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「一ノ瀬悠です。17歳です。」
「山崎七瀬です。16歳です。」
俺が名乗ると、七瀬も名乗り返した。凄く礼儀正しい。っていうか、年下でこの威圧感とか怖すぎる。
「七瀬、初対面の人にきつく当たりすぎだよ。第一印象が大事だって教えたでしょ。」
七瀬とは、反対側の左の階段から降りてきたのは、茶色いかなりストレートな髪の毛に、涼しげな緑の瞳の男子。俺より一個年上だろう。制服は、もちろんブレザー。ベージュのジャケットに紺色のスラックス。ネクタイは、緑のストライプで、チョッキの色も緑。襟の所のバッチは、七瀬と一緒で正方形。ワイシャツも七瀬のように一番上まできっちり占めているが、ネクタイは割と緩めに結んでいる。目の色といい、髪の色といい、ネクタイの結び方といい、爽やか系の男子だ。
「なによ、第一印象しか取り柄がないくせに。浩太は出てこなくていいから。」
七瀬が言った。ん?浩太?あー絶対俺こいつを知ってるわ。記憶の底で、前世の記憶が出てこようとしているのが分かる。浩太・・浩太・・・浩太・・・・
「中村 浩太っ!」
脳の奥の底からようやく名前を引っ張り出した。俺が浩太の名前を言った瞬間、桜、七瀬、浩太が不思議そうな顔でこちらを見た。七瀬は、不思議というより、明らかに不審者を見る目だが。
「なんで俺の名前を知ってるのかは、すごく不思議だけど、そこを深く追求するのは止めておくよ。俺は、中村浩太。18歳。よろしくね。それで、君の名前は?というより、何の刻印持ち?」
こいつ、年上だったんだ。というより、今まで出会った中で一番爽やかだけど、なんかムカつく。さっきから、刻印の話をしてるけど、何のことかこっちはさっぱりわかんないだよな。
「一ノ瀬悠です。17歳です。さっきから刻印について聞かれるんすけど、よくわかんないです。教えてもらえませんか。」
「桜、説明してなかったの?」
七瀬が桜に少し責めるように言った。すると、桜はテヘッと笑って七瀬に言った。
「私の話、分かりにくいじゃん。だから、七瀬に説明してもらおうかな~って。」
「はぁぁ。分かった。ちょうど今から昼ご飯だから、食べながら説明するわ。一ノ瀬さん昼、食べた?」
「あー、食べてない。あと、悠でいいよ。」
一ノ瀬さんと呼ばれるのは、堅苦しくて嫌だったからそうお願いしておいた。
「良かったねー、七瀬のごはん美味しいんだよ~。」
歩き出した七瀬と浩太についていく途中で、桜が幸せそうに言った。
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