#11
三組の生徒が生贄になった。その日はもちろん、翌日も三学年はその話で持ちきりになった。
生贄になった生徒に同情する傍ら、自分じゃなくて良かったという安心感、得体の知れないゲームに対する好奇心、実行者が分からない恐怖心に支配されている。
こういう時、人って結構しょうもないと思った。問題を解決するために自分からなにかする気は一切なくて、外野だからこそ楽しんで傍観する。
野次馬根性で、良いことも悪いことも好き勝手に述べる。評価すること、それが快感と化してる。
今回生贄になった向山に対しても、同情の声はすぐに消え、関心は次の生贄のことへ移り変わっていた。皆、標的が自分でなければ事態がどう転がってもいいのだろうか。
そういうもんだ、と受け入れたら生きやすい。それでもどこかムシャクシャしてるのは、まだ自分の中で正義感が生きてるからなのかもしれない。
「向山? あぁ、たまに授業中抜けたりして、教師と揉めることもあったよー」
休み時間、席の近かった伏美からこんな話を聞いた。
「一組の奴も二組の奴も、ぶっちゃけ素行不良で、煙たがられてたかな。でもそれはそれ……こんなことに巻き込まれる理由にはなんないよ」
伏美は記憶を辿るようにして呟く。腹が減ったとか言ってパンを食べながら教科書を捲っていた。
「次は四組だ。……俺達も、もう少しだね。三尋は怖い?」
「まぁまぁ。もうアレだな。防犯グッズでも常に携帯しとくか。小学校の時の防犯ブザーまだ持ってるし」
「ははっイイね! 後、なづなには特に持たせた方がいいよ」
笑って話すけど、本当にそうだ。誰にも頼れないなら自衛するしかない。複数で襲われたらどう頑張っても太刀打ちできないし、催涙スプレーとか持ってると使えそうだな。
色々考えていると、一人の生徒が黒板を乱暴に叩いた。
かなり大きな音だった為、全員彼に注目して教室内は静まり返る。一体何かと思っていると、
「あのさ、マジでもうウンザリじゃねえ? 生贄とか、馬鹿馬鹿しいにも程があるって」
そう言うのは、同じ五組の生徒、丹場だ。
派手な髪をして、クラスでも中心にいる方。ということは、転校して間もない三尋も気付いていた。
「順番通り四組の生贄が決まったら、次は俺らの番だ。そうなる前に、皆で犯人を見つけようぜ。四組の生贄を守るんだよ」
「あ~……でもさ、何か生贄決まっても先に教えてくれなくなっちゃったじゃん。誰がターゲットなのか分かんないから守りようがなくね……?」




