178.オートマチックみたいです。
自動車はなかなかの物でした。少し調整と改良を加えれば十分に使える物だと思います。
魔石も、魔力を充填出来ることがわかりましたし、電池代わりに出来るでしょう。魔法って本当に便利ですね。
「本当に馬無しで走るのね・・・」
アリスが不思議な物を見るような目で見てきますね。まぁ、確かに不思議な物かもしれないですが・・・私にとって見れば自動車なんて当たり前ですから。
「ええ、自動で走る馬車ですからね。」
「簡単に扱える物なの?」
オートマなんで運転は簡単ですね・・・アクセル踏めば動きますし、ブレーキ踏めば止まります。
「すごく簡単ですよ。アリスも乗ってみますか?」
「わ、私が・・・」
「簡単だって事をわかってもらえると思いますよ。」
「そ、そうですか・・・」
最初はかなり怖がってたんですけどね・・・動かせると言うことがわかるとその後はノリノリでしたね、そんなに楽しかったですか?アリスが喜んでくれたのでよかったと思いますが、これ以上スピードが出るようにするのを考えてしまいます。
その後色々改良に改良を加えましたよ。こちらの世界で私がいなくても作れるようにと考えながらです。今までは何にも考え無しで、私が便利になるように作った物が多いですが、今回は違います。
魔石の流通は少ないと言ってましたが今回使ったのはゴブリンの魔石ですから大丈夫でしょう。ダンジョン産の魔石になるので多少は高価かもしれませんが数は揃うはずです。
お湯を出す魔導具に使うには高価かもしれませんが自動車となればそれほど高価とも言えないでしょうからね。
「ねぇカオリ、この間のと何が違うの?すごく揺れが小さいんだけど。」
「それは、タイヤを替えたからですよ。」
「タイヤ?車輪のことですか?」
「よい素材があったので、ちょっと試してみたんです。」
実は、ゴムがあったのですよ。実際にはゴムによく似たものなのでしょうが、タイヤに使ってみたら揺れが格段に少なくなりました。ゴム製タイヤを見たらラッセルさんがまた飛びつくでしょうね。自動車も丸投げしましょうか・・・
「このくらい揺れが少なくなれば、もう少しスピードを出しても大丈夫そうですね。」
「今でも結構早いと思うけど・・・」
「そうですね、今馬車より少し速いくらいでしょうか?」
時速15㎞位ですか・・・ゴーカートより遅いくらいですね・・・
「この速度で移動出来るなんてすごいことだと思うけど・・・まだ早くするの?」
「そうですね・・・これの5倍くらいの速度にしたいですね。」
「これの5倍って・・・」
「そうですね・・・馬が走るくらいでしょうか?」
「馬の単騎駆けと同じ速度って・・・」
「その位の速度が出るようにしたいってだけで、いつもそんな速度で走るわけじゃないですよ。」
「そ、そうよね・・・」
少しは安心したようですね。でも時速60キロは出したいところですね・・・そうすると格段に移動時間が減ります。
「これで領都まで帰ると怪しまれますかね?」
「普通なら門番に止められる案件でしょうね。ただ、乗っているのが領主様だから大丈夫じゃないかしら?」
それならこれで帰るのもありですね。これは2人乗りなので私とアリスしか乗れませんが、大きめのものを作れば問題ないですね。
結局8人ほど乗れる少し大きめの自動車を2台作りました。クラシックカーというと前が長いイメージですが、あまり長いのは好みでないので少し短めです。
出来上がるまでの時間はメイドさん達に運転を教えてます。もちろんアヤハ達にもですが、アヤハ達は私の記憶も少し持ち合わせているのか運転がわかるようですね。私の変な記憶を持っていないことを祈ります。
最初に作った自動車は空間収納にしまい込んで後から作った2台で帰ることにします。無用の混乱を避ける為、アリスの提案で自動車の扉に家紋を入れておくことにしました。確かにこれなら変に止められたりすることもないでしょう。
「来るときは1日かけてここまで来たのよね・・・」
「そうですね、1日かかりましたね。」
「まだ3時間経ってないのにもう領都が見えてきたわね。」
「早いっていいですよね。」
「ええ、なんか私の知っている常識がどんどんカオリに壊されて言ってる気がするわ。」
「それって、私が非常識って事ですか?」
「べ、別にそう言うわけじゃ・・・」
あ、目をそらしましたね。言ってなくても思ってると言うことですか。
もちろん門番には留められませんでした。かなり驚いていた様子ですが・・・一応、にこやかに挨拶しておきましたよ。少し顔が引き攣っていたように見えるのは気のせいとしておきます。
さて、領都で色々しなければいけないことがありますね。結構忙しいですよ。
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