240.悪い大人みたいです。
タイランスの町中を歩いています。結構挨拶されますね・・・古くからいる人はみんな私のことは知っていますからね。それにアリスもいますから・・・
特に何があると言ったわけではないのですが、散歩ですね。ユキとユウゴはタイランスは初めてですからね、結構はしゃぎ回っている様子です。
「アヤハ、2人をお願いね。」
『はい、カオリお母様。』
アヤハに言っておけば何かあっても・・・いえ、その前になんとかしますね。それに、イロハもコトハもいます。メイドさんもいますし、不審者が近寄ることの方が難しいです。
「カオリ、今後の予定は?」
「うん、スニドラで2日くらい滞在してその後王都かな?」
「直接王都に行くわけじゃないんだ。」
「どうしてそう思うんです?」
「私達が帰ってきたことがそろそろお婆さまに伝わる頃じゃないかなと思って。」
あっ・・・そうですね・・・急ぎで行けば2日あれば王都まで行けますからね・・・
「早く行かないと怒ると思います?」
「怒りはしないと思うけど、色々言われるでしょうね・・・」
そうですね・・・きっとなぜ迎えに来なかったとか言われるのでしょうね・・・
「予定変更ですね・・・明日朝一番で王都に向かいましょう。」
「そうね、それがいいと思うわ・・・」
別にご機嫌取りとかそう言ったのじゃないですからね・・・
「お義父様とお祖母様・・・どっちを優先する?」
「貴族として?それとも個人としてかしら?」
なるほど、貴族としてなら王様の所に行かないといけませんが、個人的に言うならお祖母様を優先した方がいいと言うことですか・・・
「お祖母様を優先しましょう。」
「カオリらしくていいと思うわ。」
よく使う言い回しですが、そのカオリらしいと言うのはどういった意味でしょうか・・・いい意味で言ってくれているならいいのですが・・・
おなかもすいてきたので、屋台で何かかって食べ歩きでもしましょう。貴族のすることじゃないですか・・・いいのです、私はこれが好きなのですから・・・町の人とのコミュニケーションでもあるのですよ・・・言い訳なのはわかってますよ。でも好きなものは仕方ないじゃないですか・・・
「ユキ、ユウゴ。ダメとは言いませんが、あまりああいった事はしないようにね。」
ちょっと、アリス・・・私を指さして何を言ってくれてるんですか・・・
「「うん、気をつける。」」
ユキもユウゴもアリスの言うことを聞くのですね・・・確かにあまり行儀がいいとは思いませんが・・・あんまりです・・・
「アリス・・・」
「ごめんね・・・でも、一応ね。」
せっかく買ったのですが、食べにくくなってしまいましたね・・・
「ど、どこか座れるところを探して食べましょうか?」
苦しい言い訳ですね・・・わかってます。もう一口頬張ったあとですから・・・
「先に言えてればよかったのにね。カオリも気をつけようね?」
「はい、気をつけます・・・」
アリスに注意されて、子供達には悪い見本にされてしまいました・・・
夕方くらいまでぶらぶらいろんな所を見て回りました。ユキとユウゴの興味を示すところを中心にです。王都までは来ることもありますが、なかなかこっちまで足を伸ばすことがありませんからね。
もうあと数年すれば、ユキもユウゴも1人で出かけるようになるんですかね・・・
明日から王都に向けて車を走らせることになるので、作らなければいけないものは早めに作っておきましょう。
アーモンドとカカオ豆を用意します。この2つを材料にアーモンドチョコを作っておきましょう。味見役はアリス、ユキ、ユウゴの3人です。別に味見役なんて要らないのですけどね・・・食べさせないと機嫌が悪くなるので味見させておきます。特にアリスの機嫌が悪くなるのですよ・・・
ついでなので、金なら1枚銀なら5枚のお菓子も作っておきましょう。キャラメルとかは無理ですが、ピーナッツは手に入れましたからね。
「アリス、あんまり食べるとお祖母様のところに持って行く分がなくなるじゃないですか・・・」
「そ、それはそうだけど・・・もう少し作ればいいんじゃ・・・」
「アリス・・・」
「はい、そろそろ終わりにします・・・」
「ユキもユウゴも食べ過ぎはダメよ。」
「「は~い。」」
今度はアリスが悪い見本ですね・・・ユキもユウゴも悪い大人にならないでくださいね・・・
まぁ、とりあえずお土産のチョコレートは出来ましたからこれでお祖母様のご機嫌を取りましょう。アリスと同じで簡単に機嫌を直してくれるといいのですが・・・
最終手段はユキとユウゴですね・・・お祖母様もひ孫には弱いですからね・・・私もお祖母様の孫になるはずなのですが・・・あまり甘やかされてないですね・・・同郷だからでしょうか・・・あまり孫として認識されていないと言うことですね・・・
ちょっとだけ寂しいですね・・・




