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232/373

232.貴族は大変みたいです。

 会食も終わり、お決まりのお話しタイムです・・・あまり楽しい時間ではないので早く終わって欲しいものです・・・

 特に話す事などないのですが、王国での仕事の話でしょうか・・・差し障りのないところで、Tシャツの話くらいでしょうね・・・

 「そのTシャツというのは、王国では売れているのか?」

 「そこそこ売れましたよ。薄利多売な物で、さほど利益にはなっていませんけど・・・」

 嘘ではないですね、Tシャツではそんなに利益は出ていませんよ。従業員の給料分はちゃんと出てますが・・・

 「もしよければ、帝国でも売ってみないか?わしが後ろ盾になってやってもよいぞ。」

 あはは、お願い出来るわけないじゃないですか・・・お義父様に怒られますよ・・・

 「そうですね、考えておきます。まだ、帝都まで色々見て回って何が売れるか自分の目で確かめたいものですから。」

 商人らしい言い訳をしておきましょう。

 「ふむ、そうか・・・それならば仕方ないな。何かあればわしを頼るといい。」

 いえ、男爵程度を頼ってどうすると言うんですか、確か貴族では一番下ですよね?準男爵と騎士爵がありますか?貴族から見るとあれは貴族と見なさないそうです・・・

 「それはそうと、あの摩訶不思議な馬車を1台譲ってはくれぬか?」

 摩訶不思議な馬車ですか・・・自動車の事ですね・・・

 「あれは、私達の商売道具ですからお売りする事は出来ません。」

 「いや、そこをなんとか売ってはくれぬか?」

 「あれがないと商売が出来ませんし、王国に帰るのも大変ですので・・・」

 「わしがこうして頭を下げているのに売れぬと申すか。例え王国の商人と言えど、貴族に目を付けられるとどうなるかわかっておるであろうな。」

 あっ・・・爵位を傘に脅しをかけてきましたね。

 「カオリ・・・これはアレじゃない?」

 そうですね、こう言われてしまっては私も黙っているわけにはいかなくなってしまいましたね・・・めんどうです・・・

 「そのような言われ方をすると、私も自分の身分を明かさないといけなくなりますよ。国と国とのお話しはめんどうでしょ?出来れば、商人としてこの町をあとにしたいのですが・・・」

 「何をおかしな事を言っておる、わしは帝国の男爵であるぞ。おかしな事を言っておると首を刎ねるぞ。」

 そこまで言われてしまっては仕方ありませんね・・・

 「本当は身分なんて明かさずに商人として旅をしたかったんですけどね・・・私の名前はカオリ・フォン・スズキ、王国では侯爵を賜っているわ。」

 「なっ・・・こ侯爵・・・」

 「ちなみに私はアリステレア・ダーナ・スズキ、旧姓はグランドニア。王国の第3王女よ。」

 ああ、アリスも怒っているようですね・・・王女だって事言っちゃいましたよ・・・男爵が他国の侯爵と第3王女にケンカ売ったんですから、国際問題ですよね。

 「今だったら、何も聞かなかった事にしてあげてもいいですよ。」

 「カオリ、それは無理でしょ?名乗っちゃったんだから・・・」

 ダメですか・・・まぁ、男爵の自業自得でしょうか・・・放心状態のようですね・・・あとは執事の人が上手くやるでしょう・・・私達は退室させて頂きましょう。

 「それでは今日のところは休ませて頂きますね。」

 メイドさんに声をかけ、部屋まで案内して貰います。さすがに態度がさっきまでと変わってますね・・・商人と侯爵の差ですからね・・・仕方ありませんね。


 「ねぇ、アリス・・・貴族ってあんなのばかりなの?」

 「う~ん・・・あんなのもいるって感じかしら。全部があんなんじゃ国が回らないわ。」

 アリスの言うとおりですね・・・あんなのばかりじゃない事を祈りましょう・・・


 しばらくすると、執事が部屋をたずねてきましたね。穏便に事を済ませられないかという事らしいです。私はそれでもいいのですが、アリスが何というかです・・・

 「アリス、どうする?」

 「どうするって・・・決めるのはカオリでしょ?」

 さっきはダメって言ったじゃないですか・・・今度は私が決めろですか・・・ちょっと酷くないですか・・・

 「私達はお忍び出来てるの。私は今日ここに立ち寄らなかった。それでいい?」

 「ご配慮、感謝いたします。」

 「どこかから、今日の事が漏れたりしたら・・・」

 「も、もちろんでございます。けっして口外しないよう徹底させて頂きます。」

 男爵はわがまま放題といった感じでしたが、執事はしっかりしているようですね。

 「アリス、これでいい?」

 「カオリがそれでいいなら、いいんじゃないの?」

 適当ですね・・・



 「カオリ、今のは賠償金とか取ってもいい所よ?」

 「えっ、そうなんですか?」

 「ええ、本当なら取らないといけないところね。」

 「なら、なんで言ってくれなかったんですか?」

 「だって、それじゃあカオリの為にならないもの・・・」

 もっと、領主として、貴族として勉強しなさいって事ですか・・・厳しいですね・・・

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