第14話 教会
ガレスと別れたアレスは正門の封印を解くべく、時計塔から外へ出てきた。
外へ出てきたアレスは周りに敵はいないかと確認してみるが、パッと見た感じでは近くにはいなそうではあった。
敵がいないことを確認したアレスは隔離区画の中を歩き始めた。
この隔離区画はその名の割にはあまり閉鎖的な雰囲気はなく、ただ普通の街並みが広がっているように感じる。
しかし、全ての窓が木の板によって塞がれていたり、扉や窓が壊れている建物が一部あったりと所々にこの場所が普通ではないことを証明する場所がある。
そんな隔離区画を歩いていると、他とは少し雰囲気の違う建物を見つけた。
その建物は教会であるようだが、どの宗教の教会かは見た目だけでは分からなかった。
まず、アレスはこのガルニシアにどのような宗教があるのかも知らないため、どの宗教か分からないことは当たり前であるのだが。
そうして、教会を見つけたアレスはそのまま教会の前を通り過ぎようとした時、窓から中の様子が見え、足を止めた。
何故なら、この教会の中心には生命の樹が生えていたからだ。
生命の樹が教会の中にあることを知ったアレスはこのまま通り過ぎるのではなく、教会の中へ入ることにした。
教会の中へ入ることにしたアレスは扉を手で押してみると、鍵がかかっていなかったらしく、そのまま扉は開いたのだった。
扉を開けたアレスはそのまま教会の中へ入ってみると、そこにはいくつもの長椅子が並んでおり、中心には赤い絨毯が伸びていた。
この絨毯の先には生命の樹が生えているのだが、この教会の最奥は少し高くなっており、壇上のようになっている。
そして、教会の壇上には腰くらいまでの高さの机が置かれており、奥の壁には何かの一場面を切り取った綺麗なステンドグラスがあった。
このステンドグラスは仰向けになっている女性の胸に男性が剣を突き立てるというものであるのだが、このステンドグラスに描かれている女性は剣を突き立てられているのに笑顔であった。
一方、男性の方は目から涙を流している。
この男性は女性のことを本当は殺したくなかったのだとこのステンドグラスからは読み取れる。
そんな何かの一場面を切り取り、ステンドグラスにしたものをアレスは一度も見たことがない。
だが、このステンドグラスを見た時、何か心の中に引っかかるものがあった。
しかし、それが何なのかアレスには分からなかった。
きっと、失った記憶の中に答えがあるのだろうが、何も思い出すことはできない。
あと少しで思い出せそうなのに、その少しがどうしても思い出せない。
いくら思い出そうとしても思い出せず、アレスの胸の中にわだかまりが積もるだけだった。
そうして、胸の中にわだかまりが積もるばかりで何も進展がなかったアレスは生命の樹に触れ、リスポーン地点を更新した。
生命の樹に触れたことでリスポーン地点を更新したアレスはこの教会に留まる理由もないので、すぐに外へ出たのだった。
教会から外へ出たアレスはガレスからもらった地図を開くと、隔離区画が描かれている箇所を眺める。
このガレスからもらった地図は確かにガルニシア全域が描かれているのだが、全域を描いたがために地図が少し大雑把であり、特徴的な建物の場所と大まかな区画と道しか描かれていない。
そのため、自分の今いる場所を把握するのは少し難しいのだが、アレスは運が良かったようで、ちょうど近くにある教会が地図に描かれていた。
運良く地図に描かれている教会の前にいたアレスはそのまま地図で隔離区画の大まかな全容を把握していく。
この隔離区画はガルニシアの約五分の一程度を占めており、聞いただけで分かる通り広大である。
そんな広大な隔離区画には正門を開くためのギミックである時計塔が全部で四つ存在しているのだが、アレスはそのうちの一つをすでに解いている。
そして、アレスは二つ目の時計塔に目指すべく教会からの距離が一番短い時計塔の位置を地図を見て把握する。
教会から北東に向かった先にある時計塔が一番距離が短いようであり、アレスはこの時計塔を目指すことにした。
アレスは北東にある時計塔を目指すことにすると、ガレスからもらった地図を収納魔術で再びしまった。
そうして、地図をしまったアレスは北東にある時計塔を目指して歩き始めたのだった。




