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078.オーナーになるみたいです。

 文字入りTシャツは、けっこう受け入れられたようです。最初は「なんだこれ?」みたいな変な物でも見るような反応だったのですが、私がチャイニーズメイド服を作ったと広まった途端に売れ始めましたよ。


 このTシャツが最先端だ、みたいな感じでしたよ。おかげで色んな文字を考えるハメになりました。「可愛いは正義」が女の子にうけていたのは当然かと思いますが・・・「明日から本気出す」が意外と売れました・・・世の中判らないものです。普通のTシャツより売れているんですよ?そろそろ外注に出すことを考えた方が良さそうな感じになってきました。



 今日はイロハを連れて外出です。いつもいつも全員連れて歩いているのもどうかと思うので、こうやって1人だけ連れて歩くとかもしています。私と2人でお出かけというとやたら喜ぶんです。可愛いですね、癒やされます。


 商業ギルドに来ています。Tシャツを外注に出したいのでその相談です。イザベラさんは・・・カウンターにいますね・・・いつの間に買いに来ていたのでしょうか?「働いたら負け」Tシャツを着ていますよ・・・それでいいのですか・・・商業ギルドの存在が危ういのでは・・・

 「イザベラさん、こんにちは。ちょっと相談があって来たんですが・・・」

 「カオリさん、今日もあちらで話した方が良さそうですね。」

 個室の方を指さしますね。もちろんそのほうがありがたいので頷いておきます。


 個室に移動しました。イザベラさんがお茶を入れながら話しかけてきます。「働いたら負け」を着ている割によく働きますね。

 「どの様なご用件でしたか?」

 「ええ、うちで売っているTシャツの件でご相談があって。」

 「これですか、着心地よいですね。「可愛いは正義」と併せて2着買ったんですよ。」

 ああ、そっちも買ったんですね。なら仕事中はそっち着ましょうよ。さすがに仕事中に「働いたら負け」はどうかと思いますよ。

 「ご購入ありがとうございます。色々増やしたいと思ってますのでまたお願いしますね。」

 「色も増やして頂けると嬉しいですね。黒だけってのも少し味気ないです。」

 それは一理あるのですが、文字入りTシャツは黒色って思うんですよ・・・

 「ご意見として承っておきますね。」

 やんわり答えておきましょう。それより今日の要件ですよ。

 「実はですね、そのTシャツがよく売れているので他の仕事をする時間が少なくなってきているんです。」

 嘘です・・・あっという間に出来るんで時間的には問題ありません・・・

 「そうだったんですか・・・人気ありますもんね。」

 そうなんですよ、けっこう人気あるんですよ・・・

 「それで、外注とか出来ないかなと思いまして・・・」

 「なるほど、制作をどこかに委託すると言うことでしょうか?」

 「ええ、そんな感じです。」

 なんか考えてますね。アレは何か悪いことを考えている目ですよ・・・

 「そうですね、実は経営不振の紡績工場があるんですが・・・カオリさん買い取りませんか?従業員ごと。」

 はぁ?何かとんでもないこと言ってきますよ・・・紡績工場を買い取れですか・・・まぁ、確かに下請けに出すより自分の所で作った方がいいのはわかりますが・・・まさか経営者になれと言うとは思いませんでしたよ。

 「私は、こういった商売も初めてなんですよ。会社経営なんて無理に決まってますよ。」

 「その辺は大丈夫ですよ。従業員ごと買い取るって言ったじゃないですか。もちろん社長も一緒です。カオリさんがオーナーになるだけですよ。」

 なるほど、私が出資者となって立て直すというわけですか・・・私は工場が手に入り、その工場は仕事が入って出資者もつく。確かにいい話ではありますが、なんか乗っ取りみたいですね・・・

 「相手の社長さんはそれでいいと言っているんですか?」

 「はい、負債が大きくなる前になんとかしたいそうなのです。」

 「では、私がそこに仕事を出すだけで大丈夫なのでは?」

 仕事がないので負債が大きくなるのなら、私が仕事を出すだけでいいのでは?

 「確かにその通りではあります。でもそれではカオリさんに利益がないじゃないですか。」

 いえ、別に利益がと言う話はしていないのですが・・・

 「そこまで利益にこだわってはいないのですが・・・」

 「いえ、私としてはカオリさんに大成してもらいたいのですよ。私のためにも・・・」

 最後何か言いましたね・・・私のためにもってなんでしょうか・・・私が利益を得るとイザベラさんに何かあるのでしょうか・・・

 「そこでなぜイザベラさんが関係してくるのですか?」

 「そ、それはですね・・・カオリさんのところが儲かるとギルドに納める額が大きくなるじゃないですか・・・」

 そう言うことですか。私が納める額が大きくなると言うことは担当したイザベラさんのボーナスが増えるということですね。確かにウインウインな関係ではありますね。

 「わかりました。今回はイザベラさんの提案にのらせてもらうことにしましょう。その代わり面倒そうな書類とかは全部任せますよ?」

 「も、もちろんですよ。面倒ごとは私が全部引き受けます。」

 しっかり私のことも考えてくれているあたりは好感が持てますからね。社長まで手配済みとは恐れ入りました。確かに仕事が定期的に入れば経営が傾くことはないでしょうから、基本的にお任せでいいのでしょう。

 「イザベラさん。基本的にそれでいいのですが、一応先に工場を見てからにしたいですがいいですよね?」

 現地に行ったら工場がボロボロではなんともなりませんから・・・

 「もちろんですよ。今から行ってみますか?」

 「お願い出来ますか。」

 この後工場を見に行くことになりました。

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