#4
「じゃ、俺は方向あっちだから。また明日な」
「おう、ありがとな」
「伏美君、バイバイ」
伏見と別れた後、三尋はなづなと同じ電車に乗った。二人は三つしか駅が変わらず、案外家が近いことに気づく。
「三尋、引っ越してきたならあんまりこの辺のこと知らないんじゃない? もしどこか行きたい店とかあったら言って。案内するよ」
「マジ? 助かる、ありがとな」
笑顔で返してから、少しの間が空く。二人とも席には座らず、手摺に掴まっていた。
「なぁ、なづな」
「何?」
「この学校のゲームって、誰が何のためにやり出したんだろうな」
窓の外の流れる景色を目で追う。三尋はなづなの方は見ずに話を続けた。
「人の体と心を傷つけることだよ。しかも一生、苦しめられる。辻浦を襲った奴らは、きっと襲われる恐怖を知らないんだろーな」
「うん……だとしても。三尋は絶対大丈夫。俺がそんな事させないよ」
「サンキュー。まぁ、怖くないと言えば嘘になるんだよな。他人事じゃないっぽいし」
目的の駅について、三尋は鞄を肩に掛け直す。なづなは真剣な表情のまま、ドアの方へ寄った。そしてホームに降りた三尋を見据える。
「こんなことはすぐ終わるし、悪い奴には絶対に罰が下るよ。天罰覿面ってやつ! だから心配しないで」
「そだな。じゃ、もう暗いし気をつけて帰れよ。お前下手したら中学生に見えるし」
「え!? ちょっと、さすがに中学生は……」
なづなは何か言い返してきたが、ドアが閉まって続きは聞こえなかった。
窓ガラスの先ではなづなが不満そうに舌を出していた。申し訳ない反面、可笑しくて笑える。
それでも電車は関係なく動き出したから、軽く手を振った。彼はまだ怒ってる感じだったけど、最後は手を振り返してくれた。
なづなは本当に、単純で純粋だ。あれで高三とかちょっとやばい。
やっぱどっちかって言うと、俺があいつを守らなきゃかな……。




