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俺を犯した君の話  作者: 七賀ごふん
ともだち

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43/44

#7



やり直すなんてことできるんだろうか。

こんな恐ろしいことを思いつき、始めてしまった自分に、罪を償うことができるのか。

分からない。はっきり言って、まるで自信がない。

────それなのに。


「……うん……っ」


おかしい。彼が……三尋がいれば、やり直せる気がしてしまった。


そんな保証はどこにもないのに、差し出されたその手を取りたくて仕方ない。

許さなくていい。全ては自分の醜いエゴだ。嘘をついたのも、廊下で突き放したのも、全て……彼だけは守ってやりたかったから。


「なづな……大丈夫だよ」


彼の震えた声を聞くたび涙が溢れる。

人に犯された。その憎しみから、罪を犯した。

そして最後に俺の心を犯したのは────多分、三尋。君だ。

「ほら、早く掴まれ」

「ん……っ」

涙のせいで視界がぼやける。不安定な足元で目測を誤り、バランスを崩しかけた。なづなは慌てて目元を袖で拭い、三尋がいる前方を見据える。

「あ」

そのとき見えてしまった。


三尋の後ろで、自身の首元をナイフで掻き切る少年の姿を。


暗い教室内でも鮮明に確認できた血飛沫。

目の前の友人の、叫び声。

淀んだ闇に思考が犯される。

自分は一体何を勘違いしていたんだろう。何を期待して、明るい未来など描いていたんだろう。

やっぱり間違っていた。やり直すことなんて……できない。

それが分かった瞬間、視界が真っ暗になり、壁を掴んでいた手が滑った。反応できない速さで身体が後方へ傾く。身体と感情、意識が落ちていく。


「なづな!?」


床に倒れる少年と、自分に気付いて振り返る少年。

またこちらへ向かって差し出された手は、あと一歩届かない。

奈落の底へ落ちていく。重力で身体がねじ切れそうな感覚に目を見開く。

怖い。

寒い。……暗いよ、三尋。


光が途絶える。最後に見えた景色は、飲み込まれそうなほど巨大で美しい夜空だった。




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