175.アリスが酷いみたいです。
今日はアリスを連れて、お城まで行きましょう。アリスの意見を聞きながらメイドを何人雇うかとか、家具をどうするかなど決めたいですからね。やらなければいけないことが山ほどあります。
そういえば、お城の名前を決めてませんでしたが、「キャッスル・オブ・アリス」とかにしたら怒りますかね・・・
「アリス、今日は何か予定とかある?」
「別にないわ・・・ずっとカオリを待っていただけだもの・・・」
そんなに拗ねないでください。ちゃんと1週間で帰ってきたじゃないですか・・・
「それなら行きたいところがあるのですけどいいですか?」
「また、1人で出かけるの?」
「何言ってるんですか、アリスと一緒じゃないと意味ないですよ。」
「私と一緒じゃないとダメなの?」
「ええ、アリスに見せたいものがありますから。」
一応馬車で出かけますが、途中の川で小休止です。まだ橋をかけてませんからね。
「ねぇ、カオリ・・・すごく綺麗な石畳ね・・・」
「ええ、頑張りましたから。」
「やっぱりカオリの仕業なのね・・・」
その仕業ってなんですか・・・悪いことはしてないと思うのですけど・・・
「アリスは道もないようなところを歩いていく方がよかったですか?」
「そ、それは・・・しっかりした道の方がいいけど・・・」
「でしょ。だから頑張ったんです。」
「そんなふうに言われると何もいえないじゃない・・・」
何も言わないでください。アリスのためにしたんですから。
「橋もかかりましたし、そろそろ行きましょうか。」
「簡単に橋もかけちゃうのね・・・」
「何日も待った方がよかったですか?」
「わかったわ・・・私が悪かったわ・・・」
まぁ、別にアリスが悪いわけではないのですが・・・理不尽だということは理解しますよ。
「それほど距離はありませんから、今日の夕方には着きますよ。」
「これだけ道が整備されていれば、早いのもわかるわ・・・それにずっと真っ直ぐなのね・・・」
「くねくね曲がってた方が趣がありましたか?」
「そういう意味で言ったわけじゃないから・・・」
なら、どういう意味なのでしょう・・・気になりますが、また理不尽だということなのでしょうね・・・
「カオリ、この大きな橋も頑張ったの・・・」
「ええ、かなり頑張りましたよ。」
「そう・・・」
何かいいたそうですが、ここは無視します。
「結構深い崖ね・・・普通に橋を架けるのなら年単位の仕事になるわね・・・」
チラチラと私の方を見てますね・・・ええ、一晩で作りましたよ。ここを過ぎれば後半分です。もう少し行けば塔の先端が見えてくるでしょうか・・・
「そろそろ見えてくるはずですよ。」
「見えてくるって何が・・・」
「ほら、木の上に建物が見えてきましたよ。」
木の上に塔の先端部がちらちらと見え隠れしています。
「塔かしら?」
「後2時間くらいで着くと思いますよ。」
「う、うん・・・」
「アリスのために作ったんです。アリスへのプレゼントってことです。」
「私へのプレゼント・・・」
きっとびっくりするでしょうね。ちょっとくらいびっくりしてくれないと凹んでしまいますが・・・
「カオリ・・・これって・・・」
「はい、アリスがお城が欲しいって言ってたので、作ってみました。」
「そ、そうね・・・言ったかもしれないけど・・・作ってみたって・・・1週間で?」
「はい、道を作るのに2日かかりましたから実際は5日ですね?」
「カオリの非常識さには慣れたつもりだったけど・・・私が甘かったわ・・・」
非常識さって・・・慣れたって・・・少し酷くないですか?確かに非常識だとは思いますけど・・・
「喜んでもらえるかと思ったんですけど・・・」
「えっ・・・そ、それはもちろん嬉しいわよ。ものすごく嬉しいの。ただ・・・1週間で建ったと言われると・・・」
「ま、まぁ、中をみませんか?」
「そ、そうね・・・」
「何もない部屋が多いのね?」
「ええ、全部私が作ってもよかったんですけど、家具とかは街の職人に作ってもらった方がいいかなって思って。」
「なぜ、そう思ったの?カオリが作った方が早いのでしょ?」
「はい。でもそれだと経済が回りませんから。」
「カオリ・・・考えてるんだ・・・」
「それって、酷くないですか?」
「う、うん・・・ごめん・・・ちゃんと領主してるんだなって思って・・・」
「それも酷いと思う・・・」
そんな話をしながら上の階へと足をすすめていきました。
「この階が私たちの住む階です。ここだけは私が全部作りましたよ。大事なアリスが一緒に住むのですから。」
「だ、大事な・・・」
「ええ、世界一大切なアリスです。」
真っ赤になっているアリスも可愛いですね。メイドさん達は1つ下の階ですね・・・
まだ色々作りかけだったり、用途の決まってない部屋があったりしますけどね。
まずはアリスが喜んでくれてよかったです。
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