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9.

「お兄ちゃ~ん?」


 俺は亜衣の声で我に返った。時計を見ると10分ほど経過していて、どうやらあれからしばらく脳の機能が停止していたらしく、亜衣は俺の部屋の前にいるようだった。とにかく返事をしなければならない。


「あ、あ? ど、どうしたんだ?」


 突然の事でどもってしまう。


「さっきの手紙はなんだったの!? 私にもみせなさいよぉ!」

「なんてことはない、えっと、明日の天気ははれですねーって……書いてあったんだ、よ。」


 我ながらかなり無理のある言い訳だった。こういう時嘘を付き慣れておくと上手く逃れられるのだろうが。


「そんな訳ないでしょ! あ! さては!」


 亜衣は興奮したように言うと、


「さてはラブレターだったのね! 裏の字が女の子の字だったから! 遂にお兄ちゃんにも彼女が出来るのね!?」

「遂には余計だ!」


 失礼なことを言われたので突っ込んでしまった。とにかくこんな脅迫まがいの手紙が来ている事がバレて心配されても困るのでとりあえずはこの内容を隠さなければならない。

 手紙を机の中に入れて机に鍵をかける。そして今まで使う事のなかった部屋の鍵を引き出しから取り出す。

 あまりのことに口の中がカラカラになってしまったので、お茶を飲むために部屋を出る。


「あ、話す気になったの?」


 部屋の前で待機していた亜衣から目を逸らして鍵をかける。


「あ! 部屋に鍵を!? 怪しすぎる!」


 などと叫んで部屋のドアをガチャガチャと回しているのをほおっておいてキッチンへと向かう。

 階段を降りきったところで後ろからどたどたと音が聞こえたため振り返る。


「止まれええええ!」


 亜衣が空中で叫んでいる。あれ?空中?


「ごふっ!」


 50キロほどの物体が高速でのしかかり、はんばふっとばされるように倒れる。


「鍵はどこよ! あんなに隠すなんて怪しすぎるし!」


 なんでこんなに積極的なの……?


「が、いて……え……」

「ここ? それともこのポケット!?」


 亜衣は俺にまたがりながら鍵を探そうといろいろなポケットをこれでもかとまさぐっている。しかし鍵は廊下の途中の花瓶の中に隠しておいたため俺は今鍵を持っていない。そのため亜衣の弄りは過激化していく。

 あれ?これってはたから見たらいろいろとヤバくないか……?

 と考えた時、頭上からドアの開く音が聞こえた。


「ただいまー」


 ここは階段を降りきったところで俺の家は玄関のすぐ前に階段がある。そしてそこで階段の方向を向いて倒れると頭上にあるドアは……玄関のドア、だな。

 首を動かして上を見ると母親が呆けたような目でこちらを見ている。


 …………

 しばらくの静寂が訪れた。


「あんた達、仲がいいのは良い事だけど行き過ぎちゃだめよ。近親相姦って知ってるわよね?」

「ちげえ!!」


 俺は叫ぶ。


「そ、そうなのよ! これはたまたまこうなって……それにお兄ちゃんはシスコンの気があるみたいだけど私にブラコンの気はないわ!」

「それも違うよね! 俺シスコンっぽいこと何一つしてないよね!」

「なに言ってるのよ、やっぱり近親相姦のこと知らないんじゃない」

「へ?」

「近親相姦自体は別に違法ではないわよ。近親婚は出来ないけれども」

 母親がドヤ顔で言う。というか、そういう問題でない気がする。

「どうでもいいよ! つか違うって言ってんだろ!」

「まあそういうことにしておくわ。共働きだと兄妹同士で愛を求めてしまうのかしらね……」


 なんだか勘違いは取れてないようだがどう認識されようとようはやらなければいいので弁解をあきらめる。


「亜衣もいつまで乗ってるのよ。ご飯の準備するわよ」


 亜衣ははっとしたように俺を見るとそそくさと馬乗りの状態から立ち上がる。

 俺も痛む背中をさすりながら立ち上がると亜衣は不機嫌そうな顔をしながら近づいてくると、


「あとでちゃんと教えてよね。」


 と、小声で俺に耳打ちして亜衣は母とキッチンへ向かった。

ちなみに近親相姦の描写は違法だった気がします。

これは鍵を探しているだけなので大丈夫です! よね。

近親相姦を推奨しているわけではありせんと一応記述しておきます。

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