その19 オレツの探し物.12
「よし、こんなものか」とオレツは満足そうに言った。
あの後ガンドロン達は魔王城に引っ越しを終え、オレツは一人山に戻って色々仕掛けを施していた。
近々人間達が此処へ攻め込んでくるだろうとオレツは予想していた。
貴族は傲慢で身勝手な輩が多い。
そうでないものもいるが、八割方身勝手だ。
そんな奴等がガンドロン達が宝石を隠していると思えば、それを奪ってやろうと行動する。
どのくらいの規模で投入するのか分からないが、十や二十ではいかないだろう。
「未だ俺の事も探しているみたいだしな」
先程、変装して近くの町に行ってみたんだが、俺の似顔絵を持った軍人がうろうろしていた。
流石に俺に似顔絵を見せて「こいつがここらに現れなかったか?」と訊ねてきた時は流石に「目の前にいますよ」と言いたかったが、堪えた。笑いも。
警告はした筈だが、変に諦めが悪いからなー。
また度を越せばお灸を据えればいいかと放置した。
誰もいない山の中を駆け回ってろ。
「じゃあ、頼んだよ」
『グマモモ!』
更に増えて、総勢50匹になったクロマリモ隊がワアーッ!っと散っていった。
これで人間が来ても入り口付近で勝手に迷子になって元来た道へと自然に導いてくれるだろう。
「さて、帰るか」
後日、オレツの予想通りにやって来た大人数の軍がいたが、何故か誰一人として山に入ることが出来ずに表層をうろつかされ、一週間粘った後諦めて帰っていった様子が魔王城内で生中継されていた。
「………」
そんな中、一人の薄汚れた子供が草影から様子を見ていたのを、軍人達はおろか、オレツでさえも知らなかった。




