030.お仕事が入ったみたいです。
さてさて、宿屋の女将さんには短い間でしたがお世話になったのでしっかり挨拶していきますよ。またこの町に戻ってきた時はお世話になるつもりですし。ご飯が意外と美味しかったんですよ。良い宿を教えてもらったようですね。ガンツさん達には感謝です。また会えるといいですね、色々教えてもらいたいものです。
次は冒険者ギルドですね。アリスさんにもそれなりに・・・いえ、結構お世話になりましたね。ちゃんと挨拶しておきましょう。
「アリスさんはいますか?」
近くにいた受付嬢に声をかけます。またお休みだといやですね・・・さすがに挨拶せずに出て行くのは気が引けますから・・・
「少々お待ちください、すぐ呼んでまいります。」
あ、いるようですね。これで思い残すことなくタイランスの町に向かうことが出来ます。もちろんその先のスニドラが目的地ですけどね。
「カオリさん、ちょうど良い所に・・・」
「・・・・・・・・・・」
嫌な予感がビンビンしますよ。早くここを立ち去らないといけない、私の直感がそう言っています。
「カオリさんに指名依頼をしようかと思っているんですよ。運送のお仕事なんですけどね・・・」
ああ、ギルドの運送を引き受けるとそんな話をしましたね。これは断れないやつでしょうか?
「私、これからスニドラに向かおうと思っていたんです。それで今日はその挨拶に来ただけなんですが、その依頼はお断りすることって・・・」
「スニドラに行くんですね。では好都合ですよ。王都まで届けてもらいたいものがあるんです。スニドラならその通過点ですし、王都まで届けてもらってから戻っても良いのでは?」
確かにスニドラから王都までは馬車で3日・・・王都見物してからスニドラに戻るのも有りですか・・・王都ならば買い物も色々出来るでしょうから・・・
「判りました、その依頼受けましょう。所で何を運ぶんですか?」
「ええ、今度王都でギルドの会議があってですね。私が行かないといけなくなったの。」
あ、これ引き受けちゃダメなやつだ。きっと私の馬車に乗るつもりですね。
「それって、運ぶと言うより護衛の仕事ではないでしょうか?護衛なら断らせてもらいますよ。」
「大丈夫よ、護衛は他の冒険者にも来てもらう予定だから。」
それって、もっとまずいやつですよね・・・アリスさん、ニコニコしてますね。私が断れないよう仕向けた上でさらに他の冒険者の護衛を私が断ると踏んでますね。確かに断りますけど・・・私の馬車や馬は他人にはあまり見せられたものじゃありませんからね。
「はぁ~・・・アリスさん、他の護衛の方はいりません。私たちが護衛を兼ねて王都まで送ります。それでいいんですよね?」
「ありがとう、カオリさんならきっとそう言ってくれると思ってたわ。」
やっぱり確信犯ですか。良い笑顔をしていますね。
「それで、王都まで行くのはアリスさん1人ですか?」
「出来ればもう1人連れて行きたいのだけれども。いいかしら?」
一応7人までは乗れますが、ギリギリですね。馬車を2台にすると狙われやすいですからね。仕方ありません。いざとなったら馬をもう一体作りましょう。
「そうですね、2人くらいなら大丈夫かと。その代わり馬車については他言無用で。」
「大丈夫ですよ。このギルドの内部ではカオリさん達のことは全てトップシークレット扱いです。誰も外部に漏らしたりしませんよ。安心してください。」
いつの間にかトップシークレット扱いですか。まぁ、外部にバレないなら良いんですけど・・・
「それで出発は何時なんですか?私、もう出発するつもりで宿も引き払ってきちゃったんですよ。」
「私としても早めに出発はしたいのだけど、明後日くらいかな?」
仕方ありません。宿屋の女将さんには仕事が入ったと言って、あと2日ばかり泊めてもらいましょう。
「判りました、では出発は明後日の早朝と言うことでよろしいでしょうか?」
「ええ、お願いするわ。場所はギルドの前でも大丈夫?」
あまり大丈夫とは言いたくありませんが、まぁ、良いでしょう。
「ところで、もう1人というのは男性ですか、それとも女性?」
やはり気になる所ですよ。一応女性ばかりですからね。
「女性だから安心して。受付にはあまり出てないけど、中で事務仕事をしてくれている娘なの。」
「それを聞いて安心しました。では、明後日の朝にまた来ますね。」
さて、指名依頼が入ってしまいました。依頼料の話をするのを忘れていましたね。今のところお金に困ってませんしまぁ、良いですか。ギルドの直接の依頼ですし出し渋ると言うこともないでしょうから。
念の為に馬をもう1体作っておくべきですね。白馬ばかり3頭は目立ちますね。毛の色を染めるとか出来ないのでしょうか?メンテナンスで出来たりしませんかね。ものは試しです。やってみましょうか。
と言うことでいつもの場所までやってきました。薬草の群生地ですね。意外とここは穴場なようで人が来ないんですよね。さて、馬を一体取り出しましょうか。あ、馬車につないだままでしたね。仕方ありませんので、馬車ごと取り出しましょう。
馬を1頭だけ馬車から外してメンテナンスを掛けましょう。毛の色を白から茶にする感じで。一瞬白い煙に包まれましたね。ちゃんと毛の色が変わってますね。茶色ですよ、けっこう黒っぽいですね。えっと、黒鹿毛とか言うんでしたっけ?黒味がかった茶色の馬のこと。まぁ、いいんですけど・・・
馬車を引く馬は茶色っぽい馬の方がいいですかね。白は目立ちますし、もう1頭も茶色っぽくしましょうさっきよりやや明るめで。栗毛とか言いましたっけ?けっこう明るめでいいでしょう。
では予備でもう1頭作っておきましょう。こちらは1頭で使うつもりですから茶色でなくともいいですね。芦毛と言いましたっけ白っぽい馬のこと足が速そうな馬がいいですね。競馬のことはよく知りませんが何か有名な馬がいた気がします。オグリキャップでしたっけ?
え、セーラー服?着せませんよ。馬ですから・・・
とりあえず足の速い馬、葦毛の馬・・・そんなイメージで作りましょう。1頭だけで走らせるつもりなので強い馬でないといけませんね。素材は適当でいきますが、竜の骨くらい追加しておきましょう。丈夫な馬になってくれるでしょう。馬具も作っておかないといけませんね。もう慣れたものです。鞍と鐙くらいはすぐ出来ますね。
後は馬が出来るまで薬草を採取しましょう。
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