制度の本質と、私たちが選ぶ未来
※制度とは「生き方の設計」である
年金制度の話を通じて、私たちは常に「どのように支えるか」「どこまで保障するか」といった問いを議論してきた。しかし最終的に辿り着くべき問いは、より根源的なものである。
──制度とは、何のために存在するのか。 ──私たちは、どのような社会で生きたいのか。
制度とは、単なる経済的仕組みではない。それは人々の生き方を方向づける「見えない環境」である。だからこそ制度を考えることは、「どんな価値観を尊重し、どんな未来を共有するか」という社会の意思決定でもある。
かつての日本は、「一斉に働き、一斉に引退し、老後は国に任せる」というモデルが社会の共通認識だった。しかし今、それが持続不可能であることが明らかになった以上、私たちは新しい生き方を模索する時代に立っている。
「自分の人生を自分で設計する」「未来の自分に責任を持つ」「選択する自由と、選んだ結果を引き受ける覚悟を持つ」──このような生き方を支える制度こそ、次世代の社会にふさわしい。
年金銀行制度と任意加入という提案は、その象徴である。そこには、個人の尊厳と自由、そして持続可能な社会へのビジョンがある。制度とは、誰かに与えられるものではなく、自ら選び、構築していくものだ。