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俺を犯した君の話  作者: 七賀ごふん
剥がれる

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36/44

#7



なづなの腕を引き、とにかく走った。既に満身創痍だってのに、何でまだ身体を張るつもりでいるのか。彼のタフな精神力も、普通にすごくて、そして意味不明だ。


分からない。もはやパニックに近いが、廊下を駆け抜けた。

「職員室に行こう! ナイフ持ったまま連れてけば……やばいけど、とりあえず誰か通報してくれるだろ!」

「……っ」


急いで走ったけれど、やはりなづなの脚は遅い。

片脚が上手く上がらないのか、びっこを引くような走り方だった。どんどん、追いかけてくる丹波と距離が縮まる。このままじゃ職員室に着く前に追いつかれるかもしれない。

そう心配していたら、なづなに肩を押された。

「三尋、先行って。何か脚痛くてあんまり走れないんだ。丹波君は俺に怒ってるから、俺が囮になるよ」

「はぁ!? あいつナイフ持ってんだぞ!」

「ね……でも、このままじゃ捕まっちゃうから」

なづなは方向を変えて、真隣にあった教室に入ろうとした。

「ば、馬鹿。やめろって!」

「大丈夫だから逃げて。三尋に何かあったら嫌なんだよ!」

怒鳴ったつもりだったのに、逆に怒鳴り返された。

なづなは目に涙を溜めて、唇を噛み締めている。


「だって、俺……三尋のことが好きだから」

「え」


それは唐突過ぎた。

だから上手く反応できなくて、思考も動作も停止してしまう。そのせいで、彼が教室の中に入っていくのを止められなかった。

「な、なづな……待て……!」

それでも気をしっかり持って、彼の後を追おうとする。しかし、“彼”が来たのも同じタイミングだった。

「殺ってやる……俺が……」

ナイフを持った丹波が、教室の中へ入ってきた。彼は俺のことは見向きもせず、奥に逃げたなづなを追い詰めるように進んだ。

「おい、いい加減にしろよ! そいつがお前に何したって言うんだ!」

叫んでみても、やはり彼は答えない。本当に、どうかしてる。何が彼をこうさせたのか分からないけど……。

丹波は、怯えている。


「次は俺か? ふざけんな、俺は、俺は……あいつらに命令されただけだ! 巻き込まれただけなんだよ!」


真っ暗な教室で、月明かりだけが彼らを照らしている。こんな時に考えることじゃないが、とても綺麗だった。


────離れた場所で暢気に思ってしまった。彼が、手に持ったナイフを振り上げるまでは。




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