124.出口みたいです。
最終決戦ですね。階段を上ると大きなコロッセオのような所にでました。もちろん私たちがいるのは観客席ではなく闘技場の方です。目の前にはドラゴンがいますね・・・私としてはあまりに現実味に乏しいので、怖さが半減してしまいます。まるでゲームの中のようにしか感じられません。王女殿下達は・・・気を失う直前といった感じでしょうか。顔色が真っ青です・・・
「アヤハ、イロハ。頼みましたよ。」
『はい、お母様。』
『うん、まかせて。』
私も攻撃をとも思いましたが、ヘタなことをして怪我してもいけません。見学していましょう。
『姉様、援護をお願いします。この間のようなヘマはしません。』
『ええ、お母様に心配かけないようにね。』
イロハ、今度は怪我をしないで下さいね。危ないことはダメと言っておきながら、2人に戦わせてしまうなんていけないですね・・・私も強くならないといけないのでしょうか・・・せめて、自衛出来る程度には・・・
アヤハが、弓で牽制しながらイロハが攻撃ですか。これだけ広いところですからそれなりに有効ですね・・・それより、さっきからイロハが空を飛んでる・・・いえ、歩いてるのですか・・・あの娘あんなこと出来たのですか・・・
それにしてもドラゴンも体の大きさの割には小回りがききますね。
えっ?こっち見ましたね・・・大きく息を吸って・・・って、ブレスですか・・・ヤバいのでは・・・
あ、イロハが顎を蹴り上げましたね・・・口の中でブレスが炸裂したようです・・・助けてくれたのは嬉しいのですが、スカートの中見えそうでしたよ。後で注意しておきましょう。
『イロハ、なるべく綺麗なまま倒しなさい。お母様に渡す素材にしますから。』
『うん、首を落とせばいいかな?』
『そうですね、喉元あたりからすっぱりやって下さい。』
あの娘達、何言ってるんですか・・・素材にするとか・・・そもそも、体が残るかすらわからないじゃないですか・・・今までの魔物は全部消えてしまったのですから。
「カオリ、倒せそうなの?」
王女殿下が息を吹き返しましたね。え、死んでない?死にそうな顔してただけでしたね。
「ええ、大丈夫そうですね。」
「そう・・・この目で見ていてもまだ信じられないわ。」
「私はドラゴンがどの位強いかなんて知りませんが、あの娘達にとってはそれほどでもないみたいです。」
「それで、イロハさんでしたっけ・・・私には空を飛んでいるように見えるのですが・・・」
ええ、そうですね・・・そう見えますよね・・・
「多分気のせいです。」
「いえ、飛んでますよね?」
「気のせいです。」
「わかりました・・・気のせいですね・・・ええ、気のせいです・・・」
半ば自棄になってますね・・・どこまで話せますかね・・・話してあげたいのはやまやまですが・・・内容が内容ですし・・・
王女殿下と話をしているうちに決着が付いたようです。イロハが首を落としたみたいです。とても良い笑顔で走ってきますよ。
『母様~ドラゴンを倒したよ。褒めて。』
確かに私たちを守りながら、倒してくれましたね。少し注意しなければならない点もありますが、まずは褒めてあげないといけないですね。
「イロハ、ありがとうね。あなたのおかげでみんなが無事だったわ。」
『えへへ~』
本当にかわいいですね。
「アヤハもありがとうね。」
『はい、お母様。みんな無事で何よりです。』
アヤハはちゃんと周りを見ることが出来るのですね。さすが長女です。ん・・・服を引っぱられましたよ・・・コトハですか。
「コトハも守ってくれてありがとうね。」
『うん。』
頭を撫でてあげましょう。アヤハもイロハも後で撫でてあげますから、その物欲しそうな目はやめなさい。
コトハを撫でた後、2人も頭を撫でてあげることになりました。
「あなたの娘達って、戦っている時とあなたに甘えている時とギャップがすごいわね・・・」
「あはは・・・そうですね。でも可愛いから仕方ありませんよ。」
「クスッ・・・」
笑われてしまいましたね。でも、王女殿下も少し元気が戻ったようで安心しました。
そういえばドラゴンが消えませんね。回収出来そうです。
「イロハ、あなたのマジックバックにあのドラゴンは入りそう?」
「カオリ、あなた何言ってるんですか?あんな大きな物がマジックバックに入るわけないじゃないですか。」
『うん、まだ、色々入っているからちょっと無理そう。』
「そうですか。なら私のに入れましょうか。」
せっかくアヤハ達が綺麗に倒してくれたドラゴンです。持って帰らないといけませんね。空間収納に入れてしまいましょう。もちろんマジックバックに入れるように見せかけてです。
「ねぇ、カオリ・・・あなたのマジックバックってどうなってるの?どの位の量が入るの・・・」
「内緒です。あれも見なかったことにして下さいね。」
「うぅぅ・・・で、でも・・・わかりました、見てません・・・見てませんとも・・・クスン・・・」
泣いたってダメですよ。
さて、コロッセオの反対側にある扉に向かいましょう。あれが出口のはずです。
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