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2話

「来たか、詩織、香織。こちらに座りなさい」

旦那様の重々しい声が、六畳の部屋に響く。

「「はい」」

当然香織は上座へ、私は下座へ。

設定は、異母姉を嫌う異母妹と、義母と異母妹にいびられて使用人扱いされている異母姉なのだからね。

香織は下を向いて下座の私を見ないようにしている。

多分、奥様は「こんな虫けら見たくないのでしょうね。大丈夫よ、香織。私も同じ気持ちだから」とでも言いたげな顔をしている。

いや、前香織に聞いたら、「お姉様の下座に座っている悲しそうな顔を見たら、飛びついて上座に引っ張り出してしまいそうな気がするからなのですよ!」なんて必死に言ったあと、私の素敵なところとか、かっこいいところとか、かわいいところとか云々を必死に話し始めたので、しばらく聞きたくないなと思う。

恥ずかしいんだよ?普通に。

「……であるため、詩織と香織は……」

あ、全然話聞いてなかった…

「星繋師を育成するための学園である、『私立星繋学園第一校学園』に入学しても彫らうことになった。

ふたりとも素晴らしい星繋師としての才能を持っているからな。水宮家の者として、しっかり励めよ」

あっれれ〜?旦那様ご機嫌ですか?普段私のことを使用人扱いしてますのにね〜?←嫌味です

「承知いたしました、旦那様。香織お嬢様のお世話、しっかり務めさせていただきます」

あれ〜?旦那様、めっちゃうろたえてますね〜←わざとです

「ふん、身の程をわきまえているようで良かったわ。使用人として励むことね!」

オロオロする旦那様。満足げな奥様。

どうしよう、すごく笑いたい。

「それでは、お話が以上でございますなら、私は昼餉の準備をしてまいります。ご要望などございますでしょうか?」

旦那様、青ざめてきております。

いやぁ、実況は意外と楽しいな。

ここでようやく香織が顔を上げる。

「私、今日はピザの気分なの。もちろん、生地から手作りでね!」

これ、傍目から見たら意地悪に思えるけど、香織からしたら多分『生地は買うよりお姉様が作ったののほうが美味しいからです!』なんていうんだろうね。

そんな事を考えていると奥様が

「そうね、貴方はご飯の腕だけはいいんだから、せいぜい頑張ることね」

なんて言ってきた。

あれ?

今褒められた…?

えへへ…義理ではあるけど母に褒められるのは嬉しいな…

へにゃっと笑うと、奥様が顔を真っ赤にした。

あれ…?奥様お熱かな…?

奥様が顔を整えて、

「ほら、早く作ってきなさい!」

と言う。

はいはい、頑張りますよ〜!

「はい、精進いたします!…奥様」

お母さんが恋しくて、お母様と呼んでしまいそうになったのは、私だけの秘密だ。

袴で持っていこうと思う。

長い渡り廊下を通って、厨房に向かう。

窓から桜が入ってきた。

「よーし!今日も頑張ろう!」

なにが、大きく変わる予感がした。

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