#4
許す気は毛頭ないが、さすがに惨めに感じてしまう。
なづなに謝りたいという言葉を信じるなら、もう彼を解放してもいい気がする。
けど油断も禁物だ。追い詰められて困惑しているだけで、彼は元々凶暴で自己中心的な人物かもしれない。
炭野達も内心では迷ってるんだろう。もう彼の話を真面目に聞こうとしてる態度ではなかった。
そしてやっぱり、“彼”のことが気にかかる。
「……なぁ、ちょっと待っててくれない? なづなにもう一度聞いてくる」
三尋は生徒会室を出て、真っ暗な隣の教室に戻った。そこはほとんど黒一色で。
「ちょっ。なづな、お前電気つけろよ。怖くねえの?」
「あ、三尋。ごめんごめん、考えごとしてたらボーッとしちゃって」
電気をつけると、教室は一気に明るくなった。もう空は真っ暗で、完全に夜になっている。
そろそろ部活動も終わるし、ずっとここにいたら教職員が見回りに来てしまうかもしれない。その前には学校を出ないと。
「なづな。丹波の奴、どうする? お前にしたこと全部、学校に言いに行こうか」
「……」
なづなはさっきまで浮かべていた笑みを消した。ただ無表情に、こちらを見つめている。
「えーっと、お前の気持ちを尊重するよ。協力するから、本当にしたいことを言って。……俺は、お前の味方だから」
気まずい気持ちと照れ臭い気持ちが喧嘩して、最終的に明後日の方向を見ながら言う羽目になった。変だな。……何か緊張してる。
なづなの反応を見るのが怖い。彼の一挙一動に集中してしまっている。……それはもしかしたら、彼が自分の中でただの友人ではなくなってきてるからかもしれない。
「三尋」
椅子の引き摺る音が地味に響く。なづなが椅子を引いて、そこに座ったからだ。
「三尋も、本当は怖いだろ。転校したばっかでただでさえ分かんないことが多いのに、こんなふざけたゲームで振り回されて……俺よりよっぽど、三尋の方が怖い想いをしてると思う」
「ま、まぁな。そりゃ怖かったけど、大丈夫だよ。だってお前がいたから」
本音を話した。これは隠しといた方がいい気がしたけど……何だか話し出したら止まらなくて、余計なことまでポンポンと顔を出す。
「前にも話しただろ。俺、正義感だけ突っ走っていつも空回りすんだ。たまには上手く見過ごして、やり過ごすのも生きてくコツだと思うのに」




