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Requiem to the AVALON  作者: 大猩猩和
獣王国ガルニシア編 第一章 壁越え
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第8話 第一の壁と謎の影

 そうして、アレスが獣王国ガルニシアに向けて荒廃した森の中を歩いていると、森の出口が見えてきた。


 森の出口が見えてくるまでの間、アレスは獣人のゾンビ以外との戦闘は行なっておらず、順調に森の中を進んできている。


 アレスはこのまま順調に進めるといいなと思いながら森の出口に到達すると、目の前に広がっている光景を見て言葉を失ってしまった。


 彼の視界の先に広がっている光景とは、断崖絶壁と言わんばかりに築かれた高い壁に谷と言っても過言ではない堀が地平線の彼方まで伸びていたのだった。


 そして、谷のような堀と森の間は平地が広がっているのだが、この平地にはアレスの数倍以上の大きさを誇るバリスタの矢が大量に突き刺さっている。


 それはまるで、針山地獄のような光景であった。


 この地面に突き刺さるバリスタたちの中には先ほどアレスが仕留めた獣人のゾンビを貫き、磔にしているものも多くあり、地獄絵図をさらに加速させている。


 アレスはこのまま森の外に出たとしてもあのゾンビたちと同じようにバリスタによって迎撃される可能性が高いため、森の外には一旦出ることを諦めた。


 それに、この場所からではあの谷のように深い堀を越え、山のように大きな壁を越えることができないので、とりあえず入り口を探すことにした。


 そうして、アレスがガルニシアに入るために入り口を探し始めてから一時間が経過した時、前方に堀を渡るためにかけられたと思われる橋を見つけたのだった。


 橋を見つけたアレスは平地には出ずに森の中を小走りで移動していると、森の中から淡い光が発せられている場所があることに気がついた。


 アレスは橋の方へ向かう前に光が発せられている場所へ向かうと、そこには2本目の生命の樹が生えていた。


 生命の樹を見たアレスはリスポーン地点を更新するついでに先ほど回収したゾンビの魂をこの樹に捧げて見ることにした。


 ゾンビの魂を捧げることにしたアレスは生命の樹に触れると、魂魄解放(ヴィア)で生命の樹に回収した魂を捧げた。


 生命の樹に魂を捧げると、体から力が抜けていく感覚に襲われ、アレスは魂を失ったことで起こる弱体化を実感したのだった。


 それと同時に、生命の樹から淡い光が溢れ出し、アレスの体を包み込んだ。


 そして、アレスは再び体の奥から力が溢れ出す感覚に襲われた後、先ほどまでと同じ程度の力が出ることを確認した。


 魂を捧げたとしても大して影響が出ないことを確認したアレスは神父に言われた通り、これからも集めた魂は生命の樹に捧げていくと心に決めたのだった。


 リスポーン地点の更新と魂を捧げたアレスは再び森の出口付近までやってきた。


 森の出口付近までやってきたアレスは視線をまわりへ向けて見ると、橋の周りにはバリスタの矢などは突き刺さっておらず、他の場所と比べて比較的安全であることが分かる。


 だが、橋の上には何体もの獣人のゾンビが彷徨っており、全てを捌き切ることは難しそうであった。


 そのため、アレスは獣人のゾンビとの戦闘はなるべく避け、橋の先にある門まで突き抜けることにしたのだった。


 橋の上を駆け抜けることにしたアレスは森を抜け、橋に向けて平地を歩いているのだが、バリスタによる迎撃は今のところはない。


 しかし、突然迎撃されるという可能性もあるので、アレスは警戒しながら歩いていると、橋の手前側で彷徨っていた獣人のゾンビに気づかれてしまった。


 このゾンビは先ほどアレスが戦った個体よりも原型を留めており、顔の半分の毛皮が剥がれているくらいで四肢全てのパーツは残っているようであった。


 このゾンビは勢い良くアレスに飛びかかってきたのだが、先ほども戦ったこともあり、ゾンビの飛びかかりをアレスは華麗なステップで回避した。


 そして、アレスはそのままゾンビの体に目掛けてシールドバッシュをして大きく体勢を崩し、その隙に頭を切り落とした。


 頭を切り落とした後、アレスはすぐに魂魄収穫(ギラ)でゾンビの魂を回収した。


 ゾンビの魂を回収したアレスは他のゾンビたちには気づかれていないのか周りに視線を向けて確認してみると、彼らは先ほどまでいた位置とは別の場所にいるが、アレスに気づいているそぶりはなかった。


 ゾンビたちに先ほどまでの戦闘は気づかれていなかったことを確認したアレスは門に向けて全力ダッシュし始めた。


 橋の手前から門までの距離は最低でも700メートルを超えているのに加え、道中には大量の獣人のゾンビが彷徨っている。


 そのため、アレスは全速ダッシュで橋を駆け抜けることにしたのだが、この獣人のゾンビは思ったよりも運動能力が高く、アレスは想定よりもゾンビたちを振り払えていない。


 だが、所詮はゾンビ。


 知能が低いため、運動能力が高くてもアレスにはなかなか追いつけていなかった。


 アレスはこのままゾンビたちを振り払って門まで突き進もうとした時、遙か上空に浮かぶ黒い影を見つけた。


 この影は遠くの位置にあるというのに視覚で捉えられていることから、とても大きいことが窺える。


 そして、この影は大きさに見合わない超高速で近づいてきており、すぐにアレスはこの影の正体を思い知ることになった。


 その大きな影は(ドラゴン)であった。




   





明日からは一話ずつで21時投稿になります

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