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その13 オレツの探し物.6

 空中に開いた穴から恐る恐ると人間が這い出てくる。

 剣も何も持っておらず、服装もみずぼらしい。

 だけど、無下にすることは出来ない。

 何て言ったってこの人間はオレツの親族なのだから。


『ようこそ、魔界へ』


 それでもナメられてはなるまいと、腰に手を当て堂々とそう言ってやれば、人間達は目を丸くした。

 そりゃあ初めて魔王を見るのだもの。驚くわよね。


『私はツマンティーヌ。魔王よ!本来ならここに立ち入ることすら不可能な私の聖域に足を踏み入れることが出来たのは、私の、お、………おと……夫となる男、オレツのお陰なのだからお前らはありがたくオレツに土下座して媚びへつらい感謝するのね!!』


 夫と言うときに顔が少し熱くなったが、何とか言い切った。親族であれどはじめが肝心なのだから。


「か……」


 か?


「可愛らしいいい!!!」

「あの子がオレツが言ってたツマさん!?お人形さんみたいじゃない!!」

「オレツの野郎!!こんなめんこい娘っ子をいつの間にか良い仲になってたなんてうらやまけしからん!!」

「今夜は赤飯たかにゃあ!!」


「!?」


 嘘、全然驚いていないわ!

 それどころかなんかめちゃくちゃ抱き付かれているしというよりも目の前のこのムキムキは何!!?男!?女!?


「コラ!!離れなさい!!ツマンティーヌさまのお召し物が汚れます!!」


 あわててラキが引き剥がす。

 魔王様は周りの魔力を吸収するのだ。魔力量がおかしいオレツ様や幹部クラスの魔物ならまだしも、魔力量の少ない人間が長い間くっついていればミイラになる。


「良いですか!?いくらオレツ様の親族であってもツマンティーヌ様は世界の半分を統べるお方です!!むやみに御近づきにならぬように!!分かりましたか!?」

「「「はい、すみませんでした」」」

「よろしい!」


 それにしても、オレツの突拍子の無い提案には毎回ビックリさせられる。

 だって、誰が人間を魔王城に隔離してくれって来ると思う?子ウサギをわざわざ熊の巣穴に放り込むのと同じなのだ。


 それでも許可をしたのは、オレツの頼みだからだ。

 でなければ、即、何言ってんだ死ね、で終わりだ。


 全員穴から這い出てきて、一番最年長が点呼を取っている。

 それを横目にツマンティーヌは出入り口になっていた黒マリモのモジャルが元の姿に戻っていくのを眺めた。

 まさか黒マリモでワープを繋ぐことが出来るとは。物は試しね。


 基本的に移動の魔法はマスのようにしか移動出来ない。

 それかレベルが高くなれば、対象の記憶のなかで鮮明に記憶している所に返す(オレツの使った通称実家送り)。移動の魔法使いのマーキングしたところへ飛ぶ(制限あり)やつ。ツマンティーヌの魔力で覆った範囲内を、魔道具の力も借りて飛ぶくらい。

 それが、植物の魔力の同調を使って道を作って、オレツとツマンティーヌの魔力で増大させて移動可能にするなんて。


 実験で通話が出来たからって、思い付くオレツもオレツだ。

 消費魔力が激しい。

 これはツマンティーヌとオレツとの協力があったからこそ出来た力業だ。


 モジャルを手に取り、まだオレツと繋がっているのを確かめてから話し掛けた。


『みんな来たわ!オレツは来ないの?』


 ─── 俺はちょーっとあいつらに痛い目を見せてから戻るよ!それまで頼んだ!お土産楽しみにしててね!


『…気を付けてね!お土産楽しみにしてるから!』


 ブツン。そんな音を立てて繋がりが切れた。

 痛い目を見せてから、か。



 ツマンティーヌの脳内に、古い記憶が甦った。

 大きな敵に臆することなく果敢に立ち向かっていった子供。




 オレツを怒らせると怖いって事を、人間は思い知るが良いわ。



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