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7.

 3時限目と4時限目の間の休み時間の時に未皐は「そういえば」と切り出し、聞いてもいない神崎の情報を話し出した。


 その時の未皐の情報によると神崎は昼の時こそ1組(俺のクラス)に来ては一人で飯を食っているが流石に友達がいないと言う事は無いらしく、4組では話したりしているらしい事。昼休みに限らず10分間の小休み時間の時なぜか毎回1組の前を横切るらしいと言う事を聞いた。


 それを聞いてなんとなく教室の空いているドアの外へ視線を向けると神埼が丁度通りすぎるところが見えた。なんでかは知らないがどうやら本当らしかった。

 

 それにしてもなんでこんなこと未皐が知ってんだ?




 時間は昼休みになり、いつものようにダッシュで購買に行きおばちゃん争奪戦に勝利し、カツパンとメロンパンを持って購買から自分のクラスへと移動している時だった。


「直之くん」 


 突然後ろから声がかかる。

 女子の声だ。


「ん?」


 誰だ。俺を名前で呼ぶ奴なんか知らんぞ。

 と思い振り返るとそこには何故か神埼がカメラを持って立っている。


「げっ……」


 なんだか昨日の事で苦手意識を持ったのか嫌な顔をしてしまった。


「えっ……」


 神崎は目を見開き呆然とする。


「あ! いや、今のはちがうんだ。丁度家に忘れ物をしたのを思い出しちゃって。あはは……」

 

 一応顔を見て「げっ」なんて言ったのは失礼なのでごまかしておく。

 いや、見た目は可愛いんだけどな?


「そ、そうだよね。よかった」

 

 神崎は胸に手をあて心底安心しきった表情を見せる。


「で、何か用があるから話しかけたんじゃないの?」


 別に急いでるわけじゃないが用件を促す。


「写真を撮らせて欲しいの」

「へ? なんで?」


 突然の事に俺はとぼけた声を出していた。

 いきなり写真を撮らせてなんて言われたらこうもなるだろう。

 確かにカメラを持っているようだが。


「あ、いや、私広報委員なの、それで、直之くんの正面からの写真が欲しくって」


 そういうことか。

 てっきり魂を取るカメラなのかと、ってなにを考えてるんだ俺は。


「あぁ、広報委員ってそういうこともすんのか」


 と返した頃には既に神埼はカメラを構えていて、

 パシャ、と音がなる。カメラが俺のことをしっかりと記録したというサインだ。


「あ、ありがとー」


 と神崎は言いながらそそくさと走り去っていった。

 取り残された俺は 

 俺、まだ良いって言ってないんだけど……?

 と思いながら俺は自分のクラスへと戻る。

 まぁ、俺の写真で良いならいくらでも撮るがいいさ。

 と、言うかよく考えたら何で俺の写真?

 



 俺が自分の席に着く頃には未皐の弁当は既に四分の一ほどしか残ってはいなかった。


「遅かったな。購買が混んでいたのか?」

「いや、購買では見事にカツパンとメロンパンを入手した。パーフェクトにエクセレントなんだけど……」


 補足だがカツパンとメロンパンは最も人気のある商品のうちの2つである。勿論競争率は高い。


「なにかあったのか?」

「購買から戻る途中に神崎に話しかけられたんだよ」


 少し悩んだがさっきあったことを未皐に相談してみる事にした。


「ほう」


 未皐は興味津々と言った様子で俺の言葉に耳を傾ける。


「んで広報委員だから写真取らせてーなんて言われて気づいたら写真を撮られていた。」

「確かに神崎は広報委員だったな。確か、副委員長だったぞ」

「そうなのか」


 いろいろ教えてくれるのはいいけどなんでこんなに詳しいのこいつ。


「でもなんでお前の写真なんかを? なにかしていたのか?」


 当然の疑問に未皐も辿り着く。


「いや、それなんだが全く心当たりがないんだ。」


 心当たりがないことも無い。もしかしたらし写真を切り刻まれたり、果てには藁人形に貼り付けられたりする事も在るかもしれない。あれ?藁人形は爪を入れるんだっけか?


「ふむ」


 未皐は考え事をするような仕草をとる。

 それを見て俺は買ってきたカツパンをあけ、ほおばるとかばんから十八茶を取り出す。


「わからんな、そもそも広報委員はそんなに仕事は無かったはずだが」


「そうなのか?」


 俺もなんとか委員に入っていた筈だがサボったため委員会の事が詳しくは知らない。


「俺は1年の時広報委員だったが写真を撮ったりすることは無かった。もっとも、副委員長ならではの仕事、と言う事も考えられるが」


 未皐は広報委員をやってたのか、知らなかった。


「ほうん……」


 カツパンを食べ終わりメロンパンの封を切る。


「帰ってきたようだぞ」


 突然未皐が電波な事を言い出した。


「なにが帰ってきたんだよ、宇宙人か? ウル○ラマンか?」

「なに電波な事言ってんだ。神崎の事だよ」


 未皐は電波じゃなかった。すまん、俺が電波でした。


「ああ」


 俺は振り返らずにメロンパンに噛り付く。


「そういえば神崎は1組にいる時偶にこちらを見て不機嫌なオーラを出している時があるような気がするんだがお前なにかしたのか?」


 うげ、これは嫌われてるの確定と見て良いな。


「なんもしてない……筈だけど」


 なんもしてない、なんもしてないけど確実に嫌われている。

 とりあえずなんもしてないのは事実だし嘘は言っていない。


「前途多難だな」


 未皐は何か勘違いをしていると思う。


「なにがだよ」

「いや、なにも」


 未皐ははぐらかすと英語の予習を始めてしまった。

 俺はメロンパンを食べ終わると十八茶を一口のみ机にうつ伏せになり目を閉じる。


 うつぶせになる直前神崎がこちらを見つめていたような気がした。

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