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機神漫遊記 ~異世界生まれの最終兵器~  作者: 十月隼
一章 機神と王都
16/197

捜査

 明けて翌日、朝の早い時間からやっている店がようやく開きだした時間帯。ボクは再び臨険士(フェイサー)組合(ギルド)の前に立っていた。

 扉の前まで来て一旦立ち止まると装備を再チェック。鞄を中身ごと置いてきただけで服装自体は昨日と同じ。それに加えてついさっきそこの武具屋で買った安物の革胸当て(レザーガード)を装着済みで、腰には一緒にそろえた小剣(ショートソード)を提げている。いかにも『初心者臨険士(フェイサー)』でございって格好だ。まあ外套の前は閉じてるからパッと見じゃわからないだろうけどね。


「よしっと……」


 予定通り過不足がないことを確認してフードをかぶり直す。そしておもむろに扉を開ければ、昨日のガラガラ具合が打って変わってかなりの人が集まっているのが視界に入った。

 踏み入りながらざっと眺めてみたところ二十代から四十前くらいの男の人が比率的には多いようだけど、それでもそれぞれ思い思いの装備を身につけた老若男女が勢揃いだ。ただ、よく観察してみればその居場所によって雰囲気が違っている。

 今一番人の集まっている掲示板前には十代から二十代くらいの若手っぽい人たちで、目を皿のように見開いて張り出されている依頼票を吟味している。時々いいのを見つけたのか素早く依頼票をはぎ取っては一人で、あるいは仲間らしき人と一緒に受付へと向かう。身につけている装備はまだ新しかったり造りが簡素だったりといったものが目立つから、たぶんボクみたいな新人やランクが低い人なんだろうな。

 それに対して待合いスペースにたむろしている人たちは、十代もいるようだけど圧倒的に二十後半から三十代に見える人が多い。そこそこ年季が入った装備を身につけてなにやら真剣な顔で相談していたり地図を見ながら何かを検討していたり、なんというかベテランの落ち着きを感じさせてくれる。

 そして受付前にちらほらいる人たちは……なんというか、格が違うって言うのかな? 年齢はまちまちだけど素人目にも造りが立派な装備に身を固めて受付嬢の人とやりとりをしていたり、掲示板に群がる人だかりを不適な笑顔で眺めていたりとむちゃくちゃ余裕がありそうに見える。きっと一流の人たちなんだろうな。

 そんな風に眺めていると、ふと受付前のおそらく一流さんグループの一人と目がバッチリ合った。というか、そのニヤニヤ顔から察するにボクが組合(ギルド)に入ってきた時点で気づいてずっとこっちを見てたんだろうなって思ってしまう。


「いよぅウル。今日こそ初依頼か? 武器はしっかり持ってきたか?」


 ボクが気づいたことを察して受付を離れ、そんなことを言いながら近づいてくる三十代のごわ髭傷だらけの顔(スカーフェイス)。昨日ボクに絡んできた戦闘民族のおっさんだ。


「そうだよ、なにか文句あるの?」

「いやぁ、それにしちゃ遅いご登場だと思ってな? おいしい依頼ってのは早いもん勝ち、見つけたもん勝ちだぜ?」


 昨日の今日だし(あいさつ)が飛んでくるのを警戒しつつ応じれば、そんなことを言いつつ掲示板の方を顎でしゃくって示す。釣られて見てみれば見習い(ストーン)ランク向けの依頼が張り出されるスペースの依頼票が次々とはがされていっている。

 ただ、そのほとんどが上のランクの臨険士(フェイサー)が募集する荷物持ちとか雑用要員の募集だ。概要を見る限りいろいろと条件は違っているようだけど基本的に街の外でそれなりの期間拘束されるようで、いくら実入りが良くても残念ながら今のボクの目的には合わないから無くなったところで問題はない。


「今はまだ別にいいよ。他にやりたいことがあるからね」


 適当に返しつつ良さそうな依頼がないか遠目に見繕えば、掲示板の端の方にちょうどいいのが見つかった。さっそく人垣に分け入り、押し合いへし合いしている間を強引に通り抜けていく。途中ものすごく迷惑そうな目を向けられたり露骨に睨まれたりしたけど気にしない気にしない。

 すぐに最前列まで到達して、なぜか厚めの束になっている目的の依頼票の一番上を手に取った。


《内容:街の清掃

 場所:王都一帯

 期間:一日

 報酬:十ルミル~

 発行:レイベア衛生局

 補足:成果に応じて報酬増》


 うん、これこれこういうの。簡潔に書かれているけどこれならちょうど良く目的が達成できる。念のため二、三枚依頼票をめくってみたけどどれも同じ内容だった。あれかな、どれだけ人がいてもいい内容だからこんなにまとめて張り出されてるのかな?

 とりあえず問題なさそうだから一番上の一枚をはがして再び人垣を突破。


「おっ、戻って来やがったか。どんなうまい話見つけたんだ、ん?」


そしてなぜか待ち受けていた戦闘民族のおっさんに馴れ馴れしく呼び止められた。


「別に関係ないでしょ。あっち行ってよ」

「まあまあ、そうつれねぇこと言うもんじゃねぇよ。オレとお前の仲じゃねぇか」


 なんだよ『オレとお前の仲』って。ボクこの人と仲良くなるようなイベントあったっけ? 変に絡まれたくらいしか覚えがないんだけど?

 内心首をかしげながらも無視して受付に行こうとしたけど、後ろからのぞき込むようにしておっさんはボクが持つ依頼票に目を通した。


「あん? お前、常時依頼のゴミ拾いなんか受けんのか?」

「そうだよ悪い?」


 意外そうな言葉につい返事をしてしまえば、戦闘民族のおっさんは首をひねりながら問いかけてくる。


「別に悪かねぇが、意外だな。お前みてぇな新人はまず有名どころの荷物持ちを選びたがるもんだが」


 なんでみんなそんな荷物持ちを――ああそうか、それが昇格条件に絡んでくるわけか。

 おっさんの言い分を不思議に思いはしたもののすぐに昨夜熟読した組合(ギルド)規約の昇格条件を思い出して納得する。


「昇格を急いでるわけじゃないからね。まずは手頃な仕事からってことだよ」

「はっはあ、いい心がけだぜ!」


 適当に応えると戦闘民族のおっさんはなぜか笑い声を上げて背中を景気よく叩いてきた。どうやら加減されてるみたいだけど、生身だったら息が詰まってる勢いだ。


「ちょっとやめてよ!」

「おっと悪ぃな。ま、せいぜい頑張んな!」


 さすがに煩わしくなって払いのけようとすると、見越したようにスルリと離れていくおっさん。なんなんだよもう、結局ちゃかしに来ただけかあの人。意味はないとはわかりつつも腹立ち紛れに組合(ギルド)の出口に向かう背中を睨み付けておく。と、なぜかまわりの視線が自分に集まっていることに気づいた。

 見回してみるとベテラン以上っぽい人は目が合いそうになった瞬間スッと視線を外したり、逆に興味深げに見つめ返したりといろいろな反応が返ってきた。そしてなぜか駆け出しっぽい相手からは敵意の籠もった視線で睨み返される。確かにちょっと騒いだ自覚はあるけど、それにしては変な反応だなー。

 ……まあ深く考えてもしかたないか。とりあえず、さっさと正式に依頼を受けないと。



 さてさてここでどうしてボクが衛生局――いわゆる街を綺麗にするためのお役所から借りた籠を背負って火バサミ片手に王都のゴミ拾いをしているかと言うと、ずばり昨日ガイウスおじさんに持ちかけた提案のためだ。

 どうやらここ王都レイベアには人をさらって売り飛ばす裏組織がのさばっているのらしい。でも当局――この場合はガイウスおじさんの手勢じゃ正体をつかめない。当然摘発や取り潰しなんてやりたくてもできない状態だ。

 そこで発想の転換。探しても見つからないなら誘い出せばいい。具体的には信用のおける人をわざとさらわせて本拠地を暴き出し、そこを一気に取り締まる。ボクが提案した話の大まかなところはそういうものだ。

 まあ前の世界の記憶にある映画だのドラマだのからそのまま引用してきただけだから同じ知識があれば誰にだって思いつくから自慢するような話でもない。というかそれ以前の問題でガイウスおじさんたちも同じ発想にはとっくの昔に至っていたらしいから、こういった展開は世界線が違っても共通するものなんだな、なんてちょっと関心したくらいだ。

 まあボクの感想は脇に置いて、それじゃなんで実行してなかったかというとぶっちゃけさらわれ役が問題だった。わかっている情報じゃ、組織が関わったと思われる誘拐は与しやすそうな相手を無作為に選んで人目の付かない場所で行われている。

 ならまず筋骨隆々な、いかにも『暴力大歓迎』なんて人は見向きもされないだろう。逃がしたりする可能性もあるだろうから一度に狙うのは一人か、多くて二人まで。

 つまりは見るからに弱そうな人だけど、ほとんど単独で悪者の目をかいくぐって最低限連絡を行えるような人じゃないといけないわけだ。国が抱えるような諜報機関とかにはいるかもしれないけど、ガイウスおじさんが個人で動かせる範囲には残念ながらそういう人はいないらしい。

 よしんばそういう人が用意できたとしても、人さらいが食いついてくれるかはほとんど運任せ。おびき出そうと下手につつけば、釣れるかもしれないけど逆に警戒をより強めさせてしまう可能性の方が高い。

 そこで登場するのがこのボクだ。どうやら申告年齢に対して小柄な上に筋肉が付いているようには見えない――つまりはひ弱そうであり、かつ顔を見せれば絶世クラス。これをおいしい獲物と思わない誘拐犯がいたら逆に見てみたい。

 身分的にも臨険士(フェイサー)っていう何があっても不思議じゃない職業に登録したての超下っ端。加えて余所者だからいなくなっても心配するような相手もいない。

 その上で本拠地に連れて行かれたとしてもこっそり連絡を取る……のはちょっと自信がないけど、そのまま内部で暴れ回って組織自体を壊滅させる方なら、やったことはないけどめちゃくちゃ自信がある。それでなくてもおそらくは街の中か近郊にあると予想される拠点だ。盛大な花火の一つ二つぶちかませばあっという間に発覚する。

 残るはボクに対する信用っていう点だったけど、そこはガイウスおじさんが『あの婆さまの最高傑作なら可能であろうな』とあっさりクリアできた。おじさん、ボクがばーちゃんの最高傑作だってあっさり見抜いたこともさながら、イルナばーちゃんへの突き抜けたある種の信頼がすごすぎて逆に恐い。

 ……ぶっちゃけて言えば、この誘拐組織の一件にボクが関わらなきゃいけない理由はない。それでも自分から積極的に首を突っ込もうと思ったのにはいくつか理由がある。

 一つはあそこまで話を聞いて役に立つ力があるのに我関せずなんていうのは人としてどうかと思ったこと。そりゃ身体は機工だけど、だからこそボクとしては心は人であり続けたいんだ。

 二つ目は単純にその裏組織が気にくわないから。別に奴隷制度についてとやかく言うほど見識が深い訳じゃないけど、法律とかがしっかりしていて単純に生涯賃金全額先払いの終身雇用とかなら当事者が納得していればそれでいいと思うし、重犯罪者をこき使って贖罪に当てる犯罪奴隷とかはむしろ必要なんじゃないかとさえ思う。

 けど、当人の意志を無視して売り飛ばして利益だけは自分たちのものなんて考え方の『悪人』は断固として滅ぼすべきだ。

 そう話した時ガイウスおじさんは難しい顔をしていたけど、この二つの理由だけでボクとしては自分から関わるには十分な理由だ。そしてそれはイルナばーちゃんがボクに託した『願い』にも通じる。だからこそためらう理由はない。

 ……暗躍する悪の組織を成敗するって言ういかにもなシチュエーションに惹かれていないなんてことは言えないけど。

 とにかくそういうわけで進んで囮役に立候補した後、夕食を挟んでいろいろと相談して作戦を詰めていって今に至るわけだ。

 そしてその作戦の中に人さらいを餌に食いつかせるための手段もあった。その手段というのが――


「あ、すみませーん」


 人通りの少ない路地をゴミ拾いしながら歩いていれば、当然それ以上の大きさ――たとえばたむろしている人なんかは簡単に見つかる。だからガイウスおじさんの作戦に従って目に付いた小集団に声をかけた。全員もれなくガラが悪そうなのは気にしない。


「あん? ガキがなんの用――」


 声をかけた瞬間威圧してくるけど、かぶったフードを払って素顔を見せることで黙らせる。そうしてそろってポカンとしているところに営業スマイルを浮かべながら問いかけた。


「お兄さんたち、人をさらう悪い人たちについて何か知らない?」

「え、あ……」

「人さらいの悪者たちだよ。知ってることがあったら教えて欲しいな?」


 言いながらなるべくかわいらしく小首をかしげてみせる。ガイウスおじさん監督のもと特訓した悩殺モーションが効いたのか、我に返ったガラの悪いお兄さんたちは互いに顔を見合わせると異口同音に『知らない』って答えてくれた。


「そっか。じゃあこの人を見かけたりしなかった?」


 その反応は想定通りなのであっさりと流し、懐から取り出した紙を広げて見せながらもう一度問いかける。

 そこに描かれているのは例の取り逃がした誘拐組織の幹部とおぼしき女の似顔絵。エリシェナの証言と監修を受けながらジュナスさんが一晩で書き上げてくれたやつだ。本職かと思うくらい上手く描けていて、モデルを見ていないボクでも本人を見れば一発でわかりそうなほどだ。

 でも人相書きを見たガラの悪いお兄さんたちが首を振っているところを見るとこっちも見かけてない様子だ。


「そっかー。ありがとう、お邪魔しました」


 目的も果たしたので人相書きをしまうとフードをかぶり直し、笑顔で手を振って別れる。お兄さんたちも戸惑いながらぎこちなく手を振り返してくれたの視界の端に納めながらゴミ拾いと証人捜しを再開した。

 これがわざわざゴミ拾いの依頼を受けた理由だ。もちろん虱潰しに探すだけで裏組織なんかが見つかるとは思ってない。ものすごく運が良ければ本当に見つかったりするかもしれないけど、これの主な目的は『話を広めながら裏組織を探す何者かがいる』っていう事実を広めることだ。

 今までずっと人知れずコソコソとしていた人さらいたち。そのおかげか街でもほとんど噂になっていないようだけど、そこに誘拐組織についておおっぴらに探し回っている相手が現れればどうなるか。

 そのことが少しでも街の人たちの話に上るようなことになれば警戒されるようになるだろう。実際に行方不明者は出ているわけだからそのうち衛兵の巡回が増えたり外を出歩く人が減ったりするかもしれない。そうすれば誘拐がやりづらくなることだろう。

 ならそうなる前に原因になっている相手をどうにかしなければならなくなるわけで、前の世界の記憶にある映画とかでも裏組織について嗅ぎ回る主人公を排除しようと組織の人間が出張ってくるのはよくある話。

 そして今回のターゲットは人さらいの組織で、排除対象がボクみたいなおいしい獲物だった場合、まず間違いなくそのままさらって売り飛ばそうとするだろう。口をふさげて利益も入るんだからしない理由がない。そしてそうなってくれればもうこっちのものだ。

 ただしこれは乏しい情報を元にした希望的観測な面があるのもわかっている。だからこそボク一人じゃどこかでボロが出るかもしれないとガイウスおじさんと詳細を詰めた。設定としては『運良くお嬢様を悪者から助け出し、調子に乗って誘拐組織に手を出そうとしている向こう見ずな子供』とのこと。ちょっと酷い言われようだなって思わなくもないけど、なるべくそう見えるように用意をしてきた。

 容姿に関しては問題なしとして、開けっぴろげな聞き込みで諜報の素人を演出――まあ演出もなにも実際素人だからここもオッケー。臨険士(フェイサー)とは言っても見習い相当だからそこまで戦闘力を警戒されることもないだろうし、チンピラたちをノしたのが知られたって今なら『何かの間違いだろう』ですませられる可能性が圧倒的に高い。

 だから何も知らない相手からすればボクのことは『運良く悪者を倒して調子に乗っている正義感の強い子供』って見えるだろう。

 ……半分くらいは素でその通りなのは認めようと思う、うん。『下手に演技をして不自然になられても困る』ってガイウスおじさんに言われたからそうなったんだけど。

 あとはその上で公爵家と深い繋がりが見えないように宿泊場所を適当な宿屋に移して、組織の連中が襲撃を計画しやすいよう宿と臨険士(フェイサー)組合(ギルド)、ついでに偶然だけど衛生局を定点に決めて、その間を定期的に行き来してもおかしくない理由として依頼を受けた。

 依頼の内容的にもちょうど良く人気の少ない場所をうろうろしててもそれほど不審に思われないようなものだ。ここまで見越して街中の依頼を受けるように指示してきたガイウスおじさんはさすが古株の貴族様って感じだ。

 そんなわけで表面上は取り繕いつつある意味下心満載で見かける人に片っ端から声をかけていくことしばらく。


「――ああ、それなら知ってるぜ」


 なんと、何組目かでまさかそんなことを言ってくる相手に行き当たった。


「ホントに?」

「もちろんさ。なあお前ら、あれのことだと思うだろう?」


 意外な展開に思わず聞き返せば、少々厳ついその人はニヤニヤと笑いながら振り返って仲間らしき人たちに確認を取った。そうすればそこにいた四人は「ああ、あれだな」「あれだろ、知ってる知ってる」「あれのことだよなぁ」「おお、あれだな」なんて口々に返事をした――そろって嫌らしいニヤニヤ笑いを浮かべながら。

 ……これは、うん、あれだよねたぶん。

 いやまあ万が一ってこともあるしダメ元だし、ここは乗っとこうか。


「それじゃあ、良かったら教えて欲しいんだけど」

「ああいいぜ。こっちだ、付いて来な」


 内心はおくびにも出さず尋ねればより人気のない方へと誘われた。

 その後を素直に付いていってしばらく、ここだと言わんばかりに立ち止まったのは人の目が届かない薄暗い路地のど真ん中だ。ご丁寧に前を三人、後ろを二人で囲っていらっしゃる。


「……ここに何かあるのかな?」

「いやなに、世間知らずのお嬢ちゃんにちょいとばかり世の中を教える講義場所さ」

「おとなしく授業料を置いて行きな。ちぃっとばかし高いがな」

「払えないって言うなら体で払ってもらおうか」


 一応嫌らしい笑みを浮かべる厳つい人たちに確認を取ってみるけど、半ば予想していた答えが返ってきてため息が出る。この身体になってから女の子に見られるのはまあ納得できるからいいとして、外見的にまだティーンだよ? この世界にはロリコンが多いのかな? あ、でも十五で成人なら結婚適齢期もその辺だろうからそう考えればギリギリセーフなのかな?

 まあなんにせよ――


「ハズレかぁ……」


 我慢できずにぼやきが漏れた。うん、最初っから期待はしてなかったけど……してなかったけど。しかたない、さっさと片付けちゃおう。

 ゴミ入りの籠を背負ってるから跳んだり跳ねたりしたら中身がこぼれる。なので左右の手で作った指鉄砲をそれぞれ前後に向けて、馬鹿にしたような笑い声を上げ始めるのには構わず『雷撃』の魔導回路(サーキット)を描く。


「ばちぃ」

「ガッ……!」


 呟きと共に発動させた電流を浴びて厳つい人たちはあっさりと無力化。まとめて巻き込めるよう術式の威力を強めにいじったせいか全員がちょっぴり焦げ臭くなって痙攣してるけど、まあ死んでないからいいや。多少はそれこそ授業料とでも思ってもらおう――そうだね、人を外見で判断する危険性に関しての。

 ……ところでこいつら、衛生局に持って行ったら街のゴミとして報酬上乗せにならないかな? ダメか。



 そのうち追いつくだろうと思いながら書きため分をどんどん増やしていってたら、いつの間にか一章分の原稿ができていました。(驚愕)

 なので次からはそこまでの分が終わるまで投稿ペースを毎日に変更します。

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