215.工場が出来たみたいです。
ドラゴンを創ってから何日か経ったある日、ガンテツさんがたずねてきました。
「よぉ、嬢ちゃ・・・ゴホン・・・スズキ侯爵におかれましては・・・えっと・・・」
「ガンテツさん、いつも通りでいいですよ。身内ばかりですから。」
「いや、でもな・・・」
ああ、代官もいるからですか・・・
「この代官も私が創ったので大丈夫ですよ。」
「そうか・・・なぁ、嬢ちゃん・・・嬢ちゃんが何でも作れるのはわかったが、代官まで作っちまうのはどうかと思うぞ・・・」
創ってしまった物は仕方ないじゃないですか。
「ガンテツ、カオリだからって事で許して貰えるかしら?」
「まぁ・・・そうだな・・・嬢ちゃんだからなぁ・・・」
ちょっと、2人して何納得し合ってるんですか・・・
「それで、今日はどうしたんですか。」
「おう、前に言ってたエンジンを作れそうなやつを連れてきた。」
後ろに隠れてるドワーフがそうですか・・・お弟子さんか何かでしょうか?
「そちらの方が、エンジンを作って下さるんですか?」
「俺の従兄弟でな、ドワーフのくせに細かい細工門が得意でな・・・こういった事にはうってつけだと思ってな。」
ドワーフのくせにって・・・ドワーフはあまり細工物を作らないんですね・・・
名前はガンタさんと言うらしいです・・・ガンテツさんの家系は頭に「ガン」と付くのでしょうか・・・家系図が見てみたいです・・・
「まだ、鍛冶場とかを作ってないんですが・・・どんな物が必要ですか?」
「そうだな・・・炉は必要だし、冷却部屋とかもあると良いな・・・」
その後ガンテツさんとガンタさんを交えて何が必要かを話し合いました。工場を建てる位置は地図で確認して決めました。町の外の土地になるので、所有権は私にあるそうです。どうせ町はまた広げる予定ですし、すぐに町中になるでしょうね。
さて、エンジンの手配はすみましたが、車体の方がの手配がまだでしたね。どこに頼むのがいいでしょうか・・・
「アリス、馬車ってどこの町でも作ってる物なのかな?」
「そうね、貴族用の馬車ともなるとほとんどが王都で作られてると思うけど、普通の馬車であればどこでも作ってるんじゃない?」
ラッセルさんに頼めばすぐなのでしょうが、出来ればうちの領地でやりたいですからね。
「ギャリソン、町中で馬車を造っている者がいたら探しておいて貰えるかしら?頼みたい仕事があるの。」
『承知いたしました。早速探してまいります。』
えっ・・・そんなに急がなくてもいいのですが・・・
「嬢ちゃんとこの代官はえらく優秀だな・・・あれが人形とは思えないんだが・・・」
ええ、本当に優秀ですよ・・・創った私がそう思うくらいです。
「まぁ、うちの娘達はみんな人間っぽいですからね。」
ガンテツさん達には工場が出来るまでここに泊まって貰えばいいでしょう。なにせ私のお客なのですから。いわゆる客人扱いというやつです。
まぁ、工場も2、3日中に建てるつもりなんですけど。同じ敷地内・・・いえ、同じ建物の中に車体を作る工場もあった方が都合がいいのですよね・・・
翌日、ギャリソンが馬車を作っているという職人を連れてきました。早くないですか・・・それと私の予定も聞かずに・・・何ですか、領主である私のスケジュールを把握しておくのも仕事のうちだと・・・勝手に動き回らなければ、予定は把握しているとの事ですか・・・勝手に動き回る私が悪いという事ですか・・・
『カオリ様、お会いになりますか?』
お会いになりますかって・・・連れてきてるんですよね・・・
「わかりました・・・会います・・・」
有能すぎる代官ですよ・・・全く・・・
どうやら馬車職人とは言っても、最近仕事がなくなり困窮していたそうです。ちょっとかわった馬車になるが作ってみないかとの打診をしたところ、仕事があるならと二つ返事で了解を得る事が出来ました。ラッキーでしたね。
仕事場は、ガンタさんの工場と同じ建物の中に移設する感じでお願いしました。もちろん建物は私が作りますが、道具などは持ち込みでお願いします。
工場にはちゃんと居住スペースも作っておきます。さしあたって4家族くらいは住めるように、アパート形式にしましょう。まずは平屋にしておきますが、増えたら2階を作ればいいのです。我ながらいいアイデアですね。
「嬢ちゃん、最初の1台が出来るまでは俺も世話になるがいいか?」
ガンテツさん、お店は大丈夫なのですか・・・はぁ、息子さんに任せてきたから大丈夫ですか・・・注文なんか半年くらい待たせても構わない?それはまずいんじゃ無いですか・・・ガンテツさんがいいというなら構いませんが・・・知りませんからね・・・
工場の方は、数日かけて作りました。やはり職人さんを交えて現場あわせでの建築が一番です。どうやら満足のいく工場になったようで、早速作り始めるとの事です。私のスキルで見本として1台作っておきました。もちろんバラして貰って構いませんよ。
少しでも面白いと思った方は評価をお願いいたします。
★1個でも大変喜びます。
次も読みたいと思った方は
ブックマークをお願いします。
次回への励みとなります。




