表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺を犯した君の話  作者: 七賀ごふん
剥がれる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/44

#5



「でもやっぱり、自分じゃ自分をコントロールできないんだよね。だからお前みたいに、傍でアドバイスしてくれる奴がいるとすごい助かるんだ」

彼と同じように、近くの椅子を引いて腰掛けた。座面はとても冷たくて、ちょっとドキッとする。


「俺、お前に会えて本当に良かったよ。それだけは命懸ける」

「三尋……」


驚くことに、彼は泣き出した。目元で光る雫がボロボロと下へ落ちていく。

「ごめん、泣くとこじゃないよな。でも、嬉しくて……っ」

「ばか。……でも、俺も何か嬉しいよ。何でだろ」

乱暴に袖で涙を拭う彼の頭に手を乗せ、前屈みになる。

「なづな。丹波のこと、どうする?」

「……」

手が触れた。掠めるように、離れていく。

なづなは俺の手を握って、ゆっくり立ち上がった。

「気持ちは変わらないかな。彼は、もう帰してあげよう」

彼は俺の手を引いて、立ち上がる手助けをしてくれた。確かに、見た目よりは力がある。

「わかった。じゃあそれも伝えてくるからちょっと待ってろ」

なづなが頷くのを確認し、三尋は炭野達に事情を説明した。彼らはやはり怪訝な表情で聞いていたけど、なづなの気持ちを汲み取って丹波を解放した。

でもまだ安心しちゃいけない。何故なら、ゲーム自体はまだ終わってないから。

丹波を帰した後、炭野達とも別れた。ボロボロのなづなを見るとまた腸が煮えくり返るけど、その度に宥められるからため息ばかりついてしまう。



教室から出て、長い廊下を渡る。電気は点いてるのに、窓の外の闇は不気味さばかり醸し出していた。

何となく気持ちまで沈んでしまいそうだったけど、俺はなづなのことを注意して見ていた。ちょっと歩くのが遅いし、手が震えている。


やっぱり痛むのか……それとも……。


「なづな」

「うん?」

「夏休みに入ったら、どっか遊びに行こうぜ」


隣に並んで笑いかける。突然の話に彼は少しぽかんと口を開けていたけど、意味を理解して笑顔になった。

「うん、行こう!」

「約束だぞ。よし、とりあえず海行くか。毎日暑くてしょうがないし」

「三尋泳げんの?」

「もちろん 俺水泳二年ぐらい習ってたんだ~」

他愛のない会話を交わし、階段の手前までやってきた。

何でかな。なづなといると、素で話せる。

別にいつも取り繕っているわけじゃないのに、不思議な感覚だった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ