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第82章 春節前の準備

長江流域の上海(人口約40万)、武漢(ウーハン、人口約3万)、重慶(チョンチン、人口約2.5万)、及び長江支流流域の成都(チェンドゥ、人口約5千)には、それぞれ自治組織たる自経団がある。上海には10の自経団があり、それらを統括する自経総団が置かれている。自経総団は総書記と原則として9人の副総書記で構成され、それぞれ1つの自経団の責任者たる書記を兼務している。武漢自経団には地区ごとに漢陽ハンヤン漢口ハンコウ武昌ウーチャンの3つの支団があり、自経団の責任者たる書記と副書記2名は、原則として支団の責任者である支団書記を兼務。重慶には同様に3つの支団があるが、人口の少ない成都には支団はない。


上海マオ対策本部は、恒星間天台マオのインパクトに備え、月に本部を置く国際連邦が管轄するネオ・シャンハイへ上海をはじめ4都市の住民の避難を進めるための実働部隊として組織された。その幹部は上海出身、武昌出身の官民から登用された混成メンバーで、国際連邦から派遣され、月から赴任した3名もいる。


主な登場人物


ミヤマ・ヒカリ:本作のメイン・ヒロイン、ネオ・トウキョウでターミナルケアを生き延びた。大陸の武昌に辿り着きダイチたちと行動を共にする、上海マオ対策本部技術第一部副部長、今は亡き同い年の従妹でカオルのフィアンセだったサユリに瓜二つ

カリーマ・ハバシュ:スペースプレインの若手航宙士、上海マオ対策本部民生第一部のミニプレイン操縦士兼整備士

ミヤマ・ダイチ:ヒカリの従兄、中国名は楊大地 (ヤン・ダーディ)、上海対策本部副本部長代行兼チーフ・リエゾンオフィサー

張子涵:(チャン・ズーハン)本作のサブ・ヒロインの一人、武昌で物流業者を営みつつ上海マオ対策本部民生第一部副部長を務める

ヤマモト・カオル:中国名は李薫 (リー・シュン)武昌支団副書記兼上海マオ対策本部リエゾンオフィサー

周光立:(チョウ・グゥアンリー)ダイチの同級生で盟友、上海マオ対策本部の実務を統括する副本部長、上海自経総団副総書記を兼務、上海の最高実力者周光来の孫

ミシェル・イー:本作のサブ・ヒロインの一人、香港系中国人で本名は于杏 (イー・シン)、上海マオ対策本部リエゾンオフィサー兼連邦アドバイザー、張皓軒と入籍

陳紅花:(チェン・ホンファ)商物流業者の首領の一人、張子涵と親交がある、上海マオ対策本部民生第一部副部長

李勝文:(リー・ションウェン)タクシー運転手、ヒカリが大陸で最初に出会った人物、上海マオ対策本部民生第一部副部長

陳香月:(チェン・シァンユェ)成都自経団副書記

ハーニャ・ゼレンスカヤ:国際連邦科学技術局観測予報部長兼マオ対策支援グループGM補

アルバート・アーネスト・アーウィン:国際連邦マオ対策AOR収容プロジェクト(GM)、ネオ・トウキョウに赴任、ヒカリの連邦職員時代の上司

フアン・マリーア・マルティネス:国際連邦マオ対策AOR収容プロジェクトのリーダー職、ネオ・トウキョウに赴任

ウォルフガング・シュナイダー:国際連邦総務局レフュージ統括部リーダー兼マオ対策支援グループGM補

カイ・テ・カナワ:国際連邦情報通信局情報支援部リーダー兼マオ対策支援グループGM補

張皓軒:(チャン・ハオシェン)ダイチの1学年下でカオルの同級生、上海マオ対策本部民生第一部副部長、ミシェル・イーと入籍

艾巧玉:(アイ・チアオユー)モンゴル人、上海トップの総書記兼第2自経団書記で、上海マオ対策本部本部長兼務、周光立の初任時の自経団書記

蒋霞子:(ヂィァン・シアズ)上海自経総団副総書記兼第3自経団書記で上海マオ対策本部の監察委員兼務

ケイトクシ・ヤストモ:ネオ・トウキョウの生き残り、平安貴族の血を引くという触れ込みの占い師、のちにヒカリを導くキーワードを授けた

朱菊秀:(チュ・ジューシウ)タクシー運転手李勝文の妻

周光来:(チョウ・グゥアンライ)周光立の祖父。上海真元銀行の創設者にして自経団組織の立役者の一人。上海の最高実力者だったが死去、享年89歳

陳春鈴:(チェン・チュンリン)本作のサブ・ヒロインの一人、上海マオ対策本部民生第一部秘書、傷心の周光立に寄り添う

ジョン・スミス:ドイツ人、武昌で電気電子修理工房を営んでいたが、店を閉店、今は上海マオ対策本部技術第二部副部長

高儷:(ガオ・リー)本作のサブ・ヒロインの一人、ネオ・シャンハイのターミナルケア生き残り、武昌支団勤務を経て上海マオ対策本部民生第二部副部長

トンチャイ・シリラック:上海マオ対策本部連邦アドバイザー

杜美雨:(ドゥ・メイユイ)上海マオ対策本部本部秘書兼庶務担当に就任

楊清立:(ヤン・チンリー)ダイチの従伯父、武漢自経団の元書記、現在は武漢と漢陽の顧問を務める

徐冬香:(シュ・ドンシアン)楊清立の妻、武昌支団の幹部の一人で裁判所を統括する

孫強:(スン・ジアン)武漢副書記兼漢陽支団書記、公安系が専門

グエン:ベトナム人、中国名は阮華 (ルアン・フア)、武漢副書記兼武昌支団書記、ヒカリの元上司

 2月4日火曜日。3地域との移動開始前の最終確認のうち、今日は重慶と成都の分が行われる。ハバシュのミニプレインがダイチ、張子涵を乗せて上海を8時に発った。9時に武昌に立ち寄り、カオルが搭乗する。10時に重慶着。張子涵とカオルが降りて、打ち合わせに入る。プレインはさらに成都に向かい、10時半を少し回った頃に到着。ダイチとハバシュが成都メンバーと、昼食を挟み打ち合わせを行う。二人は14時半に成都を発ち、15時過ぎに重慶に着くと、重慶メンバーとの打ち合わせに加わる。17時から会食の後、19時に重慶発、21時に上海へ帰着した。

 昨日赴任した連邦メンバーは、朝から引き続きスペースプレインの整備を行い、午前中に完了。午後に試運転を行い、問題なく運行できることを確認し、周光立とミシェル・イー、陳紅花と李勝文に報告した。


 2月5日水曜日。よく晴れたフライト日和。朝から民生第一部のロジスタッフが、スペースプレインに成都用の非常食・日用品セットを積み込む。本日輸送分の積み込みが終わると、そのままロジスタッフも乗り込み、プレインは11時にネオ・シャンハイを離陸した。二人のパイロット以外の操縦士も全員、経路を確認するべく乗り込んでいた。ハバシュが彼らに地上の目標物などを案内する。

 武漢、重慶の上空を経由して、2時間半ほどのフライトで成都上空に達した。昨日確認しておいた駐機スポットにハバシュが誘導し、着陸。機内で非常食の昼食を済ませていたロジスタッフが降り立ち、成都の輸送スタッフと協力して、手際よく荷下ろしとトラックへの積み込みを行う。

 ハバシュは、立ち会いの成都副書記の陳香月チェン・シァンユェと言葉を交わす。

[さすがにスペースプレインは、迫力がありますね]と陳香月。

【ふだんのミニプレインとは段違いでしょう】

[これが2機体制で次から次へと運んでくれるなら、何も心配はないですね]

【万事遺漏のないよう準備しますので、ご安心ください】

[ところでハバシュさんは、スペースプレインは操縦されないのですか?]

【副操縦士としての乗務資格はあります。今回は、いまのところ予定はないですが】とB級航宙士のハバシュ。

 操縦士たちが遅い昼食をすませている間に、荷下ろしは順調に進んだ。ハバシュと陳香月がネオ・シャンハイでの再会を期し、プレインは15時に成都を発ち、帰路に着いた。

 水曜日恒例の一連のVRミーティングミーティングも、今日でひとつの区切りとなる。

 最初に、月のマオ対策支援グループGM補のハーニャ・ゼレンスカヤ科学技術局観測予報部長からAIによる最新のインパクト予測の発表があった。予測地点の中心は前回予測の南緯20度、西経105度から変わらず、予測円の半径が前回の1000kmから700kmに狭まった。南太平洋の海上で、上海は津波を除けばさらに安全度が増したこととなる。予想日時は2290年6月13日で21時50分~22時35分(UTC)。アーウィンGMのAOR収容対策本部の活動にも軌道修正は必要ない。

 AOR収容対策本部も順調に支部が立ち上がり、収容活動が本格化してきた。3月には、3つに集約される避難拠点のうち最大の収容人数となるムンバイに本部を移動し、トウキョウは支部になる。アーウィンとマルティネスもムンバイに移動する。

 今後は、日々の状況の報告をGM補で総務局レフュージ統括部リーダーのウォルフガング・シュナイダーが窓口となって受けることとなり、上海と3地域からは、リエゾンオフィサーのミシェル・イーが報告を行う。またシステムに関する事項については、同じくGM補のカイ・テ・カナワ情報通信局情報支援部リーダーが引き続き中心となって対応する。上海等3地域については主にオペレーションの監視、収容対策本部については、引き続き運用支援を行う。ミーティングは必要に応じて個別に設定することとなる。

 終了後、上海では国父紀念ホール内の大宴会場でパーティー。春節前の忘年会兼決起会兼連邦パイロットたちの歓迎会。おまけにミシェル・イーと張皓軒の結婚祝いに周光立とヒカリの復帰祝い。

 20時から開始し、本部長たる艾総書記、監察委員たる蒋副総書記が冒頭から参加。李勝文の妻、朱菊秀の顔も見える。ネオ・シャンハイからのメンバーも三々五々集まり、21時には会場は満杯となった。盛会ののち、23時にお開き。

 ほぼ同じ時間帯に成都、重慶、そして武漢でも忘年会兼決起会が開かれていた。


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~カオル(李薫)とヒカリの往復メール~

カオル:また、すぐに会えるね。

ヒカリ:うん。楽しみにしてる。


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 2月6日木曜日。今日は武漢の移動前最終確認。ハバシュのミニプレインが上海を9時に発つ。ダイチと張子涵が搭乗し、10時に武昌に到着。ダイチ、張子涵、ハバシュをカオルがエアカーに乗せて漢陽へ。昼食を挟んで漢陽支団のメンバーと打ち合わせを行う。その後4人は移動し14時に漢口支団、そして17時に武昌支団と回る。20時から会食の後22時武昌発、23時上海着

 今日もスペースプレインは昨日と同じスケジュールで成都へ運行し、非常食等の所要量の運搬を完了した。


 2月7日金曜日。午後から上海対策本部で最終確認ミーティングが行われた。全幹部スタッフが上海本部オフィスに集合する。

 確認事項は以下のとおり。

●移動手段

1)大型船・小型船への簡易トイレ、ダストBOX,救命胴衣、簡易寝具の装備完了、非常食・日用品セット必要分準備完了、緊急救命ラフトの点検と不合格分の取り替え完了

2)スペースプレイン整備完了

3)ミニプレイン整備完了

4)マリンビークル整備完了

5)成都、重慶、武漢にバス、トラック、タクシー等車両増備完了→成都分は成都移動完了後重慶へ転送

6)上海車両配備完了

●移動時携行品用のバッグ類

1)成都・重慶・武漢分運搬完了

2)上海分、区単位で移動の2週間前までに配布する計画進行中

●配給品

1)成都分食糧・日用品運搬完了→配給中

2)重慶、武漢4月の中・下旬以降に現地で配給する分→移動時の上り便で運搬する計画進行中

3)上海分→上海側に輸送完了。倉庫保管し、4月下旬以降順次配給。

●移動計画

1)成都 別枠携行品含め計画完了

2)重慶第1支団分(~3月21日到着予定)まで携行品含め計画完了、第2支団分(~4月16日到着予定)まで移動スケジュール調整完了

3)武漢、漢陽支団分(~3月25日到着予定)まで携行品含め計画完了、漢口支団分(~4月26日到着予定)まで移動スケジュール調整完了

4)上海第3自経団分(~3月17日移動予定)まで携行品も含め計画完了、第5、第7,第8自経団分(~4月15日移動予定)スケジュール調整完了  

●受け入れ

1)登録ゲート最終チェック、運用確認完了→民生第二部スタッフが交代で担当

2)避難区画20区分の準備完了

3)インフラ(機械、電気、水道)準備完了、移動計画に合わせて順次稼働

4)レフュージ内ロジ→専任スタッフに用度品製造の終了した技術第二部製造スタッフが順次加わる

●システム

1)レフュージ機能維持に必要なシステムのチェック完了

2)移動支援システムの整備完了

●金融機能

1)PITベースの電子決済アプリ開発中

2)現金対応の窓口準備完了

●公安機能

公安部部長を隊長とする3班体制の警務隊組織→到着する警務隊員を順次傘下に。

●商務

事業者支援スキームの告知開始

●ネオ・シャンハイ本部

1)オフィススペース拡大、現状2区画→3区画に

2)スタッフ宿泊施設、現状300名分→600名分に拡大


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 2月8日土曜日。前日のミーティングで確認したとおり、移動開始にあたって必要な準備はほぼ終了していた。受け入れ準備をさらに進める民生第二部と、用度品の予備分の製造を行う技術第二部のスタッフが動いている他は、みんなゆったりとしている。振替休日を使って一日早く春節休暇に入った者もいる。

 上海以外の出身者の春節休暇の過ごし方。先日連邦から着任した操縦士たちは、周光来邸で、スタッフのもてなしを受ける。ミシェル・イーは張皓軒の両親の家で過ごす。周光立と陳春鈴は、11日の春節までを周光来邸で迎えた後、周光立の運転するエアカーで12日と13日に武昌へ赴く予定。陳春鈴の両親に会い、一緒に過ごす。

 武昌メンバーは、武昌で過ごす。ダイチ、張子涵、ジョン・スミスに武昌支団団員のヒカリ、高儷。その他に、上海以外は行ったことのないシリラックが、武昌に行きたいと希望し、ハバシュも皆と武昌で過ごす意向。さすがに7人では1台のエアカーでの移動は無理。ハバシュもいるので、ミニプレイン1機を使えないか、周光立に相談に行った。

[ううむ。自分としては構わないと言いたいが、公有財産の私的利用ということになるから…どう思います。ミシェル・イー]

[そうですね。まず、私的利用でないこととするために、命令により公務として運行する、という形を作ってはどうでしょうか]

[なるほど。でも自分の命令では、馴れ合いのようで居心地が悪い]

[ならば、本部長命令にしては?]と高儷。

[わかった。いま、確認してみる]というと周光立は、上海対策本部本部長たる艾総書記にPITで電話をした。

 趣旨を話し、少しやり取りがあった後、周光立が皆にVサインを見せた。

 通話が終わり、周光立が報告する。

[「公務で故郷を離れている本部スタッフに、帰郷・転地して英気を養わせる」目的で、ミニプレイン1機を武昌に往復運航させる旨の本部長業務命令をいただいた]

 皆から拍手が起こる。

[あとは、受ける便益への対価ですかね]とミシェル・イー。

[整備費や減価償却費は計上するとしてもわずかでしょうから、乗務員人件費と燃料費相当分の負担というところでしょうか]

【乗務員は私ですから、考えないでもいいかと】

[燃料費の算定もむつかしいだろう。張子涵。船便で往復すると運賃はどれくらいかな?]と周光立。

[上海・武漢往復なら食事代抜きで5000から6000塊あたりが相場です]と張子涵。

[わかった。船便と同じというのもなんだから、往復1人1万真元の自己負担をしてもらうということでは?]

[ハバシュは操縦士なので、半額でいいだろう]とダイチ。

 一同、異議なし。

[了解。杜美雨に話して、給与から控除してもらう]


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 2月9日の日曜日。13日までの春節休暇の始まりの日。

 朝9時に、第18支団駐車場からハバシュの操縦するミニプレインが武昌へ向けて飛び立った。1時間ほどで武昌支団の駐車場に着陸する。6人が降りて、エンジンを停止させたハバシュが最後に降りてくる。張子涵は上海で買ってきたらしいボトル入りの袋を、ジョンは上海で準備した食材の包みを持っている。

 出迎えは楊清立夫妻とカオル。楊清立宅に泊まるヒカリと張子涵は楊清立のエアカーに乗り、ダイチ、ジョン・スミス、高儷、シリラック、ハバシュがカオルのエアカーに乗りダイチ宅へ向かった。

 一息つくと、春節を迎える準備。まずは大掃除。手分けして一年の埃をきれいにする。ダイチ宅の高儷は、春節料理用の食材の手配を始めた。


 2月10日は除夕(大晦日)。飾りつけを行う。門飾り、布賀紙、燈篭、玉飾り、短冊を飾ると、視界は赤が占めるようになる。さらに人形を飾り、そこここに切り絵で飾り付けを施す。

 徐冬香と高儷、そして助手のヒカリは、ダイチ宅で春節料理の調理を本格的に始める。3人の調理の合間を縫って、ジョン・スミスが一皿を準備する。

 夕刻になると、楊清立、張子涵、カオルの面々に加えて、孫強、グエンもダイチ宅にやってきた。料理の準備もできた。

 6人掛けのテーブルに席を2つ追加し、応接セットに4人。総勢12人で囲む、春節前夜の団欒飯。ダイチ、カオル、ヒカリ、張子涵の4人が応接セットに座り、残りの8人がテーブルの席に着く。

 白酒で乾杯。例によってヒカリとパレスチナ人のハバシュは形だけ。あとは黄酒、ビール、ジュース、茶と思い思いのドリンクで楽しむ。

 料理は、魚の煮つけ、春巻き、麺、餅菓子、団子、果物といった定番に加えて、東北地方がルーツの徐冬香が作った餃子、高儷とヒカリが作ったニッポン風の卵焼き2種(伊達巻、だし巻き)と野菜の煮しめ、カレーライス、そしてジョン・スミスが用意したドイツ風のシュニッツェルとザワークラウト。

[ジョンの料理。懐かしいよな]と張子涵。

「うん。初めてダイチに合わせてくれたときに、ジョンが出してくれた」とヒカリ。

 張子涵が上海で購入したボトルを持ってきた。中身は日本酒。

「うわあ。懐かしい。何年振りかしら」とヒカリ。

[よく手に入ったなあ]とダイチ。

[上海では作ってないから。キャラバン・コネクション経由で入手して保管されていたものだろう]と張子涵。

[ニッポン風の料理をヒカリと作ったから、ちょうどよかったわ]と高儷。


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~カオル(李薫)の独白~

 懐かしい人たち。懐かしい人になった人たち。

 僕はいま、幸せなんだと思う。


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