第九話 危機接近
それから数日後、スマホの通知が天誅さんからの新着メッセージを知らせた。期待半分、不安半分で、メッセージを開く。
チバの職場、家族、友人らに不利になる情報を送りつけ打撃を与えたと記されている。思わ吹き出してしまう。痛い目を見たから、懲りてワタシを逆恨みするのもやめるだろう。そう期待して読み進めた。
絶望したチバが自分も相手も破滅させて全てを終わらせる、そんなゾッとする書き込みをしてるらしい。相手については具体的に誰か書かれてないけど、注意するようにって天誅さんが伝えてくれた。
反射的に、眉を顰め、口を「いー」の形にして、「やばっ」と声を漏らした。段々血の気が引いてくる。私だけの問題じゃ済まなくなる。怖くなったので母に伝えた。
スマホが鳴り続けている。アラームをセットした記憶はない。カーテンと窓の隙間からうっすらと光が注いでおり、まだ日中であることがわかる。いつもは寝てる時間だ。
通話ボタンを押すと、「美沙ちゃん、大変」と喚き散らす母の声が聞こえてくる。警察に相談に行った母は、すぐに家とは別の場所に避難するようにアドバイスされたようだ。
その足で、母の妹である叔母さん家に行き、しばらく居候させてもらえるように話をつけたらしい。「必要なものだけ持って、直ぐに来て」と言って母は一方的に電話を切った。
最近テレビのニュースで見た似たような事件を連想した。