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Requiem to the AVALON  作者: 大猩猩和
獣王国ガルニシア編 第一章 壁越え
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第7話 生命の樹と初戦闘

 魔法陣から溢れ出した光に包まれた後、しばらくすると、溢れ出していた光は収まった。


 光が収まったことでアレスは目を開けると、そこは洞窟の中であった。


 視線を周りに向けて見ると、この洞窟の中には必要最低限の灯りしかなく、アレスの後方には小さな祠があるのみであった。


 この洞窟の中には祠の他に何か目ぼしいものも見つからなかったので、アレスは洞窟の外に出ることにした。


 そうして、洞窟の外に出てみると、外は森のようになっているのだが、この森にある木は全て枯れ果てており、一部の木は灰のようになっている。


 他にもこの森には一切の動物たちの気配はなく、この森が荒廃し切っていることが容易に想像できた。


 そんな荒廃した森の中にアレスの腰くらいまでの大きさの金色に輝いている苗木があった。


 その金の苗木の周りには草花が芽吹いており、この苗木の周りだけが生命に満ち溢れているという奇妙な光景を作り出していた。


 この金の苗木を見たアレスは神父が言っていた生命の樹だとすぐに分かったので、生命の樹の方へ近づいていった。


 そうして、生命の樹に近づいたアレスは気づいたらこの樹に手で触れていた。


 何故、生命の樹に触れようと思ったのかは分からない。


 まるで、脊髄反射のようであった。


 アレスが生命の樹に触れると、この樹が神々しく光り始めた。


 そして、生命の樹から溢れ出した光はアレスのことを優しく包み込んだ。


 この光はとても暖かく、強い生命の息吹を感じさせられ、アレスは強い高揚感に襲われる。


 強い高揚感と同時に、アレスは体から力が溢れ出す感覚に襲われ、これが神父の言っていた生命の樹からの祝福であると理解した。


 アレスは光に包まれてからしばらくすると、生命の樹から溢れ出した光はアレスの中へ入って行くように消えていった。


 そうして、生命の樹からの祝福を受けたアレスはガルニシアに向かうべく、荒廃した森の中を歩いていた。


 アレスは祠のあった洞窟から出た当初はどちらへ向かえばガルニシアに着くのか全く見当もつかなかった。


 しかし、生命の樹に触れ、祝福を受けた時からなんとなくであるが、どちらの方向に進めば良いのか直感で分かった。


 何故、生命の樹に触れてから直感的にガルニシアの場所が分かるようになったのかは不明である。


 もしかすると、生命の樹に触れたことでアレスの力の一部が解放され、ガルニシアにいる獣王ガルフィンドの気配を察知したのかもしれない。


 アレスは直感に従うように森の中を歩いていると、前方から何かが自分の方へ向けて近づいてきていることに気づいた。


 前方から何かが近づいてきていることに気づいたアレスは神父からもらった剣と盾を構えた。


 アレスが臨戦態勢で近づく何かを待っていると、その何かの姿が見えてきた。


 その者は二足歩行の人型であるが、全身は濃い体毛で覆われており、顔はイヌ科の動物のものであった。


 だが、その姿はとても醜く、顔の半分が焼き爛れており、左腕の肘から下の部分が切り落とされ、切断面は膿んでしまっている。


 その姿を例えるとするならば、獣人のゾンビだろう。


 この獣人のゾンビの右手には棍棒が握られており、アレスに近づくと同時に棍棒を大きく振り上げ、勢いよく振り下ろした。


 ゾンビが振り下ろした棍棒をアレスは右手に持っていた盾で防いだ。


 ゾンビの力は予想よりも強かったのだが、今のアレスの力でも攻撃を余裕で受けられる程度であった。


 ゾンビの棍棒をアレスに盾で受けられてしまったことで、ゾンビはバランスを大きく崩してしまった。


 アレスはゾンビが大きくバランスを崩した隙に左手に持っていた剣でゾンビの頭を切り落とした。


 切り落とされた頭はその場に転げ落ちると、ゾンビの体も力を失ったようにその場に崩れ落ちた。


 ゾンビが動かなくなったのを確認すると、このゾンビにトドメを刺すべく、アレスは魂魄収穫(ギラ)を使い、魂を奪い取ったのだった。


 魂魄収穫を使い、ゾンビの魂を抜き取ると、アレスは生命の樹に触れた時に感じた力の溢れる感覚に再び襲われた。


 魂を集めることでも自分のことを強化できるのだとアレスが確認していると、先ほどまで転がっていたゾンビの体が塵になって消えたのだった。


 ゾンビが完全に消えたことを確認したアレスはまともな戦闘はこれが初めてであったので、緊張の糸が切れたのか、安堵のため息をついた。


 そして、初戦闘ながらも普通に動くことができたことから、記憶は失っていても戦闘経験は体が覚えているのだなと感じた。


 そうして、獣人のゾンビを仕留めたアレスは直感に従うように再びガルニシアに向けて歩き始めたのだった。







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