仲間
砂漠の温度は-10°になっていた。そこに一人の少年の姿があった。
クリストファはたき火のそばでさっき焼いた干し肉をかじっていた。隣に羊の革でできたシュラフと大きな荷物の入ったバッグがあった。肉を石の上に置いて、バッグから国の宝剣を取りだした。そして、両手で抜こうとしたが全然抜けない。何回か試したがやっぱり抜けなかった。あきらめてまた肉をかじり始めた、噛みながら月を見た。月は蒼い満月だった。その後また肉を見てかじった。
肉を食べ終え、シュラフに包まり(くるまり)宝剣を見ながら静かに目を閉じた。
次の日、日があと少しで見えるって位昇っていた位の頃にクリストファは起きた。シュラフを片付け宝剣を握った。すると、鞘に文字が彫ってあった。目を凝らして見るとそこにはシャウラ(Shaula)と書かれていた。
クリストファは「しゃ・う・ら?」クリストファはこの名前を聞いたことがあった。
「たしか『毒針』って言っていたような気がする・・・」また、ちょっと考えてベルトを腰に巻いた。そして、宝剣の反対側にはナイフを納め、大きなバッグを担ぐ。いつの間にか太陽が半分も顔を出していた。そんな太陽を右にゆっくり歩き出した。
なにもなくお昼になった。クリストファは暑い砂漠を歩いていた。すると、前から人が歩いているのが見えた。(・・・幻覚か?)目を凝らして見てみる。やっぱり人だった。汚いローブを着ていて顔は見えないが・なんだか年寄りみたいに歩いていた。人はこちらに向かって歩いていた。ちょっと時間がたって、クリストファの前にその『人』が立っていた。『人』はローブのフードを脱ぐ。するといつもは杖を持っていて王の後をついていっている預言者だった。
「な、なんでお前がここに・・・」とクリストファが言った。すると預言者は
「たまたま、北の町を見に行っていただけだよ。」と笑顔で言った。そして続けた。
「あれ、その『剣』お父様が持っていたんじゃなかったけなぁ・・・。まあいい、その剣のこと教えてあげようか。」といって古そうな、いや古い本を古い鞄(?)から出して
「これに全部書いてある。んふふふっ、ハーッハハハ。がんばれよ。」満面の笑み
(こいつ気持ち悪いな。まあ昔からそうだったなこのじいちゃん)そう言って本を見る。題名を読んだが読めなかった。本を逆さにした、でもやっぱり読めない。
「なんだよこの本。何語だこれ。」そう言って顔を上げた。すると、そこにいるはずの預言者の姿はなかった。
「お、おい。じいちゃん!どこにいるんだ?」
『その本は、龍の道具がないと読めないようになっている。この大陸に10個の“龍杯”がある。それを探してその本を読んでから、家に戻ってくるのだな。さすれば父もそなたを許すだろう』と頭に響いて預言者の声が聞こえた。そして翼を翻し飛んでいる鷲が後ろから来て、朝日に消えた。
「マジかよ・・・。」本を開く、でもでも読めないパラパラページをめくる。
「ハァーっ。」とため息が出る。
本を鞄にしまい、担ぐ。
「ッタク、どれくらい歩きゃいいんだよーー。」叫んだ。当たり前だ2日も歩いたんだ。そして今はもう夜。
「方向は間違えてねぇーし。」そう言いながらシュラフを出す。そして火を焚き肉の用意をする。すると預言者から貰った本が目に付いた。
「旅に役立ちそうなものくれよな。」本を開く。すると紙が出てきた。
「ん?」
そこには、「た・と・な・す?」聞いたことのある言葉(?)だった。そして続きがあった。「見知らぬ人にはその名を使え。それともしかしたらその剣が抜けるかもしれないなぁ。」
めんどくさくなって肉を食って寝た。
その夜、クリストファは呻いていた。
「ううっ」
『女の人が見える。こっちを向いている。笑顔だ。女の人が俺を持ち上げ抱く。声を出して女の人が微笑む。とってもあったかい。その脇には見たことのある顔だ。父さんだ。でもなんで?すると一瞬であたりが暗くなって二人が消えた。下から赤いのが出てくる。火だ!逃げろ。でも思うように体が動かない。火の向こうにさっきの女の人がいる。助けなきゃ、でもこの体じゃ。後ろから人が来て俺を抱く。父さんだ。女の人に向かって叫んでる。向こうも叫んでる。父さんは歯を食いしばり反対方向に向かって走りだした。』
「はっ」がばっと起きる。汗をかいていた。顔を上げる。周りが暗い。太陽が出てきそうにない。すると、二つの黄色い光が低い砂山の向こうに見えた。でも、どんどん増えていく。怖くなって宝剣を握る。黄色い光が目に変わっていき、近ずいて来る。
「き、キロスだ。」キロスとは群れを成して狩をする四足の動物で、夜行性で狼のような姿をしている。
キロスはクリストファが生き物と確認したのかこっちへ走ってくる。
(ヤッべ。に、にげろーー)急いで起き上がり走る。「バンッ」「ババン」銃声が聞こえてきた。「な、なんだ?」反対方向から三匹のステノの足音が聞こえてくる。でも銃声はやまない。後ろにいたキロスが怯えていてこっちに来ない。キロスの前の砂が銃声と共に跳ね上がる。すると、キロスたちは逃げていく。
「助かったぁ」
ステノから「オーイ、だーいじょーぶかー?」
ステノを見ると人が乗っている。ステノとはラクダのような生き物だ。
クリストファは短剣を抜きステノに向ける。ステノたちはクリストファの前に止まり、人が降りる。三人。
「わぁ怖い。短剣下ろしてくんない。俺たち助けたんだよ君を。ねぇ。」三人のうち真ん中にいた25歳くらいの男が言った。
「んもう。そんな風に言ったらダメでしょ。」右にいた20歳ぐらいの女が言った。女の肌はとても白く美しかった。
「ねぇ君私たちはGGGよ。安心してちょうだい。」女はこっちによってきて短剣を握ろうとした。
「さ、触るな」短剣をふりわす。しかし、女はクリストファの腕を握り引っ張るそして腕を曲げた。クリストファは動けなくなり短剣を奪われた。
「くそっ」
「おいおい。そんなことしたら余計警戒されるだろ、離せタルキア」左にいた肌が黒く筋肉質の男が言った。タルキアと呼ばれた女は手を離す。クリストファは膝立ちになり握れていた腕を揉む。
「俺はマスタード。でお前の後ろにいるのがタルキア、そしてこいつがアリフ別に悪気はないんだ許してやれ」
「おいお前加減をしらねぇのか」タルキアに向かって叫んだ。
「仕方ないじゃない。だいたいあんたがこんなもん向けるから悪いのよ」
「ああん。やんのかコラ」
「やる?」
「二人ともやめろ。」
こうして仲間が増えたのであった。