運命の中で
『ルシル、お前はこの先もたくさん辛いことがあると思うけれど、物事には運命によって導かれているんだよ』
これは、私がまだ7歳の頃に瞳の色を悪魔だと馬鹿にされて泣いていた時に父に言われた言葉だ。
『ルシル、お前に支えて欲しいって思ってくれる人が現れた時に、支えてあげられるように、そして自分をしっかり守れるように学んでおきなさい。知識は誰も奪えないし、瞳の色も関係ないよ』
いつも父はそう言って、勉強などを教えてくれていた。言われていた時は、悪魔の私が誰かを守ったり支えたりすることなど起こりはしないと思っていた。
けれど、父と一緒にいられることが嬉しくてルシルは一生懸命勉強をしていた。
窓から射す鋭い日差しで、目を覚ました。眩しさに目を細めながらさっきまで見ていた幼い頃の記憶であろう夢を思い出していた。
物事には運命がある。いつもパパが運命には逆らえないのだから、その運命の中でいかに輝くかが大切だと教えてくれていたっけ。
夢の中で会う久しぶりの父がずっと私に伝えたかったことを少し理解できた気がした。
えーっと・・・今日から家庭教師の方に勉強を教えてもらうように言われたんだった、と昨日ブレンダンが言っていたことを思い出していた。
本当は帰りたくてしかたないが、父の言っている運命であるならば変えることはできない。
せめて、自分らしく、勉強やマナーは自信がないが精一杯頑張ってみようと心は少し前向きへと変わっていた。
「おはようございます。ルシル様」
自分に気合を入れているところで、侍女にエレナが朝の支度のために部屋にやってきた。
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2021年6月15日に編集しました