橙石の月、2日
なんかめっちゃ長くなりそうなので、一回きりがよさそうなところで止めました。
すいません……。
下に、続きのURLを張っておきます。
事の始まりは、前日30日の仕事が終わって寮に帰ってきた時。
知り合いの冒険者さんが、とある街の近くにダンジョンが出来たので探索、場合によっては潰してくるという依頼を受けたがパーティメンバーの一人が諸事情によって参加できなくなり、欠員をなんとかしないといけないと、わざわざ寮の前で相談をしていたのだ。
明らかに、俺狙いだった。
今でこそ冒険者ギルドの端っこで傷薬作るのを専門としてるけど、この仕事に就く前に少しだけ冒険者だった事もあって薬の材料集めは自分でするし、あまりにも傷薬の依頼がない時はすぐに終わる依頼を受けたりしている。
そういうのを知っているから、狙われてしまったんだろうなぁ……。
そんなわけで寮の前で俺を待っていた人、面倒だから剣士さんとするか。
剣士さんのパーティは普段4人で活動していて、討伐系の依頼をよく受けている。
メンバーは前衛担当でリーダーの剣士さん。
索敵と遊撃担当の弓士さん。
ものすごく珍しい回復魔法が使えて剣士さんの奥さんの僧侶さん。
攻撃魔法が使える後衛担当の術士さん。
この4人で普段は活動してるんだけど、どうも弓士さんが特別な用事が出来たらしく参加できないそうなのだ。
でも、俺は索敵とか出来ないから無理だと思ったら、今回は別のパーティと合同で依頼を受けるらしく、とりあえず人数を欠かすわけにはいかないらしい。
さらに、ギルド長にすでに話を通しているらしく、パーティに参加するのはもう決まっているようなものだった。
まぁ、俺に出来ることであればと思い、夕飯を食いながら話を聞くことに。
目的となる最近出来たというそのダンジョンは、街にあまりにも近くてモンスターが溢れてくる可能性を考えると即座に潰した方がいいとギルドが判断、依頼を即座に出したのだが、その街の冒険者たちがたまたま他の依頼でほとんどいなかったらしく、近隣の冒険者ギルドに要請を出した。というのが今回の話の始まりらしい。
剣士さんのパーティと、別の街の冒険者パーティが立候補して、その街のギルドとしては即座に対応してほしいかったようで、二組同時による攻略を許可した。
それが昨日、俺が隣町のギルドに行っている間に連絡がきたそうな。
で、元々の剣士さんパーティの予定はというと数日前に一つ依頼を終えたところだったそうなので、休みにしようとしてたらしい。
そこに今回の緊急とも言える依頼が入り、金払いもよさそうなので剣士さんが独断で依頼を受けてしまった。
そのため、この休みを利用して何かをしようとしてた弓士さんは参加できない。依頼の参加人数は4人としてしまった。どうするよ。
で、ギルド長が俺を連れて行っていいと言ってきたらしい。あのじじいめ……!
話は分かったので、何をすればいいのかを質問する。
といっても俺に出来ることは、メイスで敵を殴ることだけ。
一人で動くことが多いから、索敵も出来ないことはないけど専門家には負ける。
傷薬を作れるけど、時間がめちゃくちゃかかるし僧侶さんがいるから回復系は問題ない。
ここらへんまで剣士さんは分かってくれていたようで、遊撃担当として動いてもらいたいとお願いをされた。
索敵に関しては、別パーティさんの手伝いをするくらいでいいと決める。
翌日の出発時間を確認し、細々とした道具類は剣士さんの方で用意してあるから気持ちと武器をしっかり用意して来てくれと話をしてその日は解散となった。
翌日。
普段より少し早い朝日がようやく見えてきた頃。使い慣れたレザーアーマーを着込み、長年の相棒ともいえるメイスを持ってギルドに向かう。
ギルドの前には、緊急移動用の竜車が止まっていた。
竜車とは、その名の通り竜と呼ばれる馬に似ているが鱗と鋭い爪と大きな牙が特徴の生物に車を引かせるもので、馬よりもずっと早いがエサの量が半端ないので滅多に使われないやつだ。
そんな竜車が出るという事は、かなりヤバいのではないのだろうかと不安になる俺。
そこにギルドの中から剣士さんと僧侶さん、術士さんが出てくる。
三人の装備は以下のような感じだった。
剣士さんは、前衛で敵の攻撃を一番受ける為に大きい盾を持ち、金属性のスケイルアーマーを着込み、背中に槍を背負っている。
僧侶さんは、教会から支給される十字のような形の杖を持ち、修道服の上からレザーアーマーを着ている。
術士さんは、不思議な形の杖を持ち、真っ黒なローブを羽織っている。
そして、三人とも同じ形のリュックを背負っている。
ギルド長も出てきたので、出発の挨拶をして竜車に乗り込む。
初めて乗る竜車だが、中身は普通の馬車と変わらなくてほっとしていたら、剣士さんから覚悟しておくといいと言われた。
今だからこそ分かるが、中身が普通の馬車と変わらないのに、馬よりも早く走る竜で走ったらどうなるか。
それは。
めっちゃ揺れる。
まぁ、当然の結果だった。
こういう事態の時の為に、ギルドは街道を整備しているのだ。
剣士さん曰く、ちゃんとした道だからいいけど、そうじゃなければ本当に大変なんだ。と。
半日休みなしで走り続けたと時はしばらくまともに立てなかったとか……。恐ろしい……。
今回は2時間ほど。俺はフラフラでよく胃の中を戻さなかったと自分を褒めていた。
そして、例の街のギルド長と思われる人と挨拶をし、今回一緒に行動するパーティと対面する。
別の街の冒険者さんのパーティは、ちょっと、いやかなり特殊だった。
俺がいるけど、剣士さんのパーティが前衛、後衛がいて一般的な構成だとするなら、そのパーティは。
前衛しかいなかった。
しかも、みんなやたら巨大な武器を持ってる。
剣だったり、メイスだったり、そんなのを振り回す為にムキムキで。
なんていうか、すごかった。
後から聞いたけど、どうやら別の街でダンジョン潰し専門に活動している冒険者さんだったみたいで、話を聞いたときすごく納得した。
ムキムキパーティの中で一番大きな武器を背負っている人がリーダーのようで、剣士さんとダンジョンに向かいながら打ち合わせをする。
まぁ、なんというか予感はしていたけど、ムキムキパーティ側からの要請で最下層まで彼らが先行してモンスターを倒し、俺たち剣士さんパーティは殿を務めてもらうと。
ダンジョンは出来て時間が経過すると宝箱を置くことがあるのだが、今回は出来たばかりだから探索は最低限にしてダンジョン最奥のボスを目指す。
ボス戦時には、剣士さんパーティに術士さんがいるので、ムキムキパーティが壁になるから大きいの一発ガツンと決めて終わらせるという単純明快な作戦を建てられた。
それで本当に大丈夫なのか心配だったけど、ムキムキパーティがいつもこんな感じでやっているからなんとかなる。と言っているうちにダンジョンの前に着く。
そういえば、ダンジョンについて確認してなかった。
ダンジョンとは、いわばモンスターの巣。ただし、モンスター自体が作るのではなく、ある日突然出てくるもので、草原にいきなり穴が出来たり、森が出来たり、色んなパターンが報告されているが共通する特徴として、一番奥にボスと呼ばれるモンスターがいて、ボスを倒すとダンジョンが消える。
今回のダンジョンの入り口は草原の真ん中に大きな穴が開いているタイプで、なんだか獲物を待ち構えて口を広げている化け物のように見えた。
・ ・ ・
やばい、これからダンジョン探索で色々あるのに、前段階だけでこんなに長くなってしまった。
しょうがないから、次の休みにしよう……。
読んでいただき、ありがとうございます。
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