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その2 こうなった原因

とある田舎のビンボーな家に生まれた俺はたくさんの兄弟に揉みくちゃにされて育った。ビンボーだったから近くの山で獣を捕まえて食べたり、川で魚を捕まえて食べたりしてた。

そんなかでも俺はセンスが良かったらしく、5才で熊を倒し、7才で村の大男を投げた。


驚いた両親が教会に連れていくと、どうやら勇者の素質があったらしく、教会に売られ、王都に連行。


そこで剣での戦い方を学び、魔法を覚え、12才で上級までマスターし、13才で戦争に即戦力として投入された。


その頃、7年前から始まった悪魔との戦争は激化しているところで、その頃既に世界の半分近くが占領されていた。


そんななかで、俺は魔物を千切っては投げ、悪魔を千切っては投げ、進行を食い止めてたが、2年後。つまり15才の時。


「このままじゃ埒開かん」


千切っては投げ千切っては投げをしているときに唐突にそう思って、単身で魔王城に乗り込んだ。


そのとき既に最強だった俺は、あっという間に魔王城の中枢に辿り着き、魔王と対峙した。

魔王は俺を見て顔を赤くしてこう叫んだ。


「く、来るのが早いわよ!!せっかく私が迎えに行こうと思ってたのにこれじゃ計画が台無しよ!!いや、あんたの為の計画じゃなくて私の為にぉっ……!!」


魔王は盛大に舌を噛んだ。


「~~~~っ!!」


よほど痛かったのか、恥ずかしかったのか知らないが、涙目の少女を見た瞬間戦う意欲がなくなった。それはもう綺麗さっぱりと。


「何?目当て俺だったの?」


頷く魔王。


「俺を手に入れるために進撃してきたの?」


今度は連続で頷く魔王。


何故世界制服すれば俺が手に入るのかと思ったその思考回路はワケわかんないが、とにかく俺が手に入れば世界に用はないのだと言う。


「手に入れてどうすんの?」

「……………………ボソ」

「え?なに?」


トマトの様な魔王に近付いていくと、逃げようとしたから捕まえた。


じたばたと小さい手足をばたつかせる様はまるで子猫だ。


「はっ離してええええええええ!!!」

「言わないと離さない」

「いやああああ!!!話す!話すから下ろしてええええ!!!」


下ろすとすぐさま玉座の裏に隠れ、顔だけ覗かせると、こちらをビッと指差した。


「ふ、ふははははは!!!!世界への進撃を止めたくば、私に婿入りしなさい!!!そうすればやめて上げても良いわよ!!!」


涙目魔王の精一杯の虚勢だろうが、先程からの行動を見れば怖くもなんともない。

てか婿入りしなさいって。

そんないきなり。


「別にいいよ」

「分かったわ、ダメなら先ずは交換日記から…………え?」


きょとんとする魔王。


「今なんて?」

「別に婿入りいいよ。俺もさっさと戦争終わらせて家でゴロゴロしたかったから」

「えと、こ、故郷の家族の同意とか!国の王さまとかの問題とかは!?」

「家族とか、俺売ったやつ知らないし。王さまなんて俺に関係ないじゃん。あいつ『いいからやれ!』としか言わないし。未練ない」

「じゃあ、なんで戦ってたの?」

「戦わないと飯無かったから」


といっても飯たいして美味くなかったけど。


「ここでくれる飯美味い?」

「美味しいに決まってるじゃない!此処を何処だと思ってるの?世界に名を轟かす魔王城よ!不味いわけないわ!!」

「じゃあ断る理由ないし」

「なっ…………っ!!婿入りってどういうことか分かってるの!?わ、私がおおおおおおおお嫁さんになるってことよ!!」

「? いいよ。魔王ってゴツい男型だと思ってたけど、君凄く可愛いし」


行動も含め。


「ぽん」

「え」


魔王の頭から湯気が出た。

顔どころか手まで赤くなった魔王。その手をゆっくりとこちらへと伸ばしてきた。その手を取る。


「ツマンティーヌ・エリテンティス・ディア・サターンです…。これからよろしくお願いします…」

「オレツ・エンディスです。よろしく」















というのが一月前。


結婚式はまだ挙げてない。

ツマさんの補佐官が「まだ早い!!!!」とストップを掛け、今は魔王城に同居生活で少しずつお互い慣れていこうと言う感じで収まってる。


「オレツ様お願いします」

「はいはい」


婿候補として、まずは魔王城の仕事を覚えて貰おうと色々仕事を振られたが、元々勉強は出来たので、今では補佐官の右腕として働いている。

美味いものは食べれるし、暖かいし、適度に運動できる此処は最高だ。


「補佐官!!!またオレツ様を討伐するという輩が大量に来てます!!如何されますか!?」


まぁ、人間側は魔王に寝返ったと、魔王ではなく俺を退治しようとし始めているらしいけど。それも良い運動だ。

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