045.「なのです」だったみたいです。
今回はキク視点でお送りします。
『・・・なのです。』
別にいつもこんなしゃべり方をしてるわけではありませんよ・・・マスターには一通りの知識と教養を与えられていますから、ちゃんと普通にしゃべることくらい出来ます。
以前マスターが可愛いと言ってくれたのでそのまましゃべっているにすぎません。私を直してくださったカオリ様もこのしゃべり方を好ましく思ってくださっているようですし・・・特に直す必要は無いと感じているだけです。
しかしながら、あのカオリ様というのは一体何者なのでしょうか・・・マスターも規格外の鍛治師であったと記憶していますがそれ以上の鍛治師なのでしょうか?しかし、鍛冶で使うような道具を持っているようには見えませんでしたし私を直してくれたのは宿屋の部屋でした。マスターよりも不思議な方です。
カオリ様は多分ですが転生者なのでしょう。マスターと同じような感じがします。マスターは自分が転生者だとおっしゃっていましたから間違いは無いでしょう。でも、カオリ様のまわりにいる3人は違います。私と同じように感じます。もちろん刀娘では無い事はわかります。でも私なんかよりも遙かに強い事だけはわかります。私を持つ事になったコトハという娘ですが、私など簡単に折る事が出来るのでしょう。そのくらい力があるように感じます。カオリ様の事を「かぁさん」と呼んでいますから娘なのでしょう。そういう事になっているのでしょうね。他の2人にしてもそうです。「お母様」「母様」・・・カオリ様を母親として敬っているようです。あの3人を作ったのがカオリ様なのでしょうか?謎が深まるばかりです。
今の私なのですが、マスターに作ってもらった時よりも耐久度が増えています。だいたい以前の10倍程でしょうか。今ならドラゴンの牙で攻撃された所で、折れたりする事は無いでしょう。それどころかドラゴンごと切り飛ばせる位でしょうか格段に性能が上がっているように感じます。
これだけ性能の上がった私ですが、あの3人に睨まれた時は正直終わったと感じました。せっかく治してもらったのにまた壊されるんだと覚悟してしまいました。ドラゴンと対峙した時でもそんな事は感じなかったのですが・・・これが真の恐怖というやつですね。あの3人には絶対に逆らってはいけないという事がよく分かりました。それと、カオリ様に甘えるようなそぶりを見せてはいけないという事も・・・
カオリ様には私以外の刀娘はいないと言いましたが、多分3人いるのでしょう。私もはっきりと断言できるわけではないですがマスターが持っていた3本の刀、多分私と同様の刀だと思います。いえ、私よりも遙かに強い刀なのでしょう。ただ、1度も人間の形をとっている所を見た事がないのですが・・・なので確信が持てなかったためカオリ様には刀娘は私だけと言っておきました。
もし、あの3本のうち1本とでも出会う事があれば正直に言いましょう。人間の姿を1度も見た事がない私が言うのもおかしな事ですが、感じる事は出来ますから。マスターにムラクモ、ミタマ、ハバキリと呼ばれていたと記憶しています。ただ、マスターが使っている所を1度も見た事がないのです。使っていなかっただけなのか、使えない理由があったのか・・・私にはわかりませんが・・・
カオリ様は私を人間の女の子のように扱ってくれるのです。私に優しく話しかけてくれ、外に出る時以外は人の姿でいて、話をしようといってくださいます。マスターも私とよくお話をして下さいましたが、異世界の人というのは私たちのような物に対して話しかけるという事を日常としていたのでしょうか。マスターは自分のような人間は少ないと言っておられましたが、カオリ様はその少ない側の人なのでしょうか?人間、異世界の人というのはよく分かりません・・・ただ、優しくされるのは嫌ではありません。
カオリ様はいざというときは私にも戦って欲しいと言っておられましたが出る幕は無いでしょうね。もちろんカオリ様に言われれば喜んで戦いに赴きます。私だって武器として作られましたから、戦う事が使命と思っています。しかし、いくら強くなったと言っても私はここでは1番弱いのです。きっと何の役にも立たないでしょう。出来るのはカオリ様の盾となることくらいでしょうか?いえ、それさえも必要ないのでしょうね。あの3人がそこまで敵を通すはずがありません。そのくらいに強いと感じられるのです。だから私に出る幕は無く、見ているだけで終わるのでしょう。出来る事ならコトハに使ってもらって役に立ちたいものです。
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