第1話 「出会い」
「遅刻、遅刻~!」
私立マーガリン高校に通う普通の女子高生・山崎麦子は、新学期早々寝坊をしてしまい、パンを口にくわえ、あわてて家を出た。
「あっ!」
麦子は学校に向かう途中、急ぐあまり口にくわえていたパンを落としてしまった。しかし、パンを拾っていては学校に間に合わない。そう考えた麦子は、落としたパンを無視し、先を急ごうとした。
「あの、パン落としましたよ。」
後ろから声がしたので、振り返ると、一人の男が立っていた。その男は落ちたパンを拾うと麦子に差し出した。
「食べ物を粗末にしてはダメですよ。特にパンは。」
麦子はムッとした。なぜ赤の他人にそんな偉そうなことを言われなければいけないのか。そもそも、人のくわえていたパンを拾うなんてどうかしている。
「は?アンタ誰よ!私は急いでるのよ!そんなにパンがもったいないと思うなら、アンタが食べればいいじゃない!」
そう麦子は吐き捨てると、再び学校へむかおうとした。しかし、走り出したその時、朝のホームルームのチャイムが聞こえた。
「山崎さん!新学期早々遅刻するなんていい度胸ね。」
顔を真っ赤にして怒っているのは、担任の田中花子先生だ。
(遅刻したのはあの男のせいだわ。ほんとムカツク!)
麦子はパンを拾ったあの男を思い出し、なんだか腹立たしくなった。
「まあ、いいわ。今日はアナタに関わっている暇はないの。転校生を紹介します。入って!」
田中先生がそう言うと、扉から一人の男が入ってきた。
「転校してきました西園寺光太郎です。みなさんよろしくお願いします。」
麦子は転校生の顔を見て驚いた。それもそのはず、転校生はなんとさっきのパンを拾った男だったのだ。麦子は思わず叫んでしまった。
「あー!さっきのお節介野郎!」




