表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/373

027.色々とやらかしたみたいです。

 今、ギルドの裏にある訓練施設におじゃましております。何かの訓練に来たのかって?違います・・・馬車を作る所をアリスさんに見せる約束をしたため、人目につかない広い場所の提供を申し出たらここになっただけです。アリスさんとギルドマスターがいますね。ギルドマスターは呼んでないんですが、仕方ありませんか。ここの責任者ですし・・・

 一応人払いはしてもらってありますが確認だけはしておきましょう。

 「コトハ。周りに他の人はいる?」

 『ううん、他の人はいないみたい。大丈夫だよ。』

 大丈夫なようですね。建物内では視界が限られるせいかコトハの方が周囲の情報把握は優れているようですね。


 「えっと・・・アリスさん。やっぱりやらないとダメですか?」

 出来れば見せたくないなぁ・・・ここまで来てやっぱりやらないという選択肢はないと思いますけど、出来ればやりたくないですね。

 「何言ってるんですか、昨日ちゃんと見せてくれるって約束で、鉄をお売りしたんじゃないですか。約束は守ってくださいよ。ギルドの役に立つかもしれないじゃないですか。」

 最後のが本音ですか・・・小声で言っても聞こえてますよ。まぁ、約束したのは本当ですし、鉄も売ってもらいましたのでやりましょうか。

 素材を並べてゆきます。丸太を2本くらい。鉄のインゴット。ワイルドボアをそのまま素材にしましょう。骨とか、革とか使えるでしょうから。ホーンドラビットもいいかもしれませんね。あの革は柔らかでいいです。クッションも良い物がいいですからね。スワニーの羽根も少し用意しましょうか。

 さて始めましょう。作る馬車は箱形、街中で見るような形の物がいいですねあまり目立たない物がいいです。少し丈夫な物にしたいですね。荷物を載せるスペースと私たちが座るスペース。4人くらい座れればいいですね。シートはやっぱりフルフラットにしてベット代わりになる物がいいです。寝る場所は必要です。そんな感じでしょうか。

 「アッセンブルオブジェクト 馬車」


そう唱えるとかなり大きな繭が出来ましたね。想像以上の大きさです。まぁ、この中に馬車が入っているのですから当然と言えば当然でしょうか。アヤハ達を作った時と同じくらい魔力が減りましたね。少し疲れた感じです。

 時間は5時間ですか・・・大きいですから、仕方ありませんね。

 あ、2人共、大きな口を開けてますね。いきなり目の前にこんな物が出てきたんです。そう考えれば普通の反応ですか・・・これを見て当たり前と捉えている私の方が異常なのでしょうね。自分のスキルで驚いていちゃいけませんが・・・

 「アリスさん、終わりましたよ。あと5時間ほどほっておけば完成です。」

 アリスさんの反応がありませんね。

 「アリスさん?」

 「え、あ、終わったの・・・想像していたのとかなり違いましたよ・・・」

 「どんなのを想像していたんですか?」

 「いえ、いきなり馬車が「ぽんって」そんな感じで出てくるのかと思ってたんで・・・」

 「そこまで便利じゃないようです。小さな物で簡単な物であれば時間はほとんどかかりませんが、大きな物や複雑な物は時間がかかるみたいです。その辺りは私もよく分かっていないというのが本当の所ですけど。」

 「いや、驚いた。アリスから物を作るスキルだとは聞いていたがいきなり繭のような物が出来たからな・・・この中から馬車が出てくるのか・・・」

 ギルドマスターも驚いているようですね。まぁ、こんなスキル他にはないでしょうからね。

 「ええ、5時間ほどするとこの繭は煙のように消えて中から馬車が出てくるはずです。人前でやるのは初めてですけどね。」

 「そうだな、人前ではやらん方がいいと思うぞ。」

 いや、やらせたのはそこにいるアリスさんですけどね・・・私はやりたくないと言いましたよ。

 「で、5時間かかりますがどうしますか?この繭は移動不可ですから移動は出来ませんし途中で触るとどうなるかは判りませんから触って欲しくはないですね。」



 「話は変わりますが、カオリさんは戦いは全てその人形にさせてるんですよね。」

 「そうですよ、私は戦いなんか出来ませんから。」

 「ではせっかく時間もあることですし、少し剣技を覚えてみてはいかがですか?多少は役に立つと思いますよ。」

 剣技ですか・・・機会があれば覚えてみるのもいいかと思ってはいましたが今がその時と言うことでしょうか。

 「そうですね、教えてくれる方がいるのでしたら覚えてみるのもいいかもしれませんね。でも教えられる人がいるのですか?」

 「基本くらいでしたら私がお教えしますよ?」

 は、アリスさんがですか?いやいや、ギルドの受付嬢じゃないんですか?

 「これでも私、冒険者としてもそこそこやっていたので剣技の基本くらいでしたら教えられますよ?」

 冒険者としてやっていたのですか、あの姿で剣とか振っていたなんて想像出来ませんね。いや、イロハのことをみればそこまで不自然ではありませんか。

 「では基本だけお願いしてもいいでしょうか?」


 にっこりと笑ったアリスさんと剣技の訓練を始めましたよ。基本だけじゃないんですか?かなり色々教えられてる気がしますし、もうだいぶ打ち合ってる気がするんですが、休憩しません?私がバテてきているのが判ったのでしょうか手を止めてくれるようです。

 「少し休憩にしましょうか。カオリさんなかなか筋がいいですよ。だいたい基本はこんな所ですがもう少し頑張りません?」

 基本が終わったならそれでいいですよ。これ以上やる気はありません。

 「いえ、基本が終わったのならこれで終わりにしませんか?私は前に出て戦うことはしませんので本当に基本さえ判っていれば大丈夫ですので。」

 「そうですか、残念ですね。」

 そこまで残念がらないでください。素人相手にそこまでやって楽しいのですか・・・私は痛い思いをするのはいやですよ。


 さて、せっかく剣技を覚えたのなら私用の剣でも作っておきましょうか。素材は、鉄がまだありますね、途中で折れたりすると困るので古龍の鱗でも足しておきましょう。適当にそれっぽい剣を思い浮かべてスキルを使います。小ぶりな繭が出来上がりますね。1時間ですか。まぁ、それなりの時間でしょうか。それでも馬車より先に出来上がるでしょう。


 「カオリさん・・・今、何を作ってたんですか?」

 え、そういえば1人じゃなかったんでしたね。ひょっとして見てました?素材とかも見られましたかね・・・

 「せっかく剣技を教えてもらいましたし、自分用の剣でも作っておこうかなと思いましてちょこっと・・・」

 「剣も作れるんですね・・・」

 「え、ええ。まぁ、作れますね・・・」


 気まずいですね・・・スキルで馬車を作るとは言いましたが何を作れるとか言ってませんでしたからね。また何か言われそうですね・・・ギルドマスターは頭抱えてますね。ひょっとしてやらかしましたかね・・・

少しでも面白いと思った方は評価をお願いいたします。

★1個でも大変喜びます。

次も読みたいと思った方は

ブックマークをお願いします。


次回への励みとなります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ