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Requiem to the AVALON  作者: 大猩猩和
序章
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第6話 仮の名

 彼は神父に言われた通り魂を生命の樹に捧げることにすると、


「言い忘れてたけど、君が死んだ時はこの生命の樹の近くで生き返るよ。いわゆるリスポーン地点というやつだね。だから、なるべく生命の樹は見つけておいた方がいいよ」


 神父から新たな情報として、もしも死んでしまった時はこの生命の樹の近くで生き返ることを伝えられた。


 この生命の樹は彼にとってのセーブポイントのようだ。


 このことを聞かされた彼は、神父の言う通りなるべく生命の樹を見つけていく方針で旅を進めることにした。


 他にも神父からエデンの地に関する情報を彼は教えてもらった。


 そうして、神父からエデンの地に関する最低限の情報を伝えられた後、


「さて、君はこれから九人の王たちから創造神アヴァロンの魂を奪い取りにいく旅に出ると思うけど、まずはガルフィンドから狙うと良いよ」


 まずは豪勇の獣王ガルフィンドを狙うことを彼に勧めたのだった。


 何故、神父がガルフィンドから狙うことを彼に勧めたのかと言うと、その理由は単純明快で九人の王の中で一番弱い王がガルフィンドであるからだ。


 彼は創造神アヴァロンの魂を多く取り込み、九人の王にまで並べるほどの力を手に入れたのだが、彼は完全に力に飲まれてしまった。


 そう、ガルフィンドは王になる器ではなかったのだ。


 創造神アヴァロンの力に完全に飲まれてしまったガルフィンドは理性をすでに失ってしまっており、ただ本能に従うまま行動する化け物へと成り果ててしまった。


 他にも創造神アヴァロンの力に飲まれ、理性を失ってしまっている王も存在しているが、ガルフィンドは他の王たちに比べても酷い状態である。


 そのため、元より他の王たちに比べて少し低かったガルフィンドは理性を完全に失ったことで、最弱の王と成り下がった。


 かつては豪勇と謳われていたガルフィンドも今ではその面影を残していない。


 今の彼はただの生ける屍である。


 神父からガルフィンドから狙うのはどうかと提案された彼は神父からの提案をこのまま聞き入れるのかと少し考えた。


 この神父はとにかく怪しい。


 間違いなく、彼のことを利用していることは明らかである。


 だが、今までの言動や行動から敵である可能性は少し低いと感じている。


 何故なら、彼の敵であるのならば、わざわざ彼に様々な助言をしたり、旅のための物資を提供する必要はないからだ。


 この神父が彼の信用を勝ち取るためにわざとやっている可能性ももちろんある。


 しかし、今の段階では神父の言うことを聞いている方がメリットが大きい。


 そのため、彼は神父からの提案を素直に聞き入れ、まずはガルフィンドの元へ向かうことにした。


 そうして、ガルフィンドから仕留めにいくことにすると、


「今から君を狭間の地の中でもガルフィンドが治める国である獣王国ガルニシアに最も近い場所へ飛ばすんだけど、その前に一ついいかな?」


 神父がガルフィンドが治める国である住王国ガルニシアに行く前に聞きたいことがあるらしく、質問しても良いかと彼に聞いた。


 彼は神父からの質問の前に自分のことをガルニシア近くまで飛ばすと言う情報が気になって仕方なかった。


 何故なら、彼は神父からガルニシアに飛ばすなどと言う情報は聞かされていなかったのだ。


 ガルニシアに飛ばされるという情報が気になって仕方ない彼であったが、このまま神父からの質問を無視し続けるのは良くないと思い、首を縦に振って肯定した。


 彼から質問の許可をもらった神父は早速彼に話しかける。


「君は記憶を失っているよね?それなら、もちろん自分の名前も忘れてしまっているんだろう?なら、これからの旅は仮の名が必要だと思うんだ。名前があった方が色々と便利だと思うし」


 神父は彼にこれからの旅で名前があった方がいいのではないかと語りかけた。


 確かに、今の彼は記憶喪失であることもあり、自分の名前も分からない状態だ。


 そして、神父の言った通り名前がないと色々と不便に思う場面も多いことは容易に想像できる。


 そのため、彼もこれからの旅で記憶を取り戻すまでは仮の名は必要だなと思った。


 そのとこを悟ったのか、


「これからの旅ではアレスと名乗ると良いよ」


 神父は彼にこれからの旅ではアレスと名乗ることを勧めたのだった。


 神父にアレスの名を勧められた彼は何故、その名前なのかと不思議に思い、何か裏があるのではないのかとも考えた。


 しかし、彼は神父の思惑が分かるはずもなければ、別に何か良い名前も思いつかなかったので、素直にアレスという名前を使うことにした。


 そうして、彼はこれからの旅ではアレスと名乗ることにすると、


「新しい名前も決まったことだし、君をガルニシアの近くまで飛ばすよ」


 神父はアレスに新たな名前も決まったので、早速ガルニシアの近くまで飛ばすと言った。


 そして、神父が本を再び開くと、そのページが光り始めた。


 と同時に、アレスの足元に魔法陣が浮かび上がり、アレスは魔法陣から溢れ出した光に包まれた。


 そうして、魔法陣から溢れ出した光にアレスが包まれてからしばらく経った時、魔法陣は消失し、溢れ出した光も収まった。


 光が収まり切った後、魔法陣があった位置を見てもアレスの姿はない。


 そのことを確認した神父は、


「さて、第一ステップは無事に完遂できたといったところかな。思ったよりも警戒心が強くて面倒だったけど、何とか説得できてよかった。次のステップに移動するのは彼が創造神アヴァロンの魂を集め終わってからで良いし、ここはゆっくり彼の旅を見守るとするか」


 独り言を呟いた後、何かの魔術で自分の前にモニターを投影すると、そのモニターに映し出された映像を見始めたのだった。










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