#9
「なっなるほど……頭いーね、三尋! でもさ、振ってて平気? それコーラだよ」
「あっやべ!! む……無意識に!!」
すぐさま、三尋となづなは手洗い場に向かった。
「よーし……開けるぞ。なづな、お前は危ないから離れてろ」
「大丈夫? やっぱり三尋も危険だよ! 俺に貸して、俺が盾になる。三尋を守るって約束したからね」
それはこういう所で発揮するものじゃないと思うけど……なづなはコーラを受け取り、ペットボトルの底を軽く叩いた。
「空気を抜けば吹き出さないって、知恵袋に書いてあったのを思い出したよ」
「おぉ~ナイス!」
互いに笑い合ってから、「じゃあ開けるね」、と言ってなづなは蓋をひねった。
「うっわ!!」
直後コーラが吹き出し、なづなはびしょぬれになった。確かに恐れていた程の爆発はしなかったけど、成功とも言い難い。
「悪い! なづな、大丈夫か?」
「大丈夫だけど、冷たい……叩き足りなかったね」
なづなは恥ずかしそうに笑う。彼のシャツは胸元から腰の周りまでぬれていて悲惨だ。色は問題ないけどコーラくさい。
「ちょっと、保健室行こう」
「保健室? 何で?」
不思議そうに首を傾げるなづなの手を引いて、三尋は保健室を目指した。職員に説明してから、シャツと肌着を軽く洗い、保健室の物干し竿にぶら下げる。これで乾くまで待とうという魂胆だ。
「放課後で良かった。乾くまでここにいていいって、先生も言ってたし……あまり人目につくとこ居たくないもんな」
三尋はなづなの方を振り返り、カーテンで仕切った。ベッドの上には、上半身裸のなづながいる。
「うん。ありがと、三尋」
「全然。というか俺の代わりにごめんな」
三尋はなづなの隣に腰掛けた。
「何言ってんの、俺がやるって言ったんだし、……冷静に考えたらもうちょっと時間置いてから開ければ良かった」
「それ俺も思った。だからほんとゴメン」
互いに顔を見合して、盛大に吹き出す。友人といると悪ノリしてしまうし、普段なら考えもしないことを思いつく。本当に不思議な関係だ。
「三尋って本当に面白いし、良い奴だし……俺、三尋と会えて良かった」
「ばか、大げさだな」
まぁ、それは自分も同じ。
三尋は顔を背ける。
多分、この学校の馬鹿げたゲームのせいで無駄に意識してしまってるんだ。




