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Requiem to the AVALON  作者: 大猩猩和
獣王国ガルニシア編 第一章 壁越え
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第20話 第二の時計塔の門番

 魔力の矢を上手く使うことで難なく三体の獣人ゾンビを葬り去ったアレスは時計塔へ向けて歩みを進めていた。


 その際、アレスは魔力の矢について考えていた。


 魔力の矢を生命の樹からのバックアップ無しで使うのは今回が初めてであった。


 そのため、あまり自分の魔力量を把握していなかった。


 それだけではない。


 アレスはゾンビを魔力の矢で一度も倒していないことから、どれくらいの威力で放てばいいのかも分からなかった。


 そのため、少し過剰とも思える量の魔力を込めた魔力の矢を放った。


 少し過剰に魔力を込めたこともあり、ゾンビを一撃で仕留めることは出来た。


 しかし、思ったよりも魔力消費が激しく、今の二発だけで全体の一割五分ほどの魔力を消費してしまった。


 生命の樹からのバックアップがないと思った以上に自分の魔力は少ないことを知ったアレスはなるべく魔力は温存していくことにした。


 それと、ゾンビに向けて魔力の矢を放つ際はもう少し威力を抑えても問題なさそうとも思ったのだった。


 そうして、アレスが魔力の使用について考えていると、第二の時計塔の近くまでやって来た。


 時計塔は正門の封印でもあることから、アレスは時計塔の周りには多くのゾンビたちが護衛のために徘徊していると考えていた。


 だが、実際の時計塔の周りにはあまりゾンビの姿は見えず、他の場所とあまり変わらないことが分かった。


 彼らが時計塔の封印を守っているわけではないことが分かったアレスはそのことを不思議に思いながらも時計塔へ近づいていく。


 そして、時計塔と目と鼻の先までやって来た時、ちょうどタイミング良く時計塔の中からゾンビが出て来た。


 しかし、このゾンビは今までの個体とは違い、その体長は軽く二倍を超えるほどの巨体である。


 今までのゾンビたちの多くがイヌ科の動物が多かった中、この巨体のゾンビはクマのような見た目をしている。


 この巨体のゾンビは他のゾンビと同様に体のあちこちが腐っており、腐った部分には蛆虫が沸いている。


 左目は外れて垂れ下がっており、今にも外れそうである。


 片耳も失っているようであり、右には本来あるはずの耳が生えていなかった。


 口からはクマとは思えないほど巨大な牙が生えており、口元から大量の涎を垂らしている。


 どうやら、この巨体のゾンビはアレスのことを獲物だと思っているようだ。


 そして、この熊の手にはその巨体に似つかわしい巨大な斧が握られている。


 この斧で叩き切られた際は今のアレスでは一撃でミンチにされてしまうだろう。


 そんな巨体のゾンビを見たアレスは自然と警戒から距離を取る。


 アレスが巨体のゾンビから距離を取ると、このゾンビも獲物であるアレスに襲い掛かろうと近づいてくる。


 しかし、その足取りはとても遅く、そのことに違和感を覚えたアレスは自然と視線を落とす。


 そうして、視線を落としたアレスはこのゾンビの足元に注目してみると、このゾンビの両足にはそれぞれとても重そうな鉄球のおもりが繋げられていた。


 このおもりである鉄球の影響でゾンビの足取りが遅いようであった。


 他にもこのゾンビの左足は腐り果て、今にもちぎれそうなほどひどい状態であることも影響しているのだろう。


 巨体のゾンビの機動力が低いことが分かったアレスは冷静に距離を取ると、ゾンビもそれに合わせて必死に足を動かし、アレスに追いつこうとする。


 しかし、おもりと足の怪我の影響で速度を出すことが出来ず、どうしても大きく距離を取られてしまう。


 ある程度の距離を取ったアレスは剣を腰にある鞘へしまうと、収納魔術でしまっていた弓と矢を召喚する。


 召喚した弓を構え、矢をつがえると、巨体のゾンビの頭に狙いを定める。


 そして、アレスは矢を放つ。


 放たれた矢はアレスの狙い通り頭に命中し、ゾンビは痛みからか、咆哮をあげ、その場でのたうち回る。


 だが、痛がっている割にはダメージらしいダメージが入っている様子はなく、弓での迎撃はあまり効果がないと判断した。


 しかし、このまま近づくのはあまりにも危険であるため、アレスは弓での迎撃を続ける。


 矢を収納魔術で再び召喚すると、弓につがえ、再び狙いを定める。


 今度は腐って今にも折れそうな左足に狙いを定めた。


 そして、放たれた矢は狙い通り左足に命中すると、腐った部分の肉が弾け飛び、左足が引きちぎれた。


 左足が引きちぎれた巨体のゾンビはなす術なくその場に倒れた。


 彼の弓の威力がここまで高いのかというと、この時計塔に来るまでの間にアレスは何体ものゾンビを狩って来ているため、身体能力が強化されているのだ。


 身体能力が強化されていることから、アレスの弓の威力が想像よりも高くなっている。


 このことには本人も少し驚いており、魂によるバフは馬鹿にならないのだなと改めて実感する。


 巨体のゾンビが地に伏したことを確認したアレスは弓をしまい、鞘から剣を抜くと、ゾンビに向けて全速力で走る。


 ゾンビもこのままでは獲物であったはずのアレスによって逆に自分が獲物になってしまうと焦り、必死に立ちあがろうとする。


 しかし、その巨大さゆえに片足を失った状態では上手く状態を起こすことも難しく、立ち上がることが出来ない。


 そうして、巨体のゾンビが立ち上がることに苦戦しているうちにアレスは目の前までやってくると、勢いよくゾンビの頭を切り落とした。


 そして、アレスはつかさずゾンビの両腕と残った右足も切り落とし、念入りにゾンビの心臓に剣を何度も突き刺し、完全に潰し切る。


 心臓を完全に潰し切り、巨体のゾンビが動かなくなったことを確認したアレスは魂魄収穫(ギラ)で魂を奪い、完全に巨大のゾンビを仕留めたのだった。







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