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二コラの始まり。

登場人物

クロノ・リュテイ(それなりに名うての冒険者で滅亡前は世界各地を放浪していた)

二コラ・ニューゲート(国際学術会議、通称学会に提出した数多くの論文により人類発展に大きく貢献した彼は人から賢者と呼ばれている)



「滅亡を回避すべく冒険者クロノ・リュティとして賢者二コラの知恵をお貸しして頂きたい」


動きやすそうな薄緑色の外套を纏い荷物は最低限。

大学から与えられている私の研究室に訪れたいかにも冒険者といった格好をした青年、クロノは私に助力を願い出る。

高名な冒険者というから会ってはみたがどうやら恰好以外は奇怪らしい。

しかし時間を巻き戻せるというのは研究者として惹かれるな。


「時間遡行か、面白い。君の仮定を基にした場合、三日後の晩に世界は滅亡するというわけだ。しかし時間は有限ではない。特に私は世界のレベルアップに忙しいんだ。だからこそ動機が必要なわけだが…その点はどうかな?クロノ君。」


「本当に世界が滅亡するので、レベルアップがどうのレベルではないんですよ。ただ時間遡行があればその無駄な時間もなかったことに出来ます。お得ですよ。例えば薬剤生成の為の実験だとか認可が下りにくいと思いますがやってしまって巻き戻しすれば証拠も隠滅出来て万々歳ですよ、まあ死ぬ必要はありますが貴方は優秀だ。その頭脳があれば結果を持ち越せなくても問題ないでしょう」


なんだこいつ、新手の悪徳商法か?ツボでも押し付けようというのか。

「確かに問題はないな。しかし倫理を無視した実験は頂けないな。戻る戻らないの問題ではない。私のプライドの問題なのだよ。私はマッドサイエンティストではないのでな。」

話を聞くだけ時間の無駄かもしれない。

そう考え適当なあしらい話を切り上げることにした。


クロノが答える。

「そうですね、だからこそあなたのような研究者にこのスキルを貸すのがベターなんですよ。まぁ、融通するといっても死ななきゃ発動しませんしデメリットなんてないもんですよ。スキルの貸し借りも握手で済みますしね」


「言い分は理解したよ。しかし滅亡の証明はどうするんだい?それが出来なきゃ私の時間は貸せないな。」


「えぇ、仰る通りです。ですので今回は握手だけで大丈夫です。三日後には滅亡が来ますから、僕が証明する必要はないので。その時は次の僕か、次の次の僕か。何回目の僕かはわかりかねますが別の僕と協力して滅亡を回避してください」


潮時だろう、お互いそう判断した。

「なるほど、クロノ君、実に面白い話をありがとう!短い時間であったがテーマ自体は興味深かったよ。仮に滅亡が訪れたのであれば、その時は協力しよう。」

私はクロノと握手する。


「えぇ、お待ちしております」


 そう言ってクロノは部屋を出て行った。

スキルホルダーになった感じは全くないが本当に時間遡行の力を手に入れたのであろう。

まぁ良い。未知の力に対しての防衛手段を構築するという点では興味深く国防などに使えるようになるかもしれない。研究の合間の大事な空き時間を少しぐらいあててやるのは面白いかもしれない。」


などと考えながら二コラは研究に戻るのであった。


あれから時間が経ち

夜なべして絶滅の危機にある植物の生態系保全に対する役割や闇の魔術に対する防衛術など様々調べていたところ、三日前訪れたクロノという青年をふと思い出す。


「滅亡は今日、訪れるのであったな。」

ちらと窓の外に目をやる。

数秒、数十秒と経ちやはり滅亡など起きないのだと思い始め机に戻ろうとしたその時だった。


視界の端に赤い彗星を捉える。


「っ!!」

細胞の一つ一つが私に警笛を鳴らす。

「本当に滅亡なのか!?」

私は計算する。


距離がLはなれているとき視界の幅(H)は

H=2L*tan(θ/2)だと仮定…であるならば…

計算結果を数秒ではじき出す。


約4,400mと推定。過去、防衛魔術が未発達の時代に凡そ50mの隕石が王国へ落下した際は王国が滅亡。結果、間違いなく滅亡する。


「どうやら生命の危機に瀕した際は計算能力も上がるらしいな。」

現時点ではクロノの能力が発動しない可能性もあるため、もっと手段を構築しておくべきだったと後悔しつつ、私は魔法石を一つ起動した。


この魔法石には幾つかの特性を付与してある。

衝撃に対するアンチマテリアル、バリア、引力。

通常の隕石衝突に対しての想定解を絞り数個ほど。

その他時間と物資の関係もあり単体付与の魔法石をお気持ち程度用意していた為、30秒に満たない僅かな時間でそれを数個かき集めたところで部屋ごとバリアに覆われ、窓を見る。



滅亡はすぐそこだった。

赤い光がバリアの膜を覆い津波のような衝撃が私の身体を襲う。

瞬時にバリアの中で幾重にもバリアを張る。


幾つかの手段を構築していなければどんなに大きな衝撃だったのであろうか。

室内の家具は倒れ壊れ、私たる源泉たちは散乱している。

身体の周りのバリアのみ解除して家具をどかしたその先に見えたのは

真っ暗な空間と遠くに過ぎ去る赤い彗星。

そして私たちが住んでいたであろう星の爆ぜ散る瞬間であった。


私は思う。

「芸術は爆発だ。といった者もいるがそうなのであろう。不幸にも綺麗だ。」

「しかし、価値ある星の本来の美しさを見ることの出来ないことは同時に不幸である。」

滅亡などという不幸な出来事ではなく、私の知恵で、技術で再びこの星を見てやろう。

そう私は私に誓ったのであった。


それから幾つかの魔法石を使い、一週間生きながらえた所で魔力が尽き、バリアが瓦解。

宇宙空間に投げ出された私はほどなく意識を失い。

気づいたときには一日目の朝であった。


昼頃、1回目と変わらずクロノは訪ねてきて滅亡の話をし始めるがクロノがふと、私の顔をじっと見てこう言った。


「その顔は…二コラさん、2回目ですね?…ずいぶん気合の入った表情をしていましたので。良かったです。今回は建設的なお話が出来そうですね。それでは次のステップのお話をしましょうか」


私はここである仮説に思い当たる。

クロノの2回目か否かの質問は推論の域ではない。

確証を以て聞いているのである。

であれば私にとっての2回目はクロノにとっての何回目なのであろうか。

そう気づいた私はクロノにぞっとしたのである。

クロノと二コラって仲良くなれるのかなって思います。

頭の中では仲良くなる構想はあるんですけど文として起こしていった時にちゃんと協力体制敷けてるかなーと心配です。

書くの、頑張ります。

因みに隕石の計算の所は割と適当で、800mほどで衝突後生物は生息不可能となり滅亡するという記事を見たのでじゃあそれより大きくしよーって感じでとあるデカいやつをモチーフに大きさを決めました。

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