第19話 「戦争」
「え、西園寺ってそんな‥‥。」
姉の口から出てきた意外な名前に驚く麦子。西園寺信虎はまぎれもなく西園寺光太郎の父である。まさか光太郎もこの件に関係しているというのか。
「その話、本当なの‥‥?」
「ええ、実際についこの間まで私は西園寺家で実験に協力してたんだから。」
西園寺家でサイボーグ実験が行われていた。そのことを西園寺家の御曹司である光太郎が知らないわけがない。
(そんな‥‥。光太郎はサイボーグについて知っていたのに、私には知らないフリをしていたってこと‥‥?私を騙してた‥‥?)
ショックだった。光太郎との出会いは最悪で、最初の頃は言い争いやケンカもした。でも次第に彼の魅力に気づいた。そしてだんだんと惹かれていった。今では、光太郎は信用に足る人物だと思っていた。だからこそ、ショックも余計に大きかった。
「え、えっと‥‥。あ、そうだ!その実験とやらは結局どうなったの?お姉ちゃん、こんなところで油売ってていいの?」
「いいのよ。だって実験はもう成功したもの‥‥。」
茜はニタッと笑いながら答えた。そして茜はさらに衝撃の言葉を発する。
「いよいよ新時代の幕開けね。サイボーグを使った新しい戦争の始まりよ。」
「新しい戦争‥‥?」
戦闘に特化したサイボーグの大量生産。そんなことをする目的と言えば一つしかない。『戦争』だ。麦子もそのことは薄々わかっていた。
「ねえ、相手は?相手はどこなの?一体西園寺グループはどこと戦争しようと‥‥。」
「相手はライバル会社の大伴グループ。いままでも何度か武力衝突したことはあったけどね。サイボーグを使うのは今回が初‥‥。」
大伴グループも西園寺グループと並んで有名なメーカーであり、この両社の仲の悪さは有名だった。
「そう‥‥。光太郎もこの戦争に参加してるのかな‥‥。」
麦子はそう呟きながら、天を見た。すっかりあたりは暗くなり、綺麗な満月が見えた。
その頃、大伴グループ本社を西園寺のサイボーグ部隊が奇襲。戦闘に特化されたそのサイボーグたちの強さは圧倒的で、大伴の兵達は次々と無惨に散っていった。
「ゆけ!一気に制圧してしまえ!」
そして、その無敵のサイボーグ部隊を指揮する一人の男の姿が。
(麦子さん‥‥、ごめん‥‥!)
その男こそ、西園寺家の御曹司・西園寺光太郎であった。




