#12
蛍光灯が寿命に近いのか、暗澹とした教室。他の生徒が困ったように言うと、丹場は笑って返した。
「互いに監視し合えばいいじゃん。集団でいれば逆に手が出せないだろ?」
「つっても、四六時中一緒にいるわけにはいかないしなぁ……連れションとか勘弁だし」
犯人が分からない以上、とにかく他人を警戒するしかない。皆一連の事件で疲れてるせいもあり、項垂れてしまった。
「ま、一人で行動すんのが不安な時は防犯ブザーでも持ってたら? ……って、転校生が言ってるよ」
「わ、ちょっと伏美……!」
伏美に指をさされ、三尋はたじろぐ。急にクラスメイト達の視線を受けてしまったからだ。
「防犯ブザー? 悪くないけど、俺としてはナイフとかの方が効果ある気がするよ」
丹場は静かに言うと、教室を出て行った。
「ナイフかよ。あいつマジで持ってそう」、と誰かが口にする。まだよく知らないけど、ちょっと突飛な考えの持ち主であることは分かった。
「力で勝てない時はそういう武器に頼んのもアリなのかなぁ。でもその気がないのに怪我させたら大変だし。ねぇ三尋」
「だな。また変なトラブルになんなきゃいいけどな」
身を守ろうとするあまり、どんどん殺伐とした空間になってあたく。それはちょっと複雑というか、とても恐ろしいことだ。
放課後は基本、帰宅部のなづなと一緒に帰る。
特に今日は暑い日で、昇降口にある自販機でジュースを買って飲んでいた。
「あーっ、コーラはいつ飲んでも美味いわ」
「うん、美味いね。でも三尋、もうコーラは振ったらダメだよ」
「振らないよ。あれはボケーッとしてたんだ……」
慌てて言い返すと、ふと視界の端の花壇に人影が見えた。見れば、彼はこの前の恩人。
「おーい、炭野! 久しぶり」
あの生真面目生徒会長、炭野だった。彼は何故か地面にぎりぎりまで近付き何かを注視していたが、こちらに気付くとゆっくり顔を上げた。
「その声……この前の転校生か」
「あぁ。前も言った気するけど、国崎三尋。こっちは俺のクラスメイト、芦苅なづな」
「三尋。俺と炭野は友達だから紹介はいらないよ」
「あ、そっか。ごめん、忘れてた」
色々訳分からんことになってる。そういえばなづなは生徒会の副会長だった。ということはここに生徒会のツートップがいるわけだな。




