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Requiem to the AVALON  作者: 大猩猩和
獣王国ガルニシア編 第一章 壁越え
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第22話 緊急事態と作戦の立案

 そうして、次の目的地も決まったアレスであったが、下の様子が気になり、窓から下を見ようと覗き込んだ。


 下の様子を確認しようと窓から覗き込んだアレスは直ぐに頭を引っ込めた。


 そして、頭を引っ込めたアレスの表情は硬いものになっており、少し青ざめてもいた。


 何故、アレスの反応がこのようなものになっているのかというと、原因は時計塔の周りにあった。


 彼のいる時計塔の周りには先ほどまで散らばっていたはずのゾンビたちがどんどん集まって来ており、昼間の時と遜色ないほどのゾンビの群れが完成しつつあった。


 一つ目の時計塔の鐘を鳴らした際は何も起きなかった。


 そのため、アレスは今回も鐘を鳴らしたことで何も起きないだろうとたかを括っていた。


 だが、現実は残酷であり、鐘の音が鳴り響いた影響でゾンビたちが集まって来ていた。


 ゾンビたちが集まって来ていることに危機感を覚えたアレスはこれからどうするべきかと思考を巡らせる。


 一度死ぬことで教会に戻り、やり直すべきかと考えたが、リスポーン地点を更新しているため、その手は使えない。


 ゾンビの群れの中を駆け抜けることも今のアレスでもほぼ不可能に近い。


 そのため、アレスに残された選択肢はこの時計塔でゾンビの群れを迎撃することだった。


 この危機的な状況を打破する方法がゾンビの群れを迎撃するしかないと考えたアレスは早速その方法を模索し始める。


 時計塔の入り口で迎撃することをアレスは真っ先に思いついた。


 時計塔の入り口は一つしかないのに加え、そこまで広いものでもない。


 そのため、迎撃するのには向いている場所であった。


 しかし、ゾンビたちの群れが多いことから迎撃している最中に取り逃す可能性が高く、取り逃した瞬間死が確定してしまう。


 それに、この時計塔の入り口はそこまで広くないとは言ってもゾンビたちの大きさならば、一気に五人は同時に入ってこれるほどであり、ほぼ確実にゾンビを取り逃してしまうだろう。


 そのため、入り口での迎撃は選択肢から外された。


 次に思いついたのは階段での迎撃だ。


 こちらは入り口とは違い、人がギリギリ二人歩けるかどうかほどの幅しかなく、手すりもなければ、中心に大きな穴が空いている螺旋階段となっている。


 この螺旋階段は多くても同時に相手にするゾンビの数は二体で抑えることが出来るだけでなく、先頭以外のゾンビも狙うことが出来る。


 それだけではなく、手すりがないことから、ゾンビ同士が押し合い、中心に空いている穴に落ちてしまうこともあるだろう。


 意図的にアレスが最前列のゾンビを押し出し、後ろに並んでいるゾンビたちに当てることで、ゾンビの群れの一部を穴の中へ落とすことも見込める。


 それに、螺旋階段は最低でも100メートルはある時計塔の半分近くまでの距離がある。


 この圧倒的な長さのお陰でアレスは押し切られそうになった際は階段を登ることで逃げられるという利点もある。


 反対にこれらのメリットはデメリットにもなり得る。


 手すりがないことからアレスがゾンビに絡まれ、バランスを崩した際、そのまま自分が穴に落ちてしまう可能性もある。


 他にも吹き抜けていることからアレスだけでなく、ゾンビたちも様々な場所からアレスのことを狙い撃ちすることが出来る。


 そして、この狙い撃ちは一人であるアレスよりも大量にいるゾンビたちの方が明らかに大きなアドバンテージとなる。


 そうして、色々と迎撃方法を考えていたアレスであるが、結局螺旋階段でゾンビたちを迎撃することにした。


 やはりここで迎撃する方が他の作戦よりも成功率も生存率も高かった。


 螺旋階段で迎撃することにしたアレスは更に作戦の内容を詰めていく。


 まずは最初の迎撃ラインはどこにするのかを考え始めた。


 入り口に近い低層階での迎撃はすぐに追いつかれてしまう危険性が高いため、最低でも中層階で迎撃することにした。


 次に迎撃の手段を考える。


 まずは遠距離攻撃手段である弓での迎撃を考えたが、弓では大人数を同時に相手するのにはあまりにも難易度が高かった。


 もしも、ただの矢ではなかったのなら迎撃も可能であったが、あいにくアレスが現在持っている矢は普通のものだけである。


 それに、弓での迎撃の場合、近距離まで迫らせた際に武器を持ち替えなければならないという無駄な動作も行う必要がある。


 そのため、弓での迎撃は難しいと判断した。


 弓での迎撃は難しいと判断したアレスはもう一つの遠距離攻撃の魔術での迎撃を考える。


 魔術は弓と違い、剣と盾を持った状態で使えるため、近づかれたとしても武器を持ち替えるという動作はなく、そのまま迎撃が出来る。


 そして、魔術は弓と違い、威力の調節や少し工夫を加えれば、様々な状況に対応できる。


 これらの理由により、魔術での迎撃が適していると判断できる。


 だが、こちらにもデメリットがある。


 現在のアレスはあまり魔力量が高くない。


 そのため、魔術で迎撃する場合、弓よりも撃てる回数が大幅に少ない。


 それに、アレスは記憶を失っている影響で、魔術を使えたとしてもうまく扱うことは出来ないため、このデメリットを知恵などで補うことも出来ない。


 しかし、その他諸々を加味したとても魔術での迎撃の方が勝率が高いため、アレスは魔術による攻撃を主にゾンビの群れを迎え撃つことにしたのだった。








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