177.今度は自動車みたいです。
「ねぇ・・・カオリ・・・本当にこれに乗るの・・・」
今、2畳ほどの大きさのエレベーターを前にアリスがおどおどしているところです。
初めてのエレベーターですからね、窓も何にもない狭い部屋に押し込められるのはちょっと怖いのかもしれません。
「はい、大丈夫ですから乗りましょう。」
「でも・・・この牢屋みたいなのが動くの?」
牢屋ですか・・・まぁ、狭くて何にもない部屋と言うことで、そう言ったイメージなのかもしれませんね。
「ほら、ほら・・・そんなに怖がらないで。」
「こ、怖がってなんか・・・」
ちょっと強引ですが、押し込んでしまいましょう。このまま待っていたらエレベーターに乗るだけで1時間くらいかかりそうです。
ちなみにここが地下で、その上はもう1階です。
エレベーターに乗ると当たり前のことですが扉が自動的に閉まります。
「ちょ、ちょっと・・・閉じ込められたわ・・・」
1階のボタンを押せば普通に動き出します。
「ひゃっ・・・」
いちいち反応が可愛らしいです。ついついニコニコしながら見てしまいます。
「アリス、1階につきましたよ。」
扉が開けば1階です。アリスもどうやら落ち着いたようですね。
「グスッ・・・」
「怖かったんですか?」
「怖くなんてなかったわよ・・・」
意地っ張りなところも可愛いです。
「じゃあ、このまま5階まで・・・」
「あ、後にしない?とりあえず1階で降りない?」
「クスッ・・・いいですよ。ちょこっと外を歩きましょうか?」
「そ、そうね・・・」
それにしてもいい感じでしたね。あれなら誰でも簡単に荷物をドックからあげることができますね。なんか、楽する為に盛大にやらかしてもいいような気になってきました。
1度女神様に確認してからの方が良さそうですが、色々やってしまいましょう。えっ、散々やらかしてるって?気のせいです。まだたいしたことはやってません。
「あれだったら簡単に荷物を持ってこれますね。アリスが荷物のことを言ってくれたおかげです。」
「そ、そう・・・よかったわね・・・」
エレベーターがトラウマにならなければいいですけど・・・慣れれば便利なのですけどね・・・
「慣れるまでは驚くとは思いますけど、便利ですからアリスも使ってくださいね。」
「う、うん・・・考えておくわ。」
アリスが疲れているようなので、部屋で休憩することにしました。もちろんエレベーターは使わずに5階まで行きましたよ・・・せっかく作ったのにアリスが慣れるまではあまり使えないかもしれません・・・
「慣れるまでちょっとかかるかもしれないけど、落ち着いて考えてみるとすごく便利なものね。」
「そうですよ。私のいた所にはもっと色々便利なものがあったんですよ。」
「そうらしいわね、おばあさまが色々話してくれたからなんとなく解るわ。その時はお伽噺だと思っていたけど、本当なのね・・・」
「ええ、便利になるならやらかしてもいいかなぁ~なんて思ってるんですけど・・・どうですか?」
「やらかすって・・・自覚あるんだ・・・」
「まぁ、この世界に無いものを持ってこようとしてるんですから、それなりには・・・」
「何を作ろうとしてるか聞いてもいい?」
「そうですね・・・馬のいらない馬車といった感じでしょうか?」
「ねぇ・・・カオリ・・・頭打ったりしてない?大丈夫?」
その残念な人を見るような目はやめて下さい。馬を使わない馬車でしょう・・・普通に自動車ですよ。
「大丈夫ですから・・・馬を使わず自動で動く馬車・・・自動車というものです。」
「馬も無しにどうやって動かすの?」
「エンジンというものがあるのですが、面倒なので魔石とかを使えないかと考えてます。」
「馬車を動かせるほどの魔石って・・・」
きっとなんとかなると思うんですよ。あくまでも私のイメージなんですけどね・・・
「それほど大きな魔石はいらないと思うんですよ・・・1度作ってみないとわかりませんけど・・・」
「その自動車というのは何が便利なの?」
「そうですね、馬が必要ないので餌や休憩が必要ないです。多分ですが、馬車より速く走れます。どうですか?」
「そうね、それを聞く限りではかなり便利そうね・・・」
「1度作ってみてもいいですか?」
「それは構わないけど・・・」
今回のものは仕組みさえわかれば、誰かに作ってもらえるようにしたいと思いますからね・・・2サイクルエンジンだったら仕組みも簡単でしょう。燃料がなくても魔法で爆発させればいいんですし・・・精密な物が作れればいいのですが、動かすくらいは出来るでしょう。
そうですね・・・馬を使わない馬車といった手前、馬車に似たものにしましょう。いわゆるクラシックカーと言うやつです。どのくらい動くかわかりませんが、魔石はゴブリンの物を使ってみましょう。ゴブリンの魔石はくず同然と言うことですし・・・
そこまで時間はかからないようです。本当にこのスキルは便利ですね・・・
「これが自動車という物なの?」
「ええ、とりあえずで作った物ですので性能はよく分かりませんけどね。」
「魔石を使うと言ってたけど、なんの魔石を使ったのか聞いていい?」
「ええ、ゴブリンの魔石ですよ。」
「ゴブリンの魔石って・・・あんな物で・・・」
「それじゃあ、ちょっと試運転してきますね。」
さすがにアリスを乗せて試運転は怖いので、イロハを連れていきましょう。
「イロハ、一緒に来ますか?」
『はい、母様。』
何かあったとき誰かいてくれると助かりますからね。
走りますね・・・でも遅いです・・・馬車と同じかそれよりちょっと遅いかもしれないです・・・その辺りは調整でなんとかなりそうですね・・・ゴブリンの魔石1つでどのくらい走れるんでしょうか・・・
う~ん・・・6時間くらいですか・・・電池のように交換出来るといいですね・・・
1時間くらい走らせて帰ってきました。
「カオリ・・・どこまで行ってたのよ・・・心配したんだから・・・」
「ごめん・・・いろいろ考えながら走らせてたんで遅くなってしまいましたね・・・」
「・・・・・・・・・・」
「これから気をつけます。」
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