079.工場を買ったみたいです。
工場見学に来ています。工場は町の外れにあるとのことでちょっと歩きますが、たいした距離ではありません。
経営悪化の原因を聞いてみたところ、一時期紡績が好調で上がり調子の頃に起業したそうですが、大手が参入したせいで一気に注文が減ったそうです。
「紡績工場とは言っていますが、機織りまでやっているんですよ。ですからあとはお針子さんを雇うだけなんですよ。」
なるほど、糸から作るんですか。そうするとかなり自由度が増しますね・・・
「そうなんですね、ところでそのお針子さんの当てはあるのでしょうか?」
私はそんなお針子さんなんて知りませんよ。
「それは求人をかけます。カオリさんのお店の商品を作ると言えば、かなりの倍率になるかと・・・」
そうなんですか・・・
「それではそちらもお任せしてもいいんですよね?」
「はい、お任せ下さい。条件などはどうしますか?」
条件ですか?ああ、お給料のことですか。
「普通はいくらくらい貰ってるんですかね?特にその工場の従業員さんとか。」
「そうですね、工場のことは解りませんが・・・一般的なお針子さんは日当で銀貨7~8枚くらいですね。」
なるほど・・・月にすると、1人あたり金貨3枚くらいになるのですか・・・それを考えると冒険者ってボロい商売ですね・・・私がそちらで稼げば、人を雇うのは簡単な話です。赤字もないでしょう。
「では、給金の話は工場で話をしてからと言うことにしましょう。あまり差が開いても不公平感が出ますから。」
「わかりました。カオリさんって、意外としっかりしてるんですね。」
意外ってなんですか。そんなに頼りなさそうに見えますか?それとも世間知らずに見えるのでしょうか・・・確かに異世界事情はわかりませんから世間知らずかもしれませんが・・・
「イザベラさん、そんなに・・・」
「着きましたよ。ここがその工場です。」
強引にかぶせられましたよ。まぁ、着いたなら仕方ありません。この話はあとでしっかりしておきましょう。
「けっこう痛んでますね・・・」
「う、ま、まぁ、資金難でしたし・・・少しは・・・その・・・」
まぁ、資金難であれば建物の修繕までお金が回せなかったのでしょう。そこは仕方ないということにしましょう。
「おじさ~ん、いますか~」
おじさん?イザベラさんの知り合いですか?
「イザベラさんの知り合いですか?」
「ええ、まぁ・・・叔父です・・・」
叔父さんですか・・・なるほど、それもあって立て直しをしたい訳ですか・・・
「本当は、公私混同になるので褒められたことでないのは解ってるんですけど・・・」
よくないことは解ってるんですね・・・それでもなんとかしてあげたいということですか。
「いいんじゃないですか。少しくらい職権乱用しても。身内とは言え、人助けですし。」
話をしてるうちに中から人が出てきましたね・・・この人がイザベラさんの叔父さんでしょうか。
「おじさん、この工場を買ってくれるって人がいたから連れてきたよ。」
なるほど、身内だから細かいことまで知っていたと言うことですね。なんか値踏みされているみたいですね・・・ジロジロ見てきますよ。
「そこのお嬢ちゃんがこの工場を買ってくれるのか?」
「ええ、工場だけでなく従業員ごとね。」
「うちで働いてる娘達をそのまま雇ってくれるってことか?」
まだ細かいとこまで話が行ってなかったってことですね。ギルドで話をしてそのまま来ましたから当然ですか・・・
「そうよ、このカオリさんがおじさん含めて雇ってくれるって。」
「お、俺もか・・・」
そこからはけっこう話が簡単に進みましたね。私が「アウトフィット」のオーナーであること、Tシャツの作成を依頼するところを探していたこと、経営まではしたくないからそれはお任せしたいこと。そんなことを話しましたよ。
工場は私が買うことで負債分も私が支払うことになりました。まぁまぁの額ではありますが現状支払えない額ではありませんし、ギルドの方で立替はしてくれるのだそうです。
中にある機械なども見せて貰いましたが壊れているものもあり手入れが必要そうです。あとはお針子さんとミシンですか・・・
ここで働いている何人かはお針子さんも出来ると言うことなので、そのままお願いすると言うことであと3人程雇うことにしました。
ミシンも新しいのを入れてもらえるよう頼んでおきましょう。あとは簡単な打ち合わせをして今日はおひらきですね。
社長さんと、従業員の人たちにえらく感謝をされました。これからがんばって貰わないといけませんからね。好印象なのはいいことです。
「カオリさん、なんか身内のことで申し訳ありませんでした。」
「確かにそうかもしれませんが、私的にはよい工場と従業員が確保出来ましたからそれでよいのではないですか?」
「そう言ってもらえるとありがたいです。」
ギルドに戻ってからも給金についてとか、新しい従業員の採用基準などの話をしました。他よりかなりよい待遇で雇うことにしました。その代わり質のよい人を雇えるようお願いしておきましたけど。面接?なぜ私がするのですか?社長さんに丸投げですよ。私は結果を聞ければそれでよいのです。
帰りに何か美味しいものでも買って帰りましょう。あまりかまってあげられなかったですが、イロハは私と一緒にいられるだけでご満悦の様子でした。
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