしいと言葉を掛けてもらっているがスンと「そう」と一言で終わらすのに、俺の家族だと何か違うらしい。

 物凄く嬉しそうだ。



「で、ツマさん。今日はどうする?肉弾戦?魔法戦?」

「そうねぇ。前は肉弾戦だったから、今回は魔法戦にしましょう。遠距離だけじゃなく近距離もアリで」

「おっけー!」



 俺も体が鈍ってきた感じがしてたから本当に丁度良い。

 一応あちこちの階層で手合わせしてるといっても、本気を出さねば衰える。


「アタシたちも行って良い?」

「俺もどんなか見たい」


 と、見学希望者が手をあげる。


「別に良いけど危ないぞ」


 だからツマさんとの運動部屋は何重にも何重にも厳重に結界を張って隔離しているのだ。


「エトマンドに許可もらえば良いんじゃない?ほら、最近改良した白マリモさん達結界張れるみたいだし」

「あーーー、白マリモさん部隊か…」


 黒マリモさん以降、更なる可愛らしいマリモさんを産み出すべく頑張った結果生誕した白マリモさん。

 あらゆるものを転送できる黒マリモとは違い、白マリモさんは非常に協力な保護膜、結界を張れるのだ。


「耐えられるかな…?」


 そこが心配。

 あ、そうか。本気で危なかったら黒マリモさんに転送してもらえば良いのか。なら安心だ。


「黒マリモさんも一緒だったら大丈夫そうかも」

「じゃあありったけ連れていくわね!先に行っといて!」

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