138.家をもらったみたいです。
お城に着きました・・・王女殿下に謁見の間は嫌だとごねたら、別の部屋にしてくれたようです。
「よくぞ、アリステレアを助け出してくれた。」
えっと・・・助け出したというわけではないのですが・・・
「ええ、カオリがいなければあの塔から脱出するなんて叶いませんでした。」
「その・・・成り行きです・・・」
「成り行きで、ドラゴンなぞ倒せる物ではないぞ。」
王女殿下話しましたね。少し目を向けるとそっぽ向きましたよ。あれだけ内緒だと言ったじゃないですか・・・
「まぁ、そうアリステレアを責めないでやってくれ。この事はわしも他言しないゆえ。」
それでしたら構いませんが・・・いえ、構わないわけではないですよ・・・う~ん・・・どうしましょうか・・・
「私は、何かに縛られることなく気楽に暮らしたいのです。それが願いですね。」
「うむ、ただそれはなかなかに難しいことではあるな。未開の地から帰ったと言うだけでお主の名前は一気に広がるだろう。」
それはなんとかして欲しいところですね・・・
「しばらくは色々な者がお主を訪ねてくることであろう。」
「そうですか・・・この国を出てしまえば大丈夫ですね。」
そうです、別にこの国に愛着とかありませんし・・・あ、ラーメンは別ですが・・・他に行ってもありますかね・・・
「そ、そこでじゃ。しばらくは王宮で暮らさぬか?聞けば異世界から来たと聞いておる。」
それも話したのですね・・・まぁ、おばあさんには会いに行く約束はしていますし、私も会ってみたいですよ。
「ねえ、カオリ・・・色々話しちゃったのは悪かったと思うけど、私の立場上・・・ね。」
確かに、王女殿下がこれだけの期間行方不明になっていたのですから色々聞かれますし、話さなければいけないことは理解出来ます。情状酌量の余地有りでしょうか・・・
「わかりました。王女殿下に口止めした件に関しては国王陛下が黙っていてくださるのであれば私からは何も言いません。」
「カオリ・・・ありがとう・・・」
色々話し合った結果・・・私のお店は王都に移転すること。もちろん工房ごと。規模はもっと大きくするのだそうです。今までも王女殿下の庇護下にありましたが、今後はお抱えの商人としてお城に出入りするようになると言うこと。服飾専門ですが・・・
それに合わせてタイランスにあったラーメン屋が王女殿下に買収されたとか何とか・・・王都の結構いい場所にオープンすることになりました。
王族ってやること半端ないですね・・・冗談かと思っていたのですが、本当にやってしまうなんて・・・
おかげで、またラーメン屋さんのそばに家が持てると言うことなのですが・・・それはいいのですが・・・なぜにこの豪邸がわたしの家になるのですか・・・お店は別ですか・・・こんなお屋敷1人では広すぎますよ。まぁ、アヤハ達もいますから5人と刀娘1人ですが・・・
これは、本格的に「セバス」を考えないといけませんね。それにメイドもあと1人位いても良さそうです。別に人を雇ってもいいのですけどね・・・アヤハ達のことがバレるのは嫌じゃないですか・・・ですから、執事もメイドも創るしか無さそうです・・・
「それにしても大きなお屋敷ですね・・・」
「そこまででも無いと思いますよ。」
「えっ・・・王女殿下がなぜいるんですか・・・」
「だって、カオリに鍵渡すの忘れてたから届けに来てあげたんじゃない。」
「そんなのメイドさんにでも頼めばいいことですよね。」
「まぁ・・・またカオリが何かやるんじゃないかと思って見に来たってのが正解かな?」
「なにかやるって・・・はぁ・・・」
確かにやりますよ・・・だって人に頼むより早いじゃないですか・・・せっかくクリエイトがあるのですから使わないと。
「さて、では掃除からですね。アヤハ、イロハ、中にある家具とかは全部マジックバックに入れちゃってください。」
『はい、お母様。』
『はい、母様。』
『かぁさん、私は?』
そうですね・・・コトハには何をしてもらいましょうか・・・
「じゃあ、コトハは壁や床で傷んでるところがあったら教えて。」
早めに教えてもらえれば、私が直すだけですからね。では、私はクリーンをかけまくりましょう。
「はぁ・・・何かやるとは思いましたけど・・・これは掃除じゃないですよね・・・」
「えっ・・・掃除ですよ?」
「中の物を全部マジックバックに入れてから、家をまるごと直すのは掃除と言いません。」
「え・・・でも、せっかく家具を全部出したのだから修理出来るところは修理しますよね?」
「カオリの言っていることは正しいですが、1人でやるものではないですね・・・普通は職人にやらせます。」
・・・それを言われると反論しづらいですね・・・
「それにです・・・家1軒まるごとクリーンの魔法で掃除するって言うのは非常識です。普通はそこまで魔力がもちません。」
そうなんですか・・・他人の魔力量なんて知りませんから、これくらいは普通なのかと思ってました・・・
「ま、まぁ・・・家も綺麗になったしいいじゃないですか・・・」
あまり睨まないでください・・・ちょっとだけやり過ぎたかとも思ってます・・・ちょっとだけ・・・
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