王子との朝食
今日から家庭教師が来てお勉強って言っていたわね。
「えっと、エレナさん?今日は何をお勉強するのかしら・・・」
エレナをなんと呼べばよいか分からず戸惑っていた。
「ルシル様、私は侍女ですのでそのような口調はふさわしくありません。敬語や、敬称はお控えください。」
「あ・・・あの、すみません」
こんなことすらもわからない。
これから、婚約者として殿下のとなりへといることに不安が押し寄せて来る。
しかし、エレナは注意する点だけを伝えルシルの問いに答え始めた。
「本日は、まず文字について学ぶことになっていると伺っていますので、準備をして朝食にしましょう。あ、あと、本日から、パトリック殿下と共に朝食をとっていただくことになりました」
前半は先ほど、私がした質問の答えだとわかったが、あと半分は何か驚くようなことを言われたような・・・
「・・・!?私、マナーなどわからないんだけれど。」
いきなりの王子との食事に緊張と戸惑いを隠せなかった。
朝食を共に取るというのは、今朝早くに決まったことらしい。
なんでも、婚約者としてわかりあうためにという名目らしいが、マナーがきちんとできるようになるまで見張るのではないのかしら・・・
「・・・仕方ないわね。できるかわからないけれど・・・頑張ってみるか。」
不安がないとは言えないが、逃げることもできないし言われたことを精一杯するしかない。
「では、エレナ着替えを。」
「はい。ルシル様」
先程は、エレナから態度について注意されたが、今回は特に何も言うことなく、準備を進め始めたのを見て、少し安堵した。
「おはようございます。パトリック殿下。お待たせしてしまってすみません。」
エレナに着替えを手伝ってもらい、殿下との朝食のため応接室にきた。
パトリック殿下はいつも、私室で朝食をするということだが、ルシルとともに食事をするため、応接室に用意をさせてくださったようだ。
「ああ、おはよう」
パトリック殿下は、私たちよりも一足早く応接室に来ていた。
一瞬私の目を見てくださったけれど、すぐに視線を外されたわ。
私・・・もうすでに粗相をしてしまったのかしら?
食事はまだ始まっていないが、すでに不安になっていた。
しかし、すぐに給仕の者が食事を運んできたようだったのでテーブルについた。
「あ、あの・・・殿下。私、食事のマナーに明るくなくて・・・」
「気にしなくていい。これからゆっくり学んでゆけばよいのだ」
不安だらけだったが、パトリックは怒っているような素振りはなかった。
緊張はしているが、昨日はなにも食べずに寝てしまったためお腹はすごく減っていた。
自信がないけれど、ちゃんと食べなきゃだめね。
父が生きていたころ、食事に関するマナーを父はとても厳しくしつけていた。最初は上品に食べるということが難しく、ボロボロと落とすことも多かった。
でも、「次第にできるようになる」と父が根気強く教えてくれた。
しばらくして、しっかりと自分で綺麗に食べられるようになると、褒めてくれてさらに、そんなに裕福だったとは言えないが、いろいろな食材やいろいろな料理を食べさせてくれた。
その、食事のマナーが合っているかどうか・・・ま、ありのままを見せるしかない。
本日の朝食はサラダにパン、ホタージュスープ、ハム、スクランブルエックと意外にも庶民的なメニューが並んでいた。
王子の食事っていう割には意外と普通なのね。
それとも私にあわせてくださったのかしら?
マナーについては不安であったが、お腹の音がなりそうだったので、まずスープから手をつけ始めた。
現在編集中のため、更新は滞っています(´・ω・`;)
楽しみにして下さっているのにすみません。
2021年6月16日編集しました