走る
少女のために全てを変えろ。
「もう、走れないや、私」
「じゃあ、じゃあ、僕が君の代わりに夢を叶える。絶対に」
「はあっ、はあっ、畜生」
タイムが伸びないっ!
約束を、高校に入る前、約2年前にした。
当時は、太っていた。そして、足も一番遅かった。
今は、痩せている。そして、それなりに速い。
そう、それなりに。
あの人の夢、プロの陸上選手になる。それを叶えないといけない、高校を卒業するまでに全国大会に進めるようにならないといけないのに。
やっぱり、僕じゃダメなのか?
人生は才能で決まるのか? 才能がある人が勝ち組になり、才能のない人は負け組になるしかないのか?
速く走れるようになるには。
食事。
精神。
筋トレ。
走る。
それだけだ、それだけで全てが決まる。
なんて、門の狭い。
「今日は、もうやめよう」
とりあえず、着替えよう。じゃないと、行けない。
―病院。
「よかった、今日も来てくれた」
「うん、来たよ」
笑顔の少女。
幼なじみで、可愛らしい。
足も、速かった。大会の記録を塗り替えまくり、日本代表確定天才選手って、言われていた。
今は、入院しているけど。
「体型も昔みたいにメタボじゃないし、頑張ってるね」
うんうん、と頷かれる。
「頑張ってはいるけどね、僕も。けど、全く速くなれなくて、さ」
病人相手に、つい愚痴をこぼしてしまう。
ダメな自分に失望する。
「なれるよ、努力したら」
努力って、どんな努力だよ。
どこまでが遊びで、どこからが努力なんだ。
「私は信じてるよ、君が諦めかけていてもね。私の代わりに、日本の、世界の記録を更新してくれるって」
「頑張るよ、もっと」
やるしかないから。
読んで頂き、ありがとうございました。




