〈キッチンファイターズ〉の練習風景
『どうもー』←ふたり同時
「塩でーす」
「コショウでーす」
「ふたり合わせて」
『キッチンファイターズでーす』
「いやー、頑張っていかななー思うてるんですけども」
「それにしてもあれやねー塩くん」
「どないしたんやコショウくん」
「最近、いろんな若手が出てきたねー」
「出てきたねー。気になるのが〈マジックソルト〉いうコンビ名でしょ?」
「一人はガーリックオニオンで」
「もう一人はハーブミックス!」
『コジャレてるわ~』
「キャッチフレーズが、〈三ツ星シェフの隠し味〉いうらしいですわ」
「一人やのにガーリックオニオンとか、ハーブミックスとか分かり辛いわ」
「その点、僕らなんか」
「塩!」
「コショウ!」
「これが一番分かりやすくていいと思いません、お客さん?」
「ああ、あちらからもこちらからも拍手が……。ありがとうございます」
「拍手を頂けるとは、ほんま有り難いですわ」
「特に怖い新人が」
『ほりにし!』
「いきなりR-1ぐらんぷりで優勝したあいつでしょ?」
「怖い怖い……((( ;゜Д゜)))」
「アウトドアスパイスっていうキャッチフレーズ……ほんま、いけ好かんわ~」
「僕らなんか、いかに家の中で安上がりに幸せを与えられるかで勝負しとるのに、なんやあいつ。表に連れていってもらってからに」
「ほんまやで。お客さん、今は冷静に漫才してますけど、中堅の僕たちは戦々恐々としてるんですよ」
「まあ、こんな僕たちですが、応援したってください」
「人生に!」
「スパイスを!」
『〈キッチンファイターズ〉でしたー』
「……まあ、多分いけるやろ」
「明日の舞台、がんばろな」
読んでくださって、ありがとうございました。
遂に、詩の概念を越えてきました。
どっちもスパイスなので、ボケとツッコミの立ち位置をどうしようかしばらく迷い、未だに決まっておりません。